↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
GUARDIANS・IN・IRON   作者: 寺野深一
第二章 波乱到来編
25/51

第24話 「豪邸」

お待たせいたしました

第24話お届けします

 





 近代的な造りのその家は、一言でいえば豪邸だった。




 まずはリビングから紹介していこう。


 広さは学校の教室より一回り大きいくらいだ。

 数値にすると(10×10)㎡くらいかな。

 天井は高く、179cmある俺が跳んでも届かない。

 まぁ、要はとにかく広かった。


 床はフローリングかと思いきや、ちゃんとした木材らしい。

 歩いても、軋み一つ鳴らなかった。

 木独特の温かみが、足に優しい。


 中央は一段低くなっていて、柔らかいソファーに囲まれている。

 床にも絨毯が敷かれ、真ん中には大きなテーブルが置いてあった。

 寛ぐにはうってつけの場所だな。



 すると、早速四ノ宮はそこが気に入ったようで、ソファーを見つけるなりいきなりダイブした。

 まるで猫じゃらしに飛びつくネコだ。


 ソファーに寝そべり、ゴロゴロゴロゴロ。

 時々「うにゃ~」なんていう可愛らしい声も聞こえてくる。

 ソファーの心地よさを堪能しているようだ。

 生活が始まれば、そこは彼女の定位置になりそうだな。



 しばらくその姿を眺めていると、やがて四ノ宮はムクリと起き上がった。

 パンパンと、シワにならないように服を払う。

 恥ずかしそうに俯いた顔が真っ赤だ。



 もう、四ノ宮ネコは可愛いなぁ。

 同じように俺にもダイブしてきて欲しい。

 俺ならいつでもウェルカムだからな。

 そして、そのまま一緒にベッドへGOだ!



 ……うん、有り得ないね。




 まぁいいや。

 おふざけは置いといて、紹介に戻ろう。


 実はこのリビング、外側の壁にある窓が引き戸になっているのだ。

 よく手入れされていて、窓には曇り一つなく、枠には汚れ一つない。

 東側と南側にあるので、昼間は日の光がよく射し込み、明るいのだろう。

 そこから家を囲む広い庭に出ることもできる。

 もう外は暗いので、今は明るいグリーンのカーテンが引かれていた。


 家具の類は75型のでっかい薄型テレビだけだ。

 装飾品なども落ち着いた感じで、

 まさに憩いの空間といった感じだった。



 リビングにはキッチンが隣接している。

 これまた広いキッチンで、調理器具もめっちゃ充実している。

 フライパンが10個くらいあった。

 一体何の料理に使うのかよくわからないものもある。

 めっちゃ小っちゃい鍋とか。

 このサイズじゃ味噌汁も作れないだろ。

 俺は別に料理人ってわけじゃないから、知らなくても良いんだけどね。



 次は二階にいこう。


 ここは居住スペースみたいだ。

 そこには七つほど部屋が並んでいた。

 部屋のない空間には小さめのテーブルとソファーがある。


 廊下に連なる扉と扉の間隔は広い。

 多分部屋も広いんだろう。


 二人だけだと好きな部屋を選べるな。

 残りはほとんど客間になるだろうし。

 一つくらい書斎にしてもいいかもしれない。

 いいね、夢が膨らむ。


 すると阿多野が真っ直ぐある部屋へと俺達を連れて行く。

 一番奥にある部屋だ。


「ここは?」

「君たち二人のための部屋だよ」


 なんだろう。

 俺達二人のため?

 俺達に共通すること……共同作業……

 あ、分かった!


 きっとトレーニングルームだな?

 それかレポートを書くデスクルームのどっちかだろう。

 家でも〈ASCF〉の仕事や訓練をさせる。

 阿多野なら考えそうなことだ。



 そう思っていたのは扉を開ける前の話だ。



「ここは……ベッドルームさ」



 分厚い木製の扉を開けた先にあったのは……



 キングサイズのベッドだった。



 ……って、オイィィィィィ!?


 なんてこと考えてやがる。

 いきなりとんでもない部屋案内しやがって。

 なにがベッドルームだ。

 俺と四ノ宮くっつける気満々じゃねぇか。

 そういうのはムードが大事――じゃない、本人の気持ちが大事なんだよ。


 見ろよ、

 四ノ宮も顔を真っ赤にして怒ってるじゃないか。

 これで俺まで嫌われたらどうすんだ!


