表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
70/85

第70話 オマエたちが喜ぶ顔を見たいから――

「結局、最後まで勝手なヤツよね」


 亜紀はムッとした表情でメグミにそう言う。


「そうね……」


 やはり上の空のメグミにヤレヤレと思う亜紀。


「しっかりして! 明日、勝たなければ魔法科はなくなるのよ!」


 ダグラスの進退はともかく、明日の試合には魔法科存続もかかっている。うだうだと気をもんでいる場合ではないのだ。


「うん、わかっているって――」


 そう言って、メグミはコートに戻るのだった。結局、メグミはそのあともミスを連発して、授業は終わった。


 その日の夜――メグミはまたダグラスの部屋へ向かった。


(理由なんて聞いても仕方ないのに……)それでも、聞かずにいられなかったのだ。

 ドアを叩くと、ダグラスの声が聞こえた。中に入ると――


「明日は朝から試合だ。早く寝ろ」

 さっそく、そう言われる。メグミは「わかってるわよ」と応えたあと――


「ねえ、一学期が終わったら、ここも出て行くの?」


 思ってもいなかった質問で、ダグラスはメグミの顔を見た。


「なんだ? 出て聞けと言っていたのはオマエだったよな?」


 気が付けば、ダグラスは女子寮に二か月居座った。男が女子寮にいるなんて信じられない――最初はそう思っていたのに、今ではここにいるダグラスが当たり前になっていた。


「ここを出て行ったら、どこへ行くの?」

「――さあ、どこへ行くんだろうな」

 そうはぐらかす。


「いいから早く寝ろ。そして、明日は勝て」

「――どうして?」


 メグミの質問に、ダグラスは顔を上げた。

「どうして、とは?」

「だって、勝っても負けても、ダグラスはここを出て行かなければならないのでしょ? だったら、試合の勝ち負けなんてどうでもいいじゃない」


 ダグラスは「いや、本気で勝ってほしいと思っている」と応える。

「だから、どうして――」

「勝って、オマエたちが喜ぶ顔を見たいから――理由なんて、それで充分だ」

「――卑怯な答えね」

「そうか?」


 なぜ、その答えが卑怯なのか? という困惑した表情をダグラスは一瞬見せるのだが、また、『なんでも見透かしたような』憎たらしい笑みに戻る。


「それで、どうだ? 勝ちたいという理由としては足りないか?」

「いえ、充分よ。絶対に勝つわ」


 勝負なのだから、勝ちたいと思って当然。勝って、みんなで喜びたい。それ以外にどんな理由が必要だというのだ?

 もう、うだうだ考えることはよそう――そうメグミはハラをくくる。


 そして、試合当日がやってきた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