第39話 ふん、わかっているわよ
一週間後。
明日が学年対抗の練習試合となる日、出場する三チームをダグラスが発表した。
「馳川、盛、西園寺のチーム。藍川、大埜、首藤のチーム。そして、仁志原、鈴来、田無のチームだ」
この一週間、クラス内で試合形式の練習を行ってきたのだが、三チームの勝率が圧倒的に高かった。なので、この選出に誰も異論はない。
今日はその三チームによる模擬戦を行う。
「それでは、藍川さん、大埜さん、首藤さんチームと、仁志原さん、鈴来さん、田無さんチーム」
舘林の合図で、六人がコートに入った。
「いい? 鈴来さんに対しては昨日話した作戦どおりよ」
メグミが二人に確認すると、マナミとリナはうなずく。
この一週間、鈴来美咲の風属性魔法は無敵だった。なにせ、魔法の軌道が見えない上に、銃弾並みに速いのだ。だが、メグミはあることに気づいていた。
「それでは始めます」
舘林が笛を鳴らした。アタッカーに入ったメグミは前にいる美咲へ向かって猛然とダッシュした。
「インパクト!」
早速、美咲が魔法杖をメグミに向けた。
(このタイミング!)メグミは「シールド!」と声をあげ、左手を前に出す。
ボンッ!
二人の間で突然、破裂音がしたので見ていた生徒がざわついた。
「えっ?」
何が起きたのかわからず、呆然とする美咲に、メグミは「ファイアボール」と唱える。
「きゃあ!」
「鈴来さん、ヒットアウト!」
シールド展開から電光石火の攻撃に、見ていた者は「おうっ!」と声をあげた。こうなると、メグミの前はクリアだ。
「ファイアボール!」
慌てて、仁志原と田無がメグミを攻撃するが、それはマナミとリナが難なく防ぐ。
「ファイアボール!」
じっくり照準を見定め、ゴールボードに向け魔法を放つとド真ん中に的中した。
ピーッ!
「藍川さんチーム、ポイント!」
メグミはダグラスを見た。風属性を攻略したことでどういう反応をするか気になったのだが、その相手は(今頃気づいたのか?)というような冷めた表情である。少しイラっとしたのだが、逆にそれを気にする自分にハラが立つ。
(ふん、わかっているわよ)
美咲の風属性魔法の弱点は、美咲の大きなアクションにあった。初動で杖を高く上げて、目標へ真っすぐ手を伸ばす。誰もが見えない魔法に気を取られていたが、魔法の射線上に防御魔法を展開すれば防げる。それにメグミは気づいたのだ。
その後も、メグミたちが一方的に試合を進めた。美咲の魔法が無力にされると、それだけに頼って、連携など他の部分がおろそかになっていた相手など、もはや怖くはない。
結局、大差でメグミたちの勝ちとなる。
続いて、亜紀たちと美咲たちが対戦するが、弱点を露わにされた美咲に勝機はなかった。亜紀も器用で、メグミのやっていた対風魔法の防御をすぐに覚えてしまったこともある。




