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魔物退治へ

 一度シーボの町に戻り、早速ギルドでステータスを確認することにした。道中、一度も転ぶことは無かったが、しっかりとイロリナが腕を掴んでくれていたおかげなのかもしれない。ずっと掴んでくれているならこのままでもいいかも……なんて不謹慎な事も考えてしまったが、イカンイカン。ついさっき考えを改めたばかりだ。


「さ、着いたわよ。腕、放すからね? 大丈夫?」


 識石の前に立つと、そう言いながらイロリナはゆっくりと腕を放していった。腕に残る温度が名残惜しさを助長させている。うん、ちょっと寂しいが……今後の事の方が大事だ。イロリナにゆっくりと頷いた後、万が一の事も考え、慎重に識石に手をやり、ステータスを開く。


「ステータスオープン」


 あれだけ不運が続いた後だと、やはり緊張するな。貧乏神様、機嫌直してくださいますようにっ!!


Name:ユウゴ

Age:20

Level:22

Job:商人

Type:人族

HP:155

MP:22

STR:40

VIT:55

DEX:47

AGI:30

INT:40

CHR:22

LUK:20150


 !!

 良かった! 上がり幅は今までより少ないものの、ちゃんとLUKが上がってる! 今までの事を考えれば、四桁もあれば十分な筈だ。今日からはこの数字を下げないよう……いや、上げていくようにしないとな。その他は魔物と戦ってないし、そりゃ変わりないよな。


「良かったね! ちゃんとLUKが戻ってきてるよ!」


「ああ!! イロリナのおかげだ! ありがとう!!」


「ふふ、さて! そしたらクエストを受けて、転職とクランを設立するのに必要なお金を貯めましょうか?」


「そうだな、それとガチャができるよう石も貯めないと」


「じゃ、クエスト見ていこうか」


 イロリナに促されるまま受付へと向かう。余談だが、シーボの町はこの間宿屋の主人が言っていた通り、商売が盛んなようで人の出入りも多いみたいだ。前回同様、ギルドは多くの人で賑わっている。丁度昼時になっているみたいで、作戦会議に使われているスペースでは飲食している人が多い。半日、出遅れてしまったようだ。


「お腹空いたの? 朝、食べてないもんね……」


「い、いや……そういう訳じゃ無いよ? あ、順番来るぞ。ほら……」


「おっとっと」


 飲食している人間を見ていたら勘違いされた。ちょっと恥ずかしいので、誤魔化しておく。


「いらっしゃい、今日はどんな用件ですか?」


 受付にいたのは柔らかい物腰の女性だ。若干、パーシェスの村にいた女性に似ている気もする。俺とイロリナ、二人でギルドの登録証を見せて確認を済ませた。


「何か稼げる仕事はない? できれば討伐系で」


「そうですね……イロリナ様は五ツ星ですから、この近くに限らなければそれなりにありますが……ユウゴ様はまだ三ツ星、あまり大きな仕事は任せきれませんね」


 ま、そうだよな。星の数は違いがあるし……


「とりあえずこの近くで、ユウゴが受けられる依頼を見せて貰っていい?」


「かしこまりました。それですと……この辺りですね」


 そう言うと、受付嬢は依頼の書かれた紙を机に並べて見せてくれた。


『スケルトン退治:十匹 報酬:銀貨一枚  輝石 一個 受注条件:三ツ星以上』

『ウルフ退治:五匹 報酬:銀貨三枚  輝石 一個 受注条件:三ツ星以上』

『ストレイイーグル退治:三匹 報酬:銀貨十枚  輝石 二個 受注条件:三ツ星以上』

『エンチャントビー退治:三匹 報酬:銀貨十枚  輝石 二個 受注条件:三ツ星以上』

『シェルリザード退治:一匹 報酬:銀貨十五枚  輝石 三個 受注条件:三ツ星以上』



 へー……スケルトンって案外強いんだな。三ツ星が条件になってる。それからウルフに……ストレイイーグルってなんだ? イーグルだから鷹だろうけど……ストレイ? 迷子だっけ?

 それにエンチャントビーって、蜂か……虫は嫌だけどなぁ……最後のシェルリザードは一匹で大きな報酬が貰えるみたいだ。これは旨いかもしれない。全部クリアして銀貨三十九枚に輝石が九個か。

 ま、今の俺に選ぶ権利はない。どんどんクエストをこなしていかないとな。


「じゃ、取り合えず全部で」


「え? 全部受けられるんですか?」


「ああ、駄目なのか?」


「い、いえ……構いませんが……あまり一度に受けられると大変では?」


「あ、大丈夫です。スケルトンは倒したことあるし」


「あ!! そう言えば、ユウゴ町に来る途中で魔物倒してたじゃん!! 討伐報酬貰えるんじゃない!?」


 言われてみれば、転職してすぐアンバーレッドの屋敷に向かったから見て貰ってなかったな。お願いするか。


「じゃあ、一度討伐記録を見て貰って良いですか?」


「わかりました。ただ、今回の達成報酬とは別になりますので……星を見せてくれますか?」


 それは仕方ないだろう。過去に倒したものを依頼報酬にしてくれとは言えない。素直に背中を向ける。


「ああ、こんな所に。いきなり後ろを向かれるのでびっくりしました」


 それは悪かったな。でも俺のせいじゃないし。っていうか、みんなもっと見えやすい所についてるんだろうか。


「ええと、スケルトンとスライムを討伐していますね。では、討伐報酬に銀貨を三枚お渡しします。星も見ていかれますか?」


「いや、それはいいや。じゃ、このクエストは全部受注ってことで」


「かしこまりました。特別期限はありませんが、二日後にはあの七ツ星のシスイ様がベルンス山へ出立される、とご連絡がありました。この魔物達はベルンス山への道中に多く出現されますので、それまでに達成された方がよろしいかと思います。魔物達が根こそぎいなくなる可能性もありますので……」


 おー……

 それはやばいな。というか、残り時間もそんなに多くない。今日中にこのクエストを済ましてしまわないと。


「わかった。ありがとう」


 受付嬢に簡単に礼を告げて、カウンターを去ることにした。しかし、来る前に討伐していた報酬が貰えたのは幸いだったな。ツキが上がってきた証拠か?

