第19話 本当は魔法なんて知らないんじゃないの!?
「スマホを手に入れた」と自慢げに言うダグラス。当然、全員冷めた視線を彼に送る。
「いやあ、これの情報量はスゴいなあ! オレがいた世界にはこんなものはなかったぞ。伝説の神殿図書館とアクセスしているのか、これは!?」
やたら興奮しているダグラスが黒板になにやら書き始めた。
「オレの電話番号とメールアドレスだ。みんな、どんどん連絡してくれ!」
それにはみんなどん引きしてしまう。
「ま、マグナマル先生! 個人情報を開示するのはいかがかと……」
舘林が慌てるのだが、ダグラスは「そうなの?」とよく理解していないという表情を見せた。
それからは、舘林が本日の連絡事項を一通り説明したあと、「質問がある人いますか?」と確認する。
「先生!」
珍しく亜紀が手を上げると――
「次の魔法競技会で私達一年が優勝しなければ、魔法科が解散になるって話は本当ですか?」
いきなりそう言われて、舘林はアタフタするのだが――ダグラスが勝手に応える。
「ああ、どうやらそうらしいな」
クラスが一斉に騒がしくなった。
「どうして、そんな約束をしたんですか!」
「オレは、『優勝できなかったら自分が辞める』としか言わなかったぞ。そしたら、魔法科廃止まで話が広がったらしい」
あっけらかんと答えるダグラスに、亜紀は食い下がる。
「いったい、どうするのよ!? アナタのせいで、私たちの人生が変わってしまうかもしれないじゃない!」
机を叩いて抗議する亜紀に、ダグラスは「まあ、そんなに興奮するな」と言う。
「要するに、優勝すればイイだけだろ? 大丈夫だ、ちゃんと勝たせてやる」
「そんなに簡単に言わないで! これまでの競技結果は聞いているのでしょ!? 清蓮学園はまだ一度も勝ったことがないのよ!」
「もちろん聞いたし、ビデオというのも見せてもらった。あんな遊び、オレがいた世界なら簡単すぎて試合にならないぞ」
この世界の魔法レベルが幼稚すぎると、あっさり言い切る。
「なっ!」
亜紀の顔が真っ赤になる。彼女だけでない。さすがにバカにされたようで、全員、顔をしかめる。
正直、魔法科がどうなろうとかまわない――そう思っていたメグミでも、ダグラスの言い方にはムカムカした。
「そんなことを言っているけど、この一週間、走ることしかさせてなかったじゃない! それで、勝てると思っているの!?」
「その質問には答えない」
「はぁ!?」
そればっかり言い返されると、さすがに我慢できなくなる。
「答えない、答えないって、本当は魔法なんて知らないんじゃないの!?」
ついにそんなことを言ってしまった。
「――それも答える必要はないが、ヒントを与えることにしよう」
ダグラスはメグミに、こう質問する。
「一週間、オマエたちは校庭を走ってきたが、それから、一度でも魔法を使ってみたことがあるか?」
「えっ?」




