食
悔しかった。情けなかった。怖かった。戻りたかった。ずっと押さえつけていた感情が解放される。
久しぶりだ。メイドに服を脱がせてもらうのも…。覚えているわ。この順番、このリズム。
さぁ、衣服を全て、私から取り除いて!! 私を裸にして!!
裸になった私は、マーカスにエスコートされ優雅に食材の前に立った。
「あら? この子達、まだ生きているの?」
「そうだよ、エミリア。今日は、僕たちが巡り合った記念さ。デリマリート家のフィルン侯爵様が、この少年の心臓を生きたまま抜く役を君に譲ってくれるそうだよ! なんて羨ましいのだろう!!」
マーカスが大袈裟に言うと、ドレスを着ていないが、着ている風に挨拶をする私に、フィルン伯爵が近づいてきた。
「確かエミリアと言ったね。ナイフをエミリアに」フィルン侯爵がメイドに命令させ私はナイフを右手で持つ。フィルン侯爵のお腹と私の背中がくっつく。私は恥じらい顔を赤らめる。
「エミリア、しっかりと食材を見なさい。食する者の最低限の礼儀だと知ってもらいたい」
フィルン侯爵は、より体を密着させると、右手で私の右手を優しく包、左手は私の女の子の部分に触れた。「もう…涎が下から出ているではないかエミリア」周囲に「欲張りだな」とからかわれた。
フィルン侯爵の手の動いに合わせて、ナイフを少年の胸に差し込むと、少年の目は大きく見開かれた。
スーっと、ナイフを左から右へ移動させると、少年の胸から腹までが一気に引き裂かれた。心臓付近の大きな欠陥を傷つけてしまったのか血が飛び散る。
「さぁ、動いている心臓を引きずり出すんだ。エミリア」
ドクドクと動いている温かい心臓…。とても触り心地が良いの…。それを鷲掴みにして思いっきり引っ張る。ブチブチっと血管が切れる音がして、たまらなく興奮した。
「さぁ、エミリア、その心臓を私の口に」フィルン侯爵が辛抱たまらんというように急かしてきた。
むしゃむしゃと、子供のように口の周りを真っ赤にして、心臓をたいらげたフィルン侯爵。
他の貴族も食べたいのを我慢している…。貴族間の上下関係が無いなど嘘ではないか…。
「まぁ、待ち給え、貴族ともあろう者が、感情を表に出しすぎるではない。それに本日は、エミリアというスペシャルゲストもいるのだ。もうしばらく付き合ってくれ」
フィルン侯爵がマーカスに目配せをする。どうやらマーカスが司会進行役のようだ。
「さて、ご覧ください。少年の心臓は見事にもぎ取られ、少年は死ぬ間際に、子孫繁栄の最後の手段として、射精したようです。この生命エネルギーに満ちた部位を…なんと! エミリアが食することを、フィルン侯爵がお許しになったのです!!」
「「「おおぉぉっ!!」」」と貴族たちから感嘆の声が上がる。
「さぁ、エミリア、今度は自分で切り取って、食してみせなさい」
エミリアは先端を持つと根本から切断し、そのまま口に入れ咀嚼する。その一連の流れの美しさに貴族たちは息を吸うのも忘れていた。
「フィルン侯爵。とても美味しゅうございました」
満面の笑みでフィルン公爵を見つめるエミリアに、フィルン侯爵のソレが反応するのだった。