 今の手持ちは銀貨三枚に銅貨三枚。一応、転職は出来る。商人で戦うより戦士の方が良さそうだ。ちょっとイロリナに聞いてみよう。


「そうね、ドラゴン退治に商人だとちょっと大変かも。出来るなら今しておいた方が良いかもしれないわ」


「じゃ、それでいこう」


 昼時であまり並んでいる人もおらず、サッと職石で転職を済ませた。転職にかかる費用で、せっかく貰った報酬は泡のように消えたが、戦うための投資と考えておく。よし、これで俺は戦士だ。戦い慣れてないけど、戦士だ。こんな簡単に戦士になれたら、一般人って少ないような気もするんだけどな……ま、気にしても仕方ないか。




 なんて、気分も新たにベルンス山方面へ向かうと、すぐに魔物と遭遇した。狼とスケルトンがそれぞれ二匹ずつ。グループを組んで魔物に襲われるのは初めてだな。上手く戦えるだろうか。


「ユウゴ、あたしはバックアップに回るわ」


「ああ、やばそうだったら援護頼む」


 元々、そんなにイロリナの戦闘能力には期待していない。本人も言っていたし、バフ要員だ。いや、確かにAGIは高いけど、俺の達成報酬貰えなくなっちゃうし。


 そんな事を考えていたら、一匹のスケルトンが動き始めた。このスケルトンの魔物連中は、武器は持っていない。左手に小型の盾――バックラーだったか――を持っているが、攻撃は素手での打撃だ。慌てずに『紅蓮の煙管』で捌ききれる。むしろ、捌いた時に相手の腕の骨が砕けて怯んでくれたので、その隙に頭を殴打したら光になっていった。

 続いて二匹目のスケルトンが襲い掛かってくる。どうも『紅蓮の煙管』と骨とは相性が良いみたいだ。今度は狙って腕を砕くように捌く。ガツン、と激しい音がしてスケルトンの右腕が砕け散った。ガードが上がらない右側から、先程と同じように頭部を横殴りにしてやると二匹目も退治できた。


 今度はウルフの方か。ラッキーなことに、四匹同時に襲い掛かってきたりはしなかったが、狼って連携意識が強い動物なんじゃなかったっけ。一匹に齧られたら、もう一匹に別の所を齧られそうだな。今度は剣の方が良さそうだ。

 『紅蓮の煙管』を『百花繚乱』に持ち替えてウルフと対峙すると、まるで待っていたかのように二匹同時に飛びかかってきやがった。案の定、一匹は右側、もう一匹は左側だ。


 くそっ! 左右どちらから対処する!? 若干右のほうが早いか?

 そう判断した俺は、右のウルフへ『百花繚乱』を振るい、返す力のまま左のウルフを狙った。先に突っ込んできた右側のウルフは、反撃が想定外だったのか、避けられることなく首をはねることに成功した。しかし、左側のウルフはそれを見て急ブレーキ。後方へと跳ね飛んで刃を躱しやがった。


 凄い身体能力だな。流石、野生。だけど、あのスピードにもついていけている。少しずつだけど、レベルも上がっているみたいだ。

 しばらく、睨み合いが続いていたが、イロリナから急に声をかけられてそれも終わった。


「ユウゴ! いけるよ!! 走って!!」


 その声に弾かれて、ウルフへと駆け出した俺は自分の速さにまず驚いた。いや、いつもより早いもん! この間のシスイと追いかけっこした時より絶対早いって!!

 気付いたらウルフが目の前に迫っていて、慌てて剣を振るった。ウルフの方も急に早くなったのに驚愕していたのだろう。何の反応もせず、目を見開いたまま絶命していった。





「いや、びっくりしたわ。俺、あんなに早く動けたっけ?」


 戦闘後、イロリナに確認をとってみる。


「普段は無理だと思うよ? あの時、あたし後ろで踊ってたから」


「踊ってた?」


「そう。あたしの踊りはね、支援効果があるのよ。攻撃の威力だったり、動く速さだったり、打たれ強さだったり、色々底上げしてあげられるわ」


 成程、それであの速さか……にしては凄い早くなった気がするけど……


「結構、重宝されるのよ。なんか、三割増しで強くなった気がする、ってよく言われる」


 三割増しって、バフ効果としては結構高くない?

 元々のステータスが高い奴なら尚更だろうなぁ……あ、そうか。『百花繚乱』の効果でAGIも上がってるから、それも乗っかってたのかな? 地力じゃウルフに追いつける気がしないわ。


「でも、これならいけそうだね!!」


「ああ、この調子でガンガン行こう!」


 とりあえず、ウルフとスケルトンの編成グループもやっつけられたし、この辺りで十分やっていける。ガシガシ倒して強くならないとな。

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