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第41話 なあに、気分転換ですよ

『これより、二年生と一年生の試合を始めます!』


 魔法競技場には多くの観客が集まっていた。魔法科の生徒や教師だけでなく、普通科の生徒もやってきている。誰もが魔法という非日常を観たいと思っているのだ。

 ダグラスは第一試合に出場する亜紀、琴子、サナエを呼んだ。


「イイか、相手は先輩だが、練習通りの動きができれば充分勝機はある。自信をもって行け!」

「充分勝機? 違うわ。大差で勝って、相手の出鼻をくじいてあげるわよ」


 妙に自信満々な亜紀に、ダグラスは笑う。


「まあ、そのくらいの意気があってもイイだろう。さあ、行ってこい!」


 亜紀、琴子、サナエの順番で手を重ねると、亜紀の「勝つわよ!」という声に、「ハイ!」と返事をして、気合を入れた。


 二階にある応援席――


「これはめずらしいですね。校長が練習試合なんかに顔を出すなんて」


 校長で理事長の清野蓮が座る席の隣に、教頭の麻村が腰かけた。


「なあに、気分転換ですよ」

 そう、清野は気さくに応える。


「そうですか? 私はてっきり心配になって、居ても立っても居られなくなったのかと思いましたが――」

「心配?」

「ここで、一年生がボロ負けたりしたら、異世界人なんて雇った校長の責任問題になったりするかもしれませんからね」


 今日はただの練習試合である。もちろん、負けたからって誰かが責任を問われるモノではない。だが、こうして麻村がそれを臭わす発言をするということは、何か考えがあるのだろう――彼女はそう理解した。たとえば、今日の試合で一年生が恥ずかしい試合をするようなら、理事会なり保護者会なりで、問題として取り上げるつもりなのかもしれない。


「そうだな、そうなっては困るな」


 清野はクスッと笑った。



 亜紀たちが守備側で試合が開始される。すると、いきなり亜紀が相手のアタッカーに向かって全力疾走した!


「――えっ?」


 試合開始直後は相手の様子を見ながら、徐々に揺さぶりをかけるのがふつうである。なのに、いきなり仕掛けてきたので、相手は慌てた。


「ファイアボール!」


 当然、相手アタッカーは亜紀を攻撃するのだが、亜紀はそれをマジックシールドで防ぐのではなく、カラダをひるがえして躱す。


「先輩の魔法は遅いですよ」


 昨日、風属性魔法対策を練習したばかりだ。それでわかったことがある。相手の攻撃は初動と魔法杖の動きで、どこを狙っているのかだいたい予測できる。ましてや、火属性は視認可能。速度も遅い。防御魔法でなくても躱せばイイ。亜紀はそう気づいたのだ。


「ファイアボール!」


 防御魔法を使わなかったことで、亜紀は攻撃魔法を放つ構えのまま相手アタッカーに近づける。しかも相手は魔法を放ったばかりだから、ノーガード状態だ。


「きゃあ!」

 ピーッ!

「二年生チーム、アタッカー、ヒットアウト!」


 オーッ! という声が観客からあがった。いきなり一年生が好プレイを見せたので、大騒ぎになる。

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