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スキルを使おう パート2

 シェルリザードを倒して、昼食の続きをとっていると、ふと気付いたことがあった。

 先程使った『戦技』のスキル。思うままに武器を振っていたら使えたが、大体そういうものなんだろうか?

 食後に火の始末をして、検証してみる。

 幸い、スケルトンが二匹セットで出てきた。こいつらなら攻撃にも慣れているし、骨も脆いから戦いやすい。


 早速、『紅蓮の煙管』を叩きつける。

 一匹目のスケルトンは肋骨が砕け光に還っていった。だけど違う、こうじゃない。

 さっきはもっと、斜めから振り抜いていた気がする。

 二匹目に向かって、今度は踏み込みを加えて斜に叩きつけた。

 ふわ、と一陣の風を感じると、スケルトンの体が浮かび上がっている。

 その胸骨に向けて鋭くスイングしてやると、大きく後方にぶっ飛んで、姿を消していった。


 成る程、踏み込みと叩きつける角度が関わっているようだ。


「大分慣れたみたいだね。使い勝手はどう?」


「そうだな。何となく使い方はわかった」


 多分、この『戦技』は繋ぎの技なんだと思う。相手を空中に浮かせて、コンボを叩き込む為の初期動作として使うのが良さそうだ。だが、そこからの手数はまだ一撃がやっとだな。それに、それこそ飛んでいる相手には効果が薄そうだ。


「でもスキルを覚えるの早いわね。普通そんなにすぐ使えるようにならないんだけど……」


「そうなのか?」


「ええ。少なくても、星が三つは必要だと思うわ」


 ふーん……ってことは戦士の星が三つにはなってるってことか。職業ランクも七ツ星が最大とすると、次が半分か。四ツ星までいくともう少し連撃がしやすくなるだろうか。


「とりあえず、もう少し戦ってみるか。なんか、コツを掴めそうな気がするんだ」


「わかったわ。あたしは支援継続ね」


 再び、魔物退治を繰り返す。しばらく道を散策していると、今度はウルフを三匹まとめて発見できた。『紅蓮の煙管』から『百花繚乱』に持ち替えて『戦技』を使ってみる。武器を変えても、身体が使い方を覚えているみたいで、すんなりとスキルは発動してくれた。流石に拳とか弓じゃ上手くいかないだろうな。間合いの取り方が違いすぎる。


 そのまま『戦技・団扇』で浮き上がった敵に連撃を叩きこむ練習を始める。

 浮き上がるのはわかっているんだ。ここからどれだけ斬撃を繋げることが出来るか。つまり、いかに速く剣を振ることが出来るか、にかかっていると言っても良いだろう。

 最初の『戦技・団扇』はしっかり浮かぶよう強めに払い出すのが良さそうだ。一匹目のウルフにしっかりと踏み込んで、斜から捌くように一太刀目を加えた。


 よし、いつもより少し高く浮いた。


 浮き上がったウルフに剣戟を浴びせる。まずは威力を考えずに速度重視で。振り抜いた剣を返す形で、逆袈裟からもう一度袈裟斬りを仕掛けるとスムーズだな。燕返しの逆戻しみたいな感じ。あ、ウルフが落ちた。二回じゃ失敗だな。

 威力を考えなければ速さは上がるが、『百花繚乱』ぐらい強い武器だとあんまり意味がない。連撃が終わるとすぐにウルフは消えていった。まあ、反撃の心配が無いのは良いことだ。


 二匹目のウルフも同様に『戦技・団扇』で浮かばせると連撃を仕掛ける。さっきのは良い感じだった。二発目の袈裟斬りを仕掛けたまま流れに乗って回転、横薙ぎに払ってみる。お、良い感じな気がする。でもなんか足りない気がするなー……


 三匹目、今度は回転して加えた横薙ぎを、わざと掠めるように意識して振るう。これならきっと、ノックバックしなくなると思う。よし、まだいるな。そのまま上から振り下ろして止め……ウルフは赤く光りウルフ肉を残して消えた。


 ちょっとコレ、良いんじゃない?


