岐路
「西の血族の真理は、食すことで犯すことではない。何人たりともエミリアに触れることを許さぬ」
フィルン侯爵が我にかえり、宴は少女を食して終了となった。
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目が覚めると、果物屋のお婆ちゃんが介抱してくれていた。
「目覚めたかね? 初めてだから、薬が効きすぎたんだね」
記憶が蘇り、自分がしてしまったことに、恐怖を覚え、口にしたものを吐き出した。
「あら? もったいないわね…。でも、過去は変えられないよ。今は心も体も拒否できているけど、そのうち心が拒否しても体が参加したがるだろうね」
何も言わずに店の外に出る。おかしい。平民の市場に、貴族がお忍びでも来たら目立つだろう? どうやって…地下に入ったの?
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夕食の用意をしながら、三人が帰宅するのを待つ。
人を殺した罪悪感と、人を殺した達成感、人の苦しみを我が手に出来た満足感、生きる肉体を弄んだ快感、先程まで生きていた者を食べた幸福感。罪悪感を消し去るには十分なほどの快楽だった。
私…そういう…系統の喜びを…感じる…血族なの?
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シリスが大はしゃぎで帰ってきた。苦戦していた第七層を三人で突破できたのだ。
「おめでとう!! ん〜、お祝いならもっと豪華な食事にすればよかったわ!」
「いいの! いいの! エミリアの美味い飯を食べた後に、ゆっくりと酒を飲むのが、今の一番の楽しみなんだ!!」
騎士ライナスも満足そうな顔だ。最近、暗く塞ぎがちだったから、本当に笑顔は嬉しい。
レグナルも近所の子供と戯れるくらいに上機嫌だ。
三人は、あっという間に酔い潰れてしまった。流石に三人だと、それぞれの負担が大きいのね。
ごめん…みんな。
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翌日、三人が起きたのは、太陽が昼の位置に差し掛かったときだった。私は敢えて起こさなかった。
理由は、休養と武器や防具のメンテナンスに時間をかけて欲しかったから。
「三人共、私のために、あまり無茶しないでね」
「エミリアの方こそ、あまり気を使うなよ」とレグナルが槍にヤスリを掛けながら言った。
「はい。わかってますよ。三人の連携になれすぎて、私が不要とか言わないでよ」
ほっぺたをぷっくりと膨らませて抗議するぐらいしかできないのです。