 そんな俺の心情を察したのか、阿多野は優しい声音で、



「大丈夫、防音対策はしっかりしてあるからね。

 どんなことをしてても声一つ外には漏れないよ」

「いや、そういう問題じゃねぇ!!」


 おかしいだろ!

 なんでヤること前提になってんだ!


 ……そりゃしたいけどさ。

 確かにさっきもそんなこと考えてたけどさぁ。


「……一体何が不服なのかね?

 せっかくここまで用意してあげたというのに。

 ……もしや君は不能なのかい?」

「違いますよ!?」


 失礼な。

 うちの息子は健康体そのものだぞ。


「じゃあ嫌がる理由など無いだろう?」

「大有りだ!」


 男心が分からんヤツめ。

 こんなあからさまなところで出来るかってんだ。

 ややこしくなるからもう喋るなよ。


 すると、隣にいた美少女が不安げ表情を見せた。


「き、木崎はその……私じゃ嫌、なの…?」

「ええっ!?」


 四ノ宮までなにを言い出すんだ!?


 顔を赤くした四ノ宮が上目遣いに訊いてくる。

 な、なんて破壊力抜群の仕草なんだ…。

 心臓が破裂しそうなくらいに脈を打ち始める。

 自分でも分かるくらい顔が熱くなっている。


「い、嫌なわけじゃないけど……」


 四ノ宮が嫌なわけじゃない。

 それは断じて違う。


 だけどさ、その……

 お膳立てされた状況は嫌だというか、



 ………彼女は自分で射止めたいというか



 …と、とにかく!


「よ、余計なお世話ですから!

 早く次に行きますよ!」


 そういって、部屋を出る。

 視界のはしで阿多野がやれやれと肩をすくめているのが見えた。


 うっわムカつく。

 コイツ、覚えてろよ。

 いつか絶対やりかえしてやるからな




 ーーーーーー

 ーーー

 ー





 あの後俺達は、風呂・和室・庭・トレーニングルーム(案の定あった)と、順番に見て回った。


 特に風呂は凄かった。

 広い湯船はもちろん、なんとそこから海が見えるようになっているのだ。

 しかも西側に向いているので、日暮れ時にはさぞかし綺麗な夕陽が見られるのだろう。



 1階と2階を全て巡った後、


「最後に、地下を案内しよう」


 阿多野がそう言った。


 地下まであるのか。

 凄いなこの家。


 どんな様子なのだろう。

 やはり秘密基地みたいな感じなのだろうか。

 地下って響きにロマンがあるよな。


 期待に胸を膨らませつつ、案内された場所は……


 何故かリビング。


「あれ、

 地下に行くんですよね?」

「そうだけど?」


 なんでリビング?

 地下に続いてそうなところなんて、

 どこにも無いじゃないか。


 キョロキョロと見渡してみるが、特に変わったものは何も無い。

 さっきと同じく、テレビとソファーとテーブルがあるだけだ。

 一体どこから地下に行くのだろう。


 すると阿多野は、ソファーの間にある照明調節器の所へ行った。

 阿多野が少し手をかざしていると、突如パネルが上へと開いた。


 そして中から新たなスイッチが現れる。


 どうやら隠しボタンのようだ。

 阿多野がそのスイッチを押す。


 ガコンッ……!


 微かな振動と、何かのロックが外れた音。

 そして驚く間もなく、床が下降を始めた。


 なんと、地下に通じる場所は、俺達が立っていたところだったようだ。

 ここがそのままエレベーターシャフトとなっていて、地下に続いているらしい。


 だが、地下に行くだけなのに、なんでこんな大がかりな仕掛けを施したのだろう。

 地下にはどんなものがあるのだろうか。

 俄然興味が湧いてきた。



 ゆっくりとエレベーターが降りていく。

 壁は隔壁のような感じだ。

 周りは何も見えず、上にリビングの天井が見えるだけだ。




 下降を始めて5分ほど経った後。


 ガコンッ……!


