第51話 おまえらに秘密兵器なんてあるのか?
「ナタリア女学院がウチの授業を見学にくる?」
朝のホームルームで舘林からそんな連絡を受けると、メグミは思わずつぶやいてしまう。
「メグちゃん、ライバルが視察に来るなんて、ウチもスゴくなったね!」
マナミは相変わらずポジティブだなぁ……
「でも、まあ……異世界人がどんな指導をしているのか、ライバル校なら気になるところよね」
ダグラスが召喚されてから、もう一か月が過ぎた。メグミたち一年生は、ほぼ最初からダグラスが指導しているので、すんなりと受け入れてしまった。しかし、最近からダグラスが授業を受け持つことになった二、三年はあまりに違う授業スタイルに戸惑っていると聞く。
(やっぱり、他の学校もそれぞれ授業内容が違うのかな?)
そんなことを考え、機会があれば見学させてほしいと思っていたところだった。
「先生!」
突然、マナミが手を上げた。
「他校が見学するにあたり、何か注意事項とかありますか?」
「注意事項? なんでそんなことを聞く?」
ダグラスが尋ねると――
「ほら、敵に知られないように、秘密兵器は隠しておく――とか?」
「おまえらに秘密兵器なんてあるのか?」
それもそうだね、と笑いが起こる。
「でも、鈴来さんの風魔法とかは? 秘密兵器だよね?」
マナミがそう言うのだが――
「風属性の情報はすでに他校も知っているだろうし、対策も考えているだろう。それどころか、風属性をマスターした生徒もいるかもしれない」
風属性自体はこの世界でも存在が確認されていた。ただし、その威力が火属性に比べ低いため、競技に使われていなかっただけである。美咲のような風属性の適正がある生徒が現れたということは、他校にもいる可能性は充分考えられる。そういった人材の発掘や、風属性の対策もすでに行われていると思っていた方がいい――そう、ダグラスは考えを述べる。
「なんだ。秘密兵器とかカッコイイと思ったんだけどなあ……」
結局、カッコイイかどうかだけだったんだね……とメグミは苦笑いした。