 回転の時に隙が見える気がするけど、浮かび上がってコンボが始まってたら反撃しづらいだろ。

 よし、これで行こう。


「凄いね! まるで達人の剣技みたいだったよ!!」


 イロリナもしっかり見てくれていたみたいだ。今の技に称賛をくれた。ふっふっふ、まあ、閃きも大事よの。


「どうだ? あれなら良い技になるか?」


「うん! ドラゴンにもいくらかダメージが与えられるんじゃないかな?」


 ふむふむ、あれで良いのか。そしたらどうするかな。一度町に戻ってガチャしに行っても良い気がする。それと、今の身体の使い方は覚えたんだし、魔法を覚えに行っても良いと思う。そう、魔術師への転職だ。

 ドラゴンって、やっぱり火を噴く竜だよな。それに対抗するなら水とか氷の魔術があると良さそうな気がする。ゲーム脳かもしれないが……相性ってあると思うんだよ。そのことをイロリナに伝えると


「魔法がすぐ使えるかはわからないけど……相性はあるわ。ユウゴの言う通り、火に対しては水ね。ドラゴンが火の属性かも不明だけどね」


 と、教えてくれた。まあ、そうだよな。火の竜以外にも竜っているもんなぁ……それに、どれくらいで使えるかは踊り子だからわからない、と。とりあえず冒険者ギルドに行って聞いてみるかな。誰か一人くらい知ってる人がいるだろ。最悪、受付のお姉さんに聞こう。


「じゃ、一回戻るか」


「え? もう良いの?」


「いや、もう一回来るけど……資金もある程度貯まったろうし、一回ガチャしに行こうかなって」


「あ、そうね。そうすると、今日はもう一回来るつもり?」


「まあ、結構近いし。昼も食べたばかりだからな。出来るだけ粘ってみたいと思う」


「ん、わかったわ。じゃ、コレ持って帰ろ?」


 そう言うとイロリナは毛皮に乗った塊肉を指さしている。心なしか、その顔は赤らんでいて恥ずかしそうだ。まあ、結構腹ペコキャラだったりしてるもんな。


「ああ。だけど、それは今回別の役割があるんだ」


「えぇ! せっかくのお肉なのに!?」


 そう、せっかくのお肉だが……だからこそ捧げる意味がある。今の俺達にとって貴重な肉。それを捧げれば貧乏神様の機嫌も悪くならないと思うのだよ、俺は。そうイロリナに説明したが、彼女は涙目だ。


「うぅ……お肉……」


「ま、まぁ美味しかったもんな。また戻ってきてここの連中と戦うんだし、出たらまた食べような」


「うん……」


 どうにか納得してくれた。よし、じゃあ戻りがてらに貧乏神様にこのウルフ肉を捧げていくとしよう。



 シーボの町の帰り道、昨日祈りを捧げた貧乏神様のお社--まだしょぼいが――にウルフ肉を捧げる。

 今日もありがとうございます、これからもよろしくお願いします……

 しっかり、感謝の念も伝えておこう。祈りってどうしたらいいのかわからないが、少なくとも貧乏神様にそっぽを向かれない様にしていかないとな。



 そのまま素直にシーボの町の冒険者ギルドまで戻ってきた。祈りを捧げた効果なのか、ここまでの帰り道には魔物が出てこず、大きなタイムロスも無く戻ってこれた。とりあえず依頼の達成報酬を貰わないとな。受付に並びしばらくすると俺の順番になった。


「あ、さっきの……」


「あ、どうも」


「依頼、大変ですよね? とりあえず一つくらいは終わりましたか?」


「いや、全部終わったよ?」


「えぇ!? もう!? ちょ、ちょっと星見せてください!!」


 言われるがままに背中を向けて確認してもらう。


「ほ、本当だ……ユウゴ様、実は凄腕の戦士なんですか?」


「いや、まだ転職したばかりだよ?」


 もう魔術師になろうか悩んでるくらいに浮気性な戦士ですよ?


