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第42話 いやいや、大健闘でした

「くくっ……」


 清野蓮の隣にいる麻村が悔しそうな声をあげた。清野はそれを見て見ぬふりをする。

 アタッカーが退場になって、攻撃側は二人。こうなると相手は攻撃を仕掛けず、時間つぶしに入る。もし、下手に前に出て残り二人も退場になってしまうと、防御側にポイントが入るうえに攻守交替となるビックプレイになってしまうからだ。そのまま、二十四秒が経って、ターンオーバーとなった。


 攻撃側になっても亜紀は躊躇わず、ゴールボードに向かって全力疾走する。当然、相手は亜紀を狙うが、琴子とサナエのコンビネーションで相手の攻撃を防ぐ。相手の隙ができたところで、亜紀がゴールボードへ攻撃した。


「一年生チーム、ポイント!」

「オオーッ!」


 最初のポイントが亜紀たち側に入ると、一年生側が盛り上がる。前半は二ポイントの差を付け、ハーフタイムとなった。


「馳川、飛ばし過ぎだ。後半は時間を使って逃げ切るんだ」

「何を言っているの? まだまだ引き離すわよ」


 そう言って意気揚々とコートに戻ったが、ダグラスの懸念通り後半は時間が進むほど亜紀の動きが悪くなる。相手も亜紀を狙うようになった。結局、最後は二年生チームに連続ポイントが入って、引き分けとなってしまう。

 悔しそうにする亜紀を琴子とサナエが慰めながらコートを後にすることとなった。


「いやあ、欲しかったですな。もう少しで大金星だったのに」


 麻村は冷や汗をかきながらの観戦となったが、最後、二年生が追いついたので、ほっとムネをなで下ろしている。


「いやいや、大健闘でした。なにせ、一年生では一番心配だったチームですからね」

「ハ、ハ、ハ。まさか、次に出てくるチームはこれより強いと?」


 麻村の質問に、清野はニヤリとするだけだった。

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