防具と感性
ガチャしようと意気込んだが、先にステータスだけでも確認した方が良いか。これでLUKが低かったら目も当てられないからな。
受付を離れて識石に向かう。ラッキーなことに誰も並んでいなかった。
「ステータスオープン」
早速ステータスを確認する。頼むよー……
Name:ユウゴ
Age:20
Level:38
Job:戦士 ☆☆☆☆
Type:人族
HP:410
MP:48
STR:82
VIT:103
DEX:60
AGI:58
INT:55
CHR:35
LUK:65536
おしっ!
しっかりLUKが上がっている。戦士の星も四つか。結構良い方かな。軒並みステータスは高くなっているし、これなら何発か攻撃を喰らっても大丈夫そうだ。あくまで、雑魚相手だけどな。
ドラゴンがどんなものかわからないけど、流石にただのローブじゃきついと思う。
ここで防具を引く!
引いてみせる!!
「良かった。大丈夫そうだね。ガチャしていくの?」
「ああ、今の俺は何でも出せる気がする」
「それ、駄目なやつよ……」
イロリナが何か言っているが気にしない。新たな装備に思いを馳せ、ガチャへ向かう。
今は空いているようだ。受付嬢が話しかけてきた。
「どうも、ガチャですか?」
「ああ、ここの目玉装備は何だ?」
「ここは七ツ星装備『雷槍シュヴァイン』が一番の目玉になっています。どうします?」
雷槍……また強そうな武器だが、槍は今使いこなせる気がしない。当初の予定通り、防具狙いでやってみるべきだろう。
「よし、ガチャろう」
「かしこまりました。何回引きますか?」
「そうだな……二回、頼む」
今の石は十七個だ。もし一回で防具が出ればラッキーだが、『紅蓮の煙管』以外の攻撃手段も持っておきたい。それなら、二回引いても良いと思う。
「かしこまりました。では輝石を十個入れて頂いて……では、どうぞ」
受付嬢に案内されてガチャへ向かう。そう言えば随分久々だな。日本では見事に爆死したが、今は充分な戦歴だろう。今日も、当たりを引かせて貰おう。
「見てろ、これが……俺の運だぁぁっ!!」
乾坤一擲、思いを込めてガチャに剣を突き刺す。
ガチャの目が赤く輝いた。と、思ったら、腕を顔の前で交差して勢いよく身を屈めた。
な、何だこの演出?
気づくと少し長めの布地が地面に落ちていた。腕を交差して身を守ったってことか?
多分防具だと思う。とりあえずは当たりだ。すぐ確認したい所だがもう一回残っている。逸る気持ちを抑えて二回目だ。
「これで……どうだぁ!!」
再び、ガチャに剣を突き刺した。
ガチャの目は黄色く光り、思いっきりアイーンしやがった。
心なし、顔も気合いが入ってる気がする。いや、ガチャの像ってこんなに動いたっけ……
呆けていたら、さっきの布地の隣に金属片が置かれている。あれは、腕輪かな?
二回分の戦果を確認しに駆け寄る。どうやら羽織と腕輪だな。二つとも防具、それも装備箇所が被らないなんてラッキーだ。
羽織の方は黒地に金の刺繍でモンモンが入っている。いや、ほんとに紋々って感じ。刺繍が柄だけで少し物寂しいけど、こういう世界でなら中々格好良いと思う。日本だとチンピラ扱いされそうで買えない柄だけどな。
それから、裏地には俺の星が施されている。一、二……六個だな。六ツ星か。 『紅蓮の煙管』と同じだな。
腕輪はリストバンドくらいの大きさで使いやすそう。それ以外には取り立てて特徴は無い。表面に星が三個刻み込まれている。こっちは三ツ星か。まあ、可もなく不可もなく、か?
