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昼は冒険者/真夜中は暗殺者  作者: きっと小春
火薬と銃の時代
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強制イベント

まぁ、アースファクト兄様が、大広間が好きというのは、魔物の狩りではなく、人間の狩り場という意味でだが。そう、早速だが、活きがいい獲物が眼の前に立ちはだかっている。ニヤリと笑い銃を構えるアースファクト兄様の背後から、別の冒険者たちが大広間に突入してくる。


「貴様ら、貴族の傍若無人な振る舞いには、もう我慢できん」


あれは…。冒険者ギルドにいた赤の怒りと黄色の警戒の冒険者たち。大広間にいたその他のパーティーも、突入してきた5パーティーに、触発され私達の周囲に展開する。


「そうだ! この場で殺してしまえば、貴族殺しの汚名を被ることはないっ!」


9パーティ36名が相手か。うむ、悪くない。


「ネル、ニーズは並び、敵を牽制しろ! ストラネスは、後方から敵アタッカーを優先的に殺せっ!」私のパーティーだけが、MTの騎士ネル(奴隷)、STの騎士ニーズ(森の屋敷)と守りの硬いパーティだ。アースファクト兄様とマーカスの支援をするため、


腕技アップする”烈腕”、腕を増やす”幻腕”、浮遊する魔の槍を召喚する”魔槍”を唱える。


単発式の銃は連続で攻撃できない。そのためパーティメンバーと連携し順番に撃つ必要がある。ここまで敵の数が多いと、装弾が間に合わないため、MTである騎士の守りが重要になってくる。しかしSTがいないアースファクト兄様とマーカスのパーティには、どうしても隙きができるのだ。


その隙きを埋めるべく、矢を放ち、”魔槍”で牽制する。敵も装弾のタイミングで、こちらのパーティを崩壊させなければ、自分たちの命が無いことは重々承知の上だ。必死の特攻の気迫に圧され装弾の手が震える覚悟のない主従貴族たち。


「くっ」そんな主従貴族を守るため撃ち放つ矢。私にも隙きができるのだが、近づいてきたATの短剣を腕を増やす”幻腕”の短剣でいなし、魔導の母の指輪にストックしてある6つの魔法の一つ”疾風”で、敵パーティに向かって、短剣使いを吹き飛ばす。


「あの女だッ! あの女を狙えっ! あいつが要になっているっ!!」


煩いとばかりにアースファクト兄様が、叫ぶ敵の眉間を撃ち抜く。しかし、敵はまだ半数以上残っている。それでも、一度、銃が火を吹けば、確実に敵の数は減っていくのだ。防御さえ破られなければ、こちらの勝ちは揺るがない。


現実は無慈悲である。強制イベント”リ・ポップ・カーニヴァル”が突如始まる。運が悪いことに大広間であり、ポップする箇所が多いのだ。次々と湧くレッサーゴブリンに、銃の装弾が間に合わない。


「一旦、通路に出るぞ!!」とアースファクト兄様が叫ぶ。


最悪な情況だと思われた今、さらなる不幸が訪れる。砦内に響く不気味な鐘の音。これは数十年に一度の強制イベントである”デス・パレード”だ。このイベントは、砦の第一層の入り口が閉じると同時に、その横に魔界の転移門が出現する。そこからアンデッドの軍勢が、砦の最下層を目指し、進軍するのである。軍勢は、時間と共に強力なアンデッドが召喚される仕組みになっており、最初のアンデッドは、ノーマル・スケルトンである。


「おい、不味いぞ。なるべく下の階層に行くんだ。第二層程度では、アンデッドで埋め尽くされるぞ!」ベテランの冒険者が下へ逃げるようにと指示を出すが、人間同士の対立、”リ・ポップ・カーニヴァル”と、十分に混乱している大広間に耳を貸す者はいないかった。


私達のパーティーでは、唯一、私だけが鐘の音の意味を知っており、アースファクト兄様に、下位階層への撤退を促す。「噂では、最後の方には、デーモンクラスの魔物も出現するそうです。生き残るためには、なるべく下の階層に潜り、アンデッドたちと遭遇しないことだけです」


私達よりも早く、下層への通路に突入する敵パーティがいた。「くそっ! 出口を塞ぎ、”リ・ポップ・カーニヴァル”を押し付けるつもりかっ!!」


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