残念な主
3つ杖のバレード。蒼いフード付きの外套をかぶり、両手には魔道具であろう指輪をいくつも嵌めている。
「あ、あの…裏ギルド魔導の母の…3つ杖って言っちゃっていいのですか? 言われても信じられないのですが…」
バレードはフードの奥でニコリと笑い、プレートを俺の目の前で揺らした。
”西の血族:白銀、魔導の母: 七色 、死の教団:白銀、闇の制裁:白銀”
マジだ…。俺はすぐさま跪き頭を垂れる。
「お前は、本日から俺の専属だ」
「わたしは、ノクターンの七灑守護者です。専属にはなれません」
「クラリスのホモンクルスよ、そんなことは知っている。フェレクター、こいつの主を呼び出せ」
主と聞き許可を得ずに視線を、バレードの左側に座っていた褐色の肌の男に移す。
男は天幕の中央に進むと、見たこともない触媒を手にすると魔法を発動させる。
その魔法の効果は…薄暗い天幕の中、明るく光る靄の中に…クラリス様が映し出せれた。
クラリス様は、ゆっくりと優雅に跪き歓喜に満ちた声で「うるわしき主なるバレード様、本日はどのような御用でしょうか」と言った。
「このホモンクルスを譲れ」
クラリス様は俺を一瞥すると興味がない口調で「仰せの通りに」言う。
「お待ちくださいっ!」
必死にエリアのことをバレードに伝え、今まで通りクラリスに仕えさせてくださいと懇願する。
「ふむ、そんなことか…。クラリス。こいつの言う女も譲れ」
「はい。いつまで経っても取りに来ないので処分しようかと考えていたところです」
「そ、それだけでは駄目です。バラバラになった…」
「うるさい。バレード様の前で喚くな。もとの人間に戻しておく。その後は知らん。そんなことより、バレード様…今度…」
「あぁ、わかっているクラリス。こいつの所有権と女を至急よこせ。それが済み次第、こちらから案内を送る、しばし待て」
「は、はい。わたくし…」
バレードが右手を上げると、フェレクターが魔法を中断し、空間に何もなくなった。
あれ? クラリス様って…。残念な主だったのか?
「さて、そういうことだ。所有権が来るまで、お前にはこれを習得してもらおうか」
ダンっと床に投げ捨てられた三冊の魔法書を手に取り途方に暮れるのであった。