とりあえず、今後の方針を固めることも兼ねて、俺達は一旦ギルド内の飲食場へ向かった。
「また六ツ星当てたの? 本当、信じられない強運よね」
「ま、これも神様のお陰だな。感謝、感謝」
そう軽口を叩きながら、心の中ではしっかり手を合わせておく。貧乏神様の天罰は怖いのだ。一歩間違えば詰む。それは前回嫌と言うほど味わった。しかもあれで軽め、と言っていた。本気で怒らせたらどうなることやら……
「で、その装備は何? 何て名前?」
イロリナがぐい、と体を寄せて覗きこんできた。
あ、ほのかにいい香りが……
いや、落ち着け。これはただの興味だ。断じて好意じゃない。勘違いするなよ、俺!
「そういや名前、『鑑定』でわかるかな?」
「詳細なこと以外はわかるんでしょ? やってみなよ」
「よし、まずはこの六ツ星からだな」
羽織を手に取り『鑑定』と声を出す。じわじわと白い文字が見えてきた。どれどれ……?
Name:倶利伽羅長羽織
☆☆☆☆☆☆
VIT+150
INT+20
CHR-30
LUk+10
???????????????
いや、ルビ機能ついてて良かったよ、うん。こんなん読めないって。
倶利伽羅? 仏教用語かな?
ステータスの方は……うん?
なんかCHRがマイナス表記になってるな。男心をくすぐるデザインだと思うんだけどなー……
「『倶利伽羅長羽織』って名前らしい。ステータスはそれなりなんだけど……CHRが下がるみたいなんだ」
「ああ、あんまり格好良いデザインじゃないもんね。納得」
イロリナにステータスの話をすると、男心を全否定された。なんでだ。
「それで? 腕輪の方は?」
見た目のせいか完全に興味を失ったようだ。既に腕輪を気にしている。イロリナにとっては見た目が全てなんじゃないだろうか……
「まあ、慌てるなよ……『鑑定』」
腕輪に向けて『鑑定』をかけると、再び文字が浮かび上がってきた。
Name:抗魔の腕輪
☆☆☆
VIT+10
INT+30
???????????????
お、案外ステータス上がるな。でもこの防具類、ステータスが上がるだけで防御力がよく分からんな……耐久性とか、衝撃吸収力とか、わからんのかな……
「これは『抗魔の腕輪』らしい。前回同様、『倶利伽羅長羽織』も『抗魔の腕輪』も詳細はよくわからないな」
「ふーん……何となく、魔法に抵抗力がありそうな名前ね。シンプルな銀の腕輪だけど、男物ね。少し太いし、女の子にはちょっと似合わないと思うわ」
まあ、そうだろうなぁ。っていうか、今これ貰おうとしてなかったか?
少し疑いの目を向けると、イロリナは慌てて手を振りながら
「や、やだなぁ! 貰おうとなんてしてなかったわよ!! ただの感想よ、感想」
……ま、良いか。パーティメンバーなんだし、二人で強くなれるんならそれで。
「さて、もう一度魔物退治と行きたいところだが……」
「ええ。転職、していくんでしょ?」
その通りだ。実際、半日で戦士の星は四ツ星になった。もっと戦えば五ツ星、六ツ星にだってなれるかもしれない。
だが、ドラゴン相手には相性を考えて戦っても良いと思うのだ。
先程まで魔術師になるか悩んでいたが、魔法がすぐ使えるようになるのかどうか不明だった、ということが悩みのタネだった。
依頼報酬を貰った受付のお姉さんに魔法の使い方を聞いてみたところ、魔術師の星が増えれば使える魔法も増えていくらしい。
戦士で使えるようになった『戦技』と同様に、魔法も何となく使い方が思い浮かんでいくそうだ。
戦士の成長の速さを考えれば、魔術師も同じくらい早く成長するかもしれないし、ガンガン行くって決めたんだ。
「ああ、魔術師になって、世界一の大魔道士になってやる」
「それは……ちょっと夢見すぎな気が……」
早速『職石』に触れ、魔術師への転職を果たした。なんとなく、体全体からオーラみたいなものを感じる。これが魔力だろうか?
よく分からんが、ここでテストするわけにもいかないし、もう一度魔物退治と行くか。
今はどうやら昼過ぎ。夕暮れにはまだ時間がありそうだ。いざともなれば、野営も辞さない覚悟で挑む所存だ。
今日一日、がっつりレベル上げてやる。




