第三話「とんでも発言!!」
5年2組の教室。
クラスの半分くらいの生徒がすでに登校していた。
健が気にしているエミリーの姿はまだない。
一番前の席に絢が座っている。
赤くなった顔でチラチラと一番後ろの席に目をやっていた。
(……高宮くん、まだ来てない……)
そこは健の席だった。
彼がまだ席に来ていないことが安心なのか不安なのか、絢は終始落ち着かない様子だ。
「絢、おはよう! 宿題やった?」
声をかけられ、絢はハッと顔を上げた。
「ゆ、優香……」
そこには、長い髪をハーフアップにした、少し気の強そうな女の子が立っていた。
彼女は田代 優香。絢の親友である。
「ね、答え合わせしない? 私、今日当たりそうなのよ!」
優香はノートと筆箱を抱えて言った。
「あ、うん……いいよ……」
絢は机に入れたノートを探した。
ちらりと健の机に自然と目がいく。
絢の仕草を鋭い優香が見逃すはずがなかった。
「高宮くん、今日遅いね。気になるの?」
「っ!?」
絢の肩はビクッと跳ね上がった。
「そ、そそそんなことないよっ!? ほ、ほら、早く答え合わせしないと時間が……」
慌てる絢を見ながら、優香は隣の席の椅子を引き、腰掛けた。
「なに誤魔化してんのよ。高宮くんが好きなことくらい、私にはお見通しなんだから」
「す、好きだなんてっ!! わ、私別にっ!!」
顔を真っ赤にして否定する絢に、優香はクスクスと笑い声を漏らした。
「わかったわよ。けど安心して、絢……」
「……え?」
「たとえ誰を好きであろうと、私は絢の味方よ。それだけは忘れないでね」
「……ゆ、優香……」
じっと見つめる優香の顔を、絢は見つめ返した。
「……ほら、噂の王子様が来たわ」
後ろの扉から入って来る健に気がついた優香は、茶化しながら絢にコソッと言った。
「っ!?」
ドクンッと胸を高鳴らせた絢は、ゆっくりそちらへ顔を向けた。
健は潤と話しながら席に向かっている。
絢は向き直り、ホッと安堵の表情ではにかんだ。
(良かった……高宮くん、学校来てくれた……)
「…………」
優香は絢の様子をじっと見つめた。
健に対しての反応がいつもより過剰に感じられ、優香は妙に思っていた。
(志堂さんが学校に来てくれたのはいいけど……どうしよう。謝るにも、彼女が一人になってくれないとな……)
健はランドセルを下ろし、一番前の席にいる絢を見ながら思っていた。
絢を見ていた健だったが、ふとその隣の刺さる視線に気がついた。
「っ!!?」
ギクリと健の肩が跳ねた。
絢を庇うように、優香がこちらを睨んでいる。
(……ま、まさか……っ、志堂さん、田代さんに昨日のこと話したんじゃ……っ)
健の頭には、優香に泣きついている絢と、ブチギレる優香の光景が浮かんできた。
サーっと血の気が引き、健はその場に立ち尽くした。
「志堂さん、何も変わった様子なさそうだけど?」
「……潤」
ランドセルを置いた潤が歩み寄って声をかけた。
「……で、でもさ……」
その時、健の言葉をかき消す快活な声が、教室内に響いた。
「おーい! 健! 絢の乳触った感触、どうでしたーーーっっ!!?」
(───っ!?)
健の心臓は一瞬止まった。
クラスメイトは全員、教室の後ろの扉に目をやった。
そこには、「ニシシシ」と笑って、健を見つめている剛士が立っていた。
教室内は剛士の発言に一瞬静まったが、だんだんざわつき始め、皆が健に目を向け出した。
「えー……あの高宮くんが……?」
「サイテー」
女子たちの冷ややかな視線が、針のように健に突き刺さる。
「…………っ」
健のメンタルは粉々に砕け散った。
もちろん、この状況でいたたまれなくなっているのは健だけではない。
絢も、剛士の声に飛び上がるほど驚き、今は真っ赤になってうつむいている。
「…………」
優香はそんな絢をじっと見ていた。
次回へつづく!
第三話、最後まで読んでくださってありがとうございました!
AIの「見立て」によるキャラクタープロファイリング、今回は【絢と剛士編】を活動報告に載せています。
ぜひ読んでいただけたら嬉しいです!
次回「歪んでゆく……」もよろしくお願いします!!