 微かな振動があり、床が停止した。

 どうやら地下に到着したようだ。

 停止と同時に辺りの照明が灯った。


 暗がりに隠れていた様子が明らかになる。


「ここは……!?」


 そこには、長く巨大な通路が広がっていた。

 俺達が今いるエレベーターは、プラットホームのような場所にある。


 殺風景な通路だ。

 そして、随分と見覚えのある光景でもあった。

 俺は二回ほど、ここに似た場所に来たことがある。


 そう、ここは……



「本部直通のモノレールだ」



 阿多野が一応教えてくれた。

 乗る機会はあまり無いが、その時のことは良く覚えている。

 〔ヴァイツ〕と出会ったときと、入隊式のときだ。

 どちらも印象的な出来事だったからな。


「先に言っておこう。

 ここは〈ASCF〉の重要機密の内の一つだ」


 本部と、全国にある〈ASCF〉支部を繋ぐ線路。

 地下深くに隠された非常通路だ。

 もちろんこの存在は機密だろう。


「このモノレールは、有事の際に使ってもらうことになる。

 それも急を要する場合の、だ」


 それは言外に、滅多なことでは使うなという意味を含めている。

 よほどの緊急事態の時で無ければ、使用許可は下りないということか。


「それと……突然だが、この通路の広さの意味は分かるかい?」


 いきなり、阿多野がそう問いかけてきた。


 広さの意味?

 そう言われて、もう一度通路をよく見てみる。

 ドーム型の広い空間だ。

 モノレールのサイズに対しても、相当大きい。

 丁度、IG一機を横に寝かせた時と同じくらいの……



 まさか……!?



「そういうこと」


 表情から俺達の思考結果を感じ取ったのだろう。

 阿多野はそう頷く。


「ここから出撃する時があるかもしれない、程度には覚えておいてくれ」


 エネミスは昼だろうが夜だろうがお構いなしにやってくる。

 俺達も深夜たたき起こされることがこれからあるかもしれない。

 ここが一応〈ASCF〉の施設であるなら、こういう備えは大切だ。

 特にスピーディーな運用が求められる〔ヴァイツ〕にとっては。


 まぁそれも修理が終わってからの話なのだがな……



「さて、それじゃ上に戻ろうか」




 ーーー




 再度エレベーターに乗り込み、リビングに戻ってきた。


「それじゃ今日はお疲れ様。

 これからもイロイロと頑張ってくれたまえ」


 案内が終わると、阿多野はすぐに帰っていった。

 副代表であれば、常に仕事が山積みなのだろう。




 あー……つかれた。

 行く先々で阿多野がボケるもんだから、反応に疲れてしまった。

 時計を見てみると、20時を回っていた。

 ここにきたのが18時頃だから、もう二時間経ったのか。

 あっという間だな。


 そう認識した途端、急に空腹感が襲ってきた。


 ……そういえば、晩飯まだだったな。


「四ノ宮」

「ん、なに?」

「飯にしようぜ」

「いいよ」


 キッチンの大型冷蔵庫には、大量の食材があった。

 二人でも二週間分くらいありそうだ。

 取り敢えず何か適当に作ろう。


「四ノ宮は料理とかするのか?」

「麻婆豆腐は結構得意、木崎は?」

「チャーハン」

「逆にそれ苦手な人なんて居ないと思う……」


 しょ、しょうが無いだろ!

 手早く大量にできるから、よく作るんだよ。

 余り物入れてもちゃんと料理になるし。


「じゃ、料理は当番制にしようよ。

 一日交替でその日のメニューは自由に決めて良いからさ」

「おう、いいぞ」

「それじゃ今日は私が作るから、木崎は待ってて」


 四ノ宮はそういうと、テトテトとキッチンへ向かう。

 後ろ姿が大変可愛らしい。

 特に尻は相変わらず素晴らしい具合だな。


 ……っといかん。

 これからはそういうのは控えたほうがいいな。

 どうやら四ノ宮は、そういう劣情に敏感みたいなようだし。


 今後は二人一つ屋根の下に住むのだ。

 出来れば仲睦まじく暮らしたいだろ?

 変に気まずくなってギクシャクはしたくない。

 彼女に嫌われないためにも、エッチぃのは抑えるようにしなければ。

 エロい木崎くんはゴミ箱にポイして、清純派な木崎くんになるのだ。


「あ、そうだ木崎」

「どした?」

「料理は何作ってもいいんだけど……」


 そう言って四ノ宮は、


「流石に毎日チャーハンはやだからね」


 カラカラと笑った。



 ……かわいいッ!!


 俺をからかっているのはわかっているのだが、

 無邪気なその笑顔を見てると、さっきの決意が早速瓦解しそうになる。


 いかんな。

 とっても危険だ。

 特に俺の理性が。

 彼女は最強の生物兵器かなにかなのかもしれん。


 そんなことを考えながら、やがて漂ってくる何かを炒めている良い香りを楽しむ。

 そんな平和な時間。

 これからどんな日常が待っているのだろう。

 楽しみだ。




 そうして二人の夜が早くも過ぎ去っていった。





 かに思えた。





またまた次話に続きます


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。