「そ、そうですか……しかもこんなにたくさん魔物を狩って……」


「あの、少し急いで貰えるかしら? まだやらなきゃいけないことが多いのよ」


「ハッ! す、すいません……こちらが達成報酬の銀貨が三十九枚、輝石が九個です。それから、討伐報酬が……かなり多いですね。スケルトン、ウルフ、ストレイイーグル、エンチャントビー、それぞれが依頼以上にこなしていて、大体三十ずつですか。この短時間で百体以上も狩るって……魔物が異常発生でもしてるんですか?」


「えぇ!? 普通に見つかったぞ?」


「そうね、特別興奮したりもしていなかったわよ?」


 魔物の異常発生なんてしていたらドラゴンと相まって酷いことになるだろう。それこそ、個人で出来る範疇を超えて冒険者ギルド全体の案件になると思う。


「そうですか。まあ、ドラゴンが巣くっているそうですし、そこから逃げてきているのかもしれませんね。では、こちらの金貨一枚が討伐報酬になります」


 お、おお!!

 これが金貨か……貧乏神様に憑りつかれた俺からすると、縁が無い物かとも思ったが、とうとう出会えたな……なかなか感慨深い。


「もしかして、それでクラン組めたりする……?」


 イロリナから不安そうに声が上がった。確か、クランを組むための条件は三ツ星以上でレベルが20以上、かつ金貨が一枚必要だった筈だ。しっかり条件は満たしている。


「ええ。大丈夫ですよ。何なら今クランを組みますか?」


「時間かかるか?」


「ちゃんとギルドから承認を受けるのには時間がかかりますが……急がれているのであれば簡易的な約束だけでも交わすことはできます。それだけでも装備や経験の共有、クラン用クエストの受注は可能ですよ。どうします?」


 ふむ、装備だけじゃなく経験も共有できるのか。しかもクラン用のクエストもある、と。

 金貨一枚は討伐報酬だし、また稼げる気がする。ここで簡単に済ませておいても良いな。イロリナの装備もドラゴンを相手にするには心配だし。


「じゃあお願いします」


「ちょ、良いの!? 金貨、大事なんじゃないの!?」


「まあ、それよりもドラゴン戦で戦えない方が不味いしな――あ、大丈夫です、お願いします」


「ユウゴ……ありがとう……」


 話の途中でイロリナが驚いて声掛けてきた。どうも本当に金貨一枚使うとなると少し気遅れしたようだ。

 ま、イロリナもこれで直接攻撃がいくらか出来るだろうし、未来への投資だと思えば安いもんだろ。受付嬢に問題ないと告げ、手続きを進めてもらう。


「わかりました、じゃあ代表の方とメンバーの方の登録証をお願いします。それと、今は簡易で組んでいますが、後日しっかりと承認して登録するのにクランの名前を考えておいてください」


「な、名前?」


「はい、同じ名前の冒険者の方もいるので……」


 あ、そっか。ユウゴのクランだと、どのユウゴだかわからないってことね。まあ、ユウゴは俺だけって言っていたけど。


「それは後日で良いんだな? 今、他にやることはあるか?」


「いえ、登録証も確認しましたし、今日はこれで戻られて大丈夫です」


 ふーん、簡単にできるもんなんだな。でも、これでイロリナに『百花繚乱』が渡せるな。やっと約束が果たせる。

 イロリナを見るとニコニコと笑顔満点だ。この笑顔だけでも頑張ったかいがあるってもんだな。

 あ、でもドラゴン退治の時は俺が使っちゃダメかな……?


 とりあえず、装備の新調が必要だ。よし、ガチャしよう。そんで、魔術師になるか決めよう。

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