第55話 あのチーム、スゴいね
「はい、それじゃ五分の休憩後、ミニゲームを始めます」
バタバタと座り込む生徒達に、ナタリアの見学者は面食らう。いくら、休憩と言われても、授業中に座り込むなんてありえないと思ったからだ。
休憩が終わるとコートを二つに分け、それぞれのコートで試合形式の練習が始まる。
ゴールボードに魔法が当たりポイントを取るか、相手側三人をヒットアウトにする。もしくは二十四秒経ったら、順番にチームが入れ替わっていった。
これも一般的な練習であるのだが、やはり笑顔の生徒が多く、ナタリアの見学者には物足りなく感じてしまう。
だが、ゲーム形式だとチームのレベル差が際立つ。やはり、連携や、魔法スキルの高いチームへ目が行った。
「あのチーム、スゴいね」
ナタリアの生徒が唸るほどすばらしい動きを見せていたのが、メグミたちのチームだった。メグミの魔法スキルを武器に、マナミ、リナの連携も見事である。メグミがコートに立つたび、見学者の注目が集中した。
それはナタリアの生徒だけではない。同行した今居を含めたナタリアの教師たちもメグミのプレイに目が奪われる。
「なるほど、あのコか……」
今居は誰にも聞こえないように、そうつぶやいた――
一時間半の授業が終わると、ナタリア側がお礼を述べて解散となった。
「ねえねえ、ナタリアの人達、メグちゃん見ていて驚いていたね」
マナミがメグミの防護スーツをつまんでそんなことを言う。
「そ、そう?」
メグミはとぼけてみせたのだけど、正直、視線が痛かった。
「きっと、競技会はメグミがマークされる」
リナが珍しく、自分から話しかけてくる。
「なので、マナミと私がカバーしないとダメ」
「うん、わかっているよ。まだまだ、練習しないと!」
そんなことを二人は話した。
「ちょっと、私たちが代表にならないかもしれないじゃない?」
七月の競技会は各学年一チームずつが代表になる。一年は十チームあるので、代表になる確率は十分の一だ。
「もう、決まっているって。だって、メグちゃん、キレッキレだもの!」
学年対抗戦でもメグミがアタッカーのターンは、全てポイントが入っていた。守備でも上級生相手に、ヒットアウト数が断然のトップだったのである。
「いやでも、亜紀のチームもずいぶん上手くなっているよ」
亜紀も放課後、メグミと一緒にダグラスの指導を受けるようになってから、メキメキと上達していた。ダグラスの指導は競技向けというよりもっと実戦的な魔法だったのだが、それによって魔法の技術も威力も上がっていたのだ。
「そう? そういえばメグちゃん、いつから馳川さんのこと名前で呼ぶようになったの?」
そんなに親しかったっけ? と、マナミは不思議そうな顔をする。放課後の個別指導は秘密になっているので、メグミは笑って誤魔化すのだった。




