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第23話 イイ加減な気持ちで魔法を使うな。まじめにやれ

 亜紀から「本当は魔法が使えないんじゃないの?」と言われ、ダグラスは薄ら笑みを浮かべる。だが、それについて言及はしなかった。


「さあ、最初は藍川からだ」

「私の質問に応えていないでしょ!?」


 亜紀は執拗に食い下がるのだが、ダグラスは無視する。異様な雰囲気の中、マナミがセンターラインからファイアボールを放つと、なんとかゴールラインまで届いた。ただ、ゴールボードからは大きく外れてしまう。それでも、マナミは大喜びで――


「ねえ、ねえ、見た? ゴールラインまで届いたよ!」

 メグミは「えらいえらい」とツインテールの頭を撫でてあげる。


 それから、出席番号順に魔法を放つ。ゴールラインまで届いた生徒はやっと半分というところだ。ゴールボードに当てた生徒はまだいない。


「次、馳川!」


 亜紀がセンターラインに立ち、「ファイアボール!」と唱えて魔法を放つのだが、炎はゴールライン手前で消えてしまった。


「ああ、もう!」


 悔しがる亜紀だが、ダグラスは「ほう……」とつぶやく。


「な、なによ?」とムッとした表情でダグラスを睨むと、「いや、悪くない魔法だ」とダグラスは言う。


「なに? それってイヤミ?」

「イヤミじゃない。褒めているんだ」と笑うので、バカにされたと思ったのか、「ふん!」と亜紀はそっぽを向く。


 出席番号はファミリーネームのアルファベット順なので、ONOのメグミは三十人中、十八番目になる。そして、その順番となった。


(まあ……適当に……)


 そう思いながら、「ファイアボール」と唱えると、火の玉がゴールラインに向かって飛び出す。生徒から「おおっ!」という声が上がったのは、今までの魔法の中で一番威力があったからだ。射線は逸れたが、そのままゴールラインで、ボンッ! と音を立てた。思ったより威力があったので、放ったメグミでさえ驚いてしまう。


(これって、体力が付いたから?)


 先週は言われるがまま校庭を走ったのだが、魔法と体力は本当に関係しているんだと実感する。


「大埜、なんだ、今のは?」

「――えっ?」


 いきなりダグラスからそう言われて面食らう。


「イイ加減な気持ちで魔法を使うな。まじめにやれ」

 そんなふうにダメ出しされるとなんか納得がいかない。


「ちゃんと、ゴールラインまでは届いたでしょ?」

「距離が出ればいいわけじゃない。お前は雑念が多いから、斜線がフラついている。あれじゃ、いくら練習したからって上達しないうえ、人に迷惑をかける」

「なっ!」

「もうイイ。次!」


 そのまま順番が進むのだが、メグミはモヤモヤした気持ちが収まらない。


(なんでよ! 何が悪いのよ! マナミと比べても威力はあったし、ゴールボードの近い場所に着弾していた。どうして、私だけあんなふうに言われなければならないの?)


 そう考えると、どんどんハラが立ってきた。

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