第67話 どうやら友達は多いようですよ
放課後、メグミは学校の最寄り駅から電車を乗り継ぎ、三十分ほどでとある駅に到着した。なぜ、彼女がここに来たかというと、美咲の自宅の最寄り駅だからである。
魔法科の生徒は、その大半がメグミのように寮で生活している。だが、実家から通っている生徒も数人いた。美咲もその一人である。舘林から教えてもらった住所をスマホのナビを使って、なんとかそのアパートを探し当てた。
「ここ……よね?」
住所と同じ部屋番号の前で、呼び鈴を鳴らそうとするメグミの指が止まってしまう。美咲とはクラスメイトというだけで、特に仲が良いわけでもない。
(事情も知らない自分が家まで押しかけるなんて、失礼なんじゃ……)
ここまで来てそんなことを考えてしまい、(やっぱり、やめようと――)と考えた時、背後から肩を叩かれる。びっくりして振り向くと――
「ダ、ダグラス!?」
いつの間にか、ダグラスがメグミの後ろに立っていた。そして、メグミが押せなかった呼び鈴を鳴らした。
「ちょっと――」
「ここまで来たんだ。話だけでも聞こう」
すぐにドアが開く――
「先生? それに大埜さん?」
美咲が驚いた表情で二人を見た。
「誰? お友達?」
奥から女性の声が聞こえる。
中に入れてもらった二人。布団で寝ていた四十代くらいの女性の前まで案内される。
「こんなところまでお越しいただいて、本当に申し訳ありません」
女性は美咲の母親だった。今朝から熱が出て美咲に看病してもらっていたそうだ。
「たいしたことはないから学校へ行きなさいと言ったのですけどね」
母親はそう言って笑う。そのとき、お茶を淹れていた美咲が戻ってきた。
「前にもそんなことを言って、帰ってきたら倒れていたことがあったでしょ?」
どうやら、母親は二年ほど前から体調を崩しているらしい。美咲は母親と二人暮らしなんだとも合わせて聞かされた。中学卒業後、美咲は働くことも考えていたようだが、母親は強く進学を勧めた。清蓮学園魔法科が入学金、授業料ともに免除であることも知り、美咲は清蓮へ通うことになったのだ。
「だけど私がこんなだから、美咲が勉強に集中できないので、申し訳なくてね」
自分の体調のために、美咲が学校を休みがちなので、気にしているみたいだ。
「でも、こうして心配してくれるお友達がいるなんて思わなかったわ。この子、人と話すのが苦手でしょ?」
友達か……と、メグミは苦笑いする。実のところ、美咲とはほとんど話したことがなかった。
それに――
「お、お母さん、こちらの人は先生よ」
美咲は慌ててダグラスを紹介する。
「そうなんですか? 若いのでてっきり学生さんかと――」
母親はそうやってダグラスに謝る。
(まあ、とても先生には見えないよな。しかも、自称三百歳超えなんて……)と、謝る相手を逆に同情してしまうメグミだった。
「いえ、『体質』なんで気にしないでください。それに、どうやら友達は多いようですよ」
ダグラスが意味深な言い方をするので、美咲とメグミは、(どういうこと?)という表情で互いを見る。そのとき、呼び鈴が鳴った。
「えっ? 西園寺さんに馳川さん!? それに藍川さんも――」
美咲が玄関のドアを開けると、三人の姿が――




