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GUARDIANS・IN・IRON   作者: 寺野深一
第二章 波乱到来編
24/51

第23話 「阿多野の悪巧み」

第23話、お届けします

 




 ――時は遡って、昨日の夕方。




 放課後、学校から帰宅した俺の元に、阿多野から呼び出しが入った。

 その文面は、所定の場所に身近な物品だけ持って来い、というものだった。

 正式な通知なので無視するわけにもいかず、身近な物だけ適当に旅行バックに詰めて俺は家を出た。




 不思議に思いつつも、湾岸部にあるというその場所に向かう俺。

 ところが、途中でばったり四ノ宮と遭遇する。

 彼女は、俺と同じような出で立ちをしていた。

 ラフな私服姿で、荷物で膨らんだボストンバッグを肩からかけていた。


 なんでも彼女が言うには、似たような内容で阿多野に呼ばれているとのこと。

 しかも、その場所は俺と全く同じ座標だった。

 携帯端末の地図を開き、その辺りを確認すると、どうやら周囲に民家は無く、富津市の市街地からもやや離れていた。

 一応道は通っているようだが、この辺りに長く住んでいる俺も知らない場所だ。

 嫌な予感がしつつも、二人でその集合場所とやらに向かった。




 そして……




 ーーーーーー

 ーーー

 ー




「「ええええええ!?」」



 人気の無い、崖先にある謎の建物の玄関前。

 夕焼けの東京湾を望むその場所に、俺と四ノ宮の声が木霊した。

 思わず手にしたバックを落としてしまうほど、今耳にしたことは衝撃的だった。


 そんな俺達の前に立つのは、悪い顔でニヤニヤとしながらこちらを見ている阿多野信栄。

 そしてその後ろに、めっちゃでかい建物。

 豪邸といっても過言ではないほどの家だ。


 なぜ家ってわかるのかって?

 だって……



 表札に『阿多野』って書いてあるんだよッ……!



 もうこれだけで、大体の人達は想像がつくとおもう。

 阿多野はニヤニヤ顔で続けた。




「冗談とかじゃないからね。

 もう一度言うよ。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()



 はっきりいおう。


「「意味がわかりません」」


 俺と四ノ宮の声がハモった。

 いきなりそんなこと言われたって、はいわかりましたってすぐに納得できるヤツなんていないだろう。

 詳しい説明が欲しい。


 それを聞いた阿多野は、やれやれといった仕草をする。

 うわ、その顔ムカつくなー……


 阿多野はそのムカつく顔のままで続けた。



「これはね、我が組織の中でもダントツの戦績を誇る君たちの、さらなる戦力アップを狙ったものなんだ」


 ほうほう。

 戦力アップとな。

 それで?


「それで……こうなったわけさ」


 うん。


「「意味が分かりません」」


 欠片もな。

 いったいどういう思考をしたら、そこから俺達をその……ど、同棲させるという結論に行き着くのだろう。


「やれやれ……これは研究なんだよ」

「研究?」

「そう。

 主に人の精神面と心理面についてのね」


 それがどう俺達の同棲に繋がるのだろうか。

 その研究とやらの内容を知りたいのだが。

 阿多野の研究なんて嫌な予感しかしない。


「具体的になにを研究するんですか?」

「いや、特別なにもしなくていい。

 ただ二人で暮らしくれれば、ね」


 含みのある言い方だな……。

 四ノ宮も疑念を抱いているようだ。

 不安そうに阿多野に尋ねた


「その……私達はなにを調べられるんですか?」


 そりゃ心配だろうさ。

 ここは阿多野の家だ。

 なにを仕掛けられているのか分かったものじゃない。

 具体的には隠しカメラとか。

 四ノ宮は可愛いし、そのお宝写真が欲しいヤツなんてごまんと居るだろう。

 まぁ、そのためだけに俺を巻き込むとは思えないけどね。


「まぁ、共同生活で君たちコンビがどれだけ息の合った連携ができるか、とかだね」


 急に真面目になったな。

 なるほど、連携強化ね。


「もし有効であるなら、今後は小隊ごとのシェアハウスを手配する予定だよ」


 それで、戦力アップを狙うというわけか。

 でもなんで俺達なんだ?


「なんで私達なんですか?」

「今後のためだね」


 四ノ宮が訊くと、阿多野はそう答えた。


 今後のため?

 俺達を実験台にすることが?


「つまりは、共同生活で連帯感を強めた君たちコンビを、この先の戦いにおける戦力の主軸に置きたいのさ」


 そう、それだ!

 そういう説明を待ってたんだよ!

 まったく、最初にそういってくれれば分かりやすかったのに。


「そういうことでしたか」

「そういうことだよ」


 なるほどね。

 やっと納得できた。

 四ノ宮も合点がいったようで頷いている。


 それは安心したよ。

 だって阿多野のことだからてっきり


「戦力アップとかいって、これで俺と四ノ宮くっつけて、子供を組織に引き入れようとか考えているのかと思ってしまいましたよ」

「………誤解だよ」


 ……おい。


「なんですか今の間は」

「うっ……気のせいじゃないかな」


 じゃあなぜ目を逸らすんだ阿多野。

 今「うっ」っていったよな。

 確かに聞こえたぞ。

 まさか……


「本当にそんなこと考えてたんですか!?

 心理面の研究ってそういうことだったんですか!?」

「……」


 目を合わせようとしない阿多野。

 コイツ確信犯や。

 冷や汗まで搔いてやがる。


「「……(俺と四ノ宮の冷めた視線)」」

「と、とにかく……。

 君たちにはここで暮らしてもらうよ!

 これは正式な任務なんだから!」


 あ、ずりぃ!

 任務を盾にしやがった。

 てか、睦戸も認可したのかよこの任務……。

 なんて組織だ。


 まったく……


「はぁ……仕方ありませんね。

 まぁ四ノ宮がいいなら別に俺は構いませんけど」


 まぁ、引き受けてもいいだろ。

 第一俺にはまったく損が無いのだ。

 別に四ノ宮と暮らすのは嫌じゃないし。

 むしろウェルカムだ。



 ……ん?

 というよりこれは……もしやチャンスなのでは?

 上手くいけば、美少女と二人一つ屋根の下で暮らすことになるんだ。

 あんなことやこんなことが起こるかも……!



 ――俄然乗り気になってきた……!



「うーん……」


 四ノ宮はほんのり顔を赤くしながら、まだ悩んでいる。


 乙女にはいろいろ気にすることが多い(らしい)からな。

 悩むところもあるのだろう。

 顔が赤くなっているのを見ると、恥ずかしいのかも知れない。

 〈ASCF〉って出会い少なそうだし。



 彼女はしばらく考えていると、やがて答えを出した。


「……に、任務ならしょうが無いよね、うん……。

 任務ということなら、私も大丈夫です」


 最初になにか小声で言っていたけど……

 まぁ、いっか。



 それよりも!

 よっしゃ、四ノ宮も了承した!

 これがなによりも大事だ。


 些細なことは気にしない気にしない。

 心なしか阿多野のニヤニヤが濃くなってるけど、それも気にしない。



「よし、それじゃあ同意もとれたことだし……。

 そうだな……中を案内しようか?

 なんなら後日でも構わないけど」


 阿多野はそういって、家を指さす。


 そういえばまだ中を見てなかった。

 外から見ると凄い建物なのだが、内部は一体どうなっているのだろう。

 だいぶ広そうだが……


「行く?」

「いいよ」


 一応四ノ宮に確認すると、彼女は頷いた。

 それじゃ、いってみるか。




 そして、阿多野に促されるまま、俺達は家へと入った






ちょっと長くなりそうだったので、一旦ここで切りました

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