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“手ブラなウケビト”  作者: タクト
 三章
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 話は終わりだ

 「その後、俺たちは囚監場にロズルを連行した。

 そのときになって災厄が起きている事を知った。

 ロズルのどこか自棄な態度も、災厄で街が滅ぶと確信していたからなんだろうな」


 話を聞き終わったショウタは虚な目でコバルドを見た。


 「お前が殺したのか」

 「あぁ、そうだ。

 俺が撃った氷弾でミリーは死んだ」

 「そうか……」


 コバルドの答えにショウタが呟くように返事すると、ぬるりと椅子から立ち上がり間に座っているメイズが反応する隙も与えずコバルドを殴った。

 コバルドは無抵抗に拳を受け入れ、椅子ごと倒れた。


 「何してんだよお前!お前っ!」

 「寄せショウタ」

 「そうよ、ショウたん。

 責任は私達にもある!」

 「そうだぜ、やめろよ……誰だお前は!?」


 二発目の拳を振り被るショウタを抑え込んでいたメイズの眼前に、コバルドを庇うように立ちはだかる全裸の女が現れた。


 「でやがったな、痴女」

 「やだ、痴女なんて呼ばないで。せめて裸のお姉ちゃんって呼んで!」

 「誰が呼ぶか。早く服を着ろ!」


 珍入者のせいで毒気を抜かれたショウタが、服を持ってきていないと言い出した痴女にコトミの服を用意したが、何故かそれを嫌がった痴女が、物干竿に吊っていたショウタの服を着て戻って来た。

 ショウタは突っ込む気力も無いのかそれはそれでやらしい事になった痴女?を黙認した。


 「……で、おねえさんは何者?」

 

 コバルドにしぶしぶ作らせた氷の塊で目元を冷やしながらメイズが聞いた。

 

 「前に会ったな。強姦魔に襲われたとか言っていたな。

 犯人はショウタか?」

 「違う、この女が仕掛けて来たんだ」

 「私はただのウケビトだよ。

 この前までロジーナさんから直接の依頼で動いていたの。依頼内容は、ロズル及びノワルの不正を暴く事。

 名前はまぁ……ラフラって呼んで」


 「はぁ?聞いてねぇぞ!」

 「だって口止めされてたからね。

 それでも第三勢力がいるよ〜とか、君達のことは色々知ってるよ〜とかさり気なく味方だよって伝えようと頑張ったんだよ。

 それなのに剣で斬りかかるわ、砂をかけるわ、終いには殺そうとするわ散々だったよ」

 「お前が紛らわしいからだっ!」


 怒鳴ってから肩でゼイゼイと息をするショウタをコバルドが憐れむような目で見た後、ラフラに視線を向けた。


 「で、お前の依頼の成果はどうだったんだ?」

 「概ね成功。

 裁判に関わった男を捕らえたよ。

 強めに脅し掛けたから色々吐いてくれたよ。少なくともネリダさんの汚名は晴れるだろうね。

 ミリーの方は……最初にしてやられたのはショウたん達だよ」

 「はぁ?俺達?」

 「これはさっき囚監場で話を聞いたロジーナから手に入れた情報なんだけど……

 あのお見合いのパーティー会場でミリーはすり替えられてたの。

 あの日ショウたん達が助けたつもりだったのはミリーのクローン体。

 その後ロジーナに再度依頼して、守ってもらう振りをしながらずっと騙してたの」

 「う、嘘だろ」

 「言われてみれば報酬はそのままで人数を増やすと言ったら渋ってたな」

 「ハンソンの屋敷でネリダのクローン体とやり合った時も、見ようによってはわざと邪魔したようにも見える」


 ラフラの指摘にメイズとコバルドはそれぞれ思い当たる節を口にした。

 

 「お見合いの日にミリーを守れなかった時点で私達は負けてたの……悔しい事にね」


 「……ごめん」

 「構わん、最後に殺したのは俺という事実は変わらないからな」


 頭を下げたショウタにコバルドは淡々と答えた。


 「はいはい。じゃあ、次は災厄の話ね。

 といってもこれは私もロジーナさんから聞いた話だけど、コバルドやメイズよりは詳しいと思うよ」


 男三人の間に重い空気が流れたのを強引に切り替えさせるべく、ラフラは新たな話題を用意した。

 

*(๑^. .^๑)۶ 〜

災厄前の準備時間

白色は博識に塗り変わる

の頃のお話だよ

*(๑^. .^๑)۶ 〜



 「という訳。

 北門側でそこそこの被害は出たけど、深い侵入を受けずに済んで復興の目処も立ってるよ。

 東門西門南門側は内部の被害は無し。

 クローン個体を野放しにするのは危ないから、近いうちにハンソンさんの協力をもらって大規模な山狩りをする予定」


 「……」

 「……」

 「……」

 

 ショウタが怪我で寝込み、コバルドとメイズがミリーの一件で手一杯のときに起きた事件に三人は言葉を失った。


 「リディアは今どこにいるんだ?ロジーナのところか?」

 「わかんない、今[レザルボアマギカ]は人手を裂けない状況だから。暇なウケビトがボランティアで行方不明者の捜索はしてるけどね」

 「そうか」

 「それより報酬山分けしたら?」


 「ん、あぁ完全に忘れてたな。とりあえず四等分でいいな?」

 「俺は要らない」

 「そういうなよ。護衛自体は失敗したけど、ネリダの無念を晴らすという積年の悲願は叶ったんだ。

 ノワルは逃したけどロズルを捕らえたのはコバルドの手柄だろう」


 そう言ってショウタは報酬を分けた。

 まだ行方も安否も分からないがこの報酬はエルフとコトミの分だ。

 半分を手元に置いて、残りを半分にしてそれをコバルドとメイズに渡した。

 

 「まっ、俺の活躍がトドメでロズルをとっ捕まえたんだしな。

 早いとこノーブルに金返しに行くか」

 「ほら、これはお前の分な」

 「……分かった。

 ショウタ、コトミが帰ってきたらもうしばらく金を借りると伝えてくれ」

 「ん?それは構わないけど––––」


 コバルドは自分の分の報酬を受け取ると地面に捨てて、グラセランセで撃ち抜いた。

 細かい氷弾が剥き出しの紙幣の上にばら撒かれ、ズタズタのボロ紙にする。

 一瞬何が起きたのか分からず、ショウタ、メイズ、ラフラすら唖然とした。


 「な、なにしてんの」

 「報酬は確かに受け取った。

 だが、その価値までは受け取らない。

 お前達に罪はない。これは俺の問題だ。その金はお前らの納得のいく使い方を選べ」

 「はぁ?お前何言ってんだよ」

 「俺がミリーを殺した。

 この報酬が十字架になるなら背負い続ける。

 それだけだ」

 

 そう言ってコバルドは穴だらけになった紙幣を残らず拾い集めてポケットに入れた。

 

 「話は終わりだな。俺は先に行くぞ」

 「ちょっと待て、俺はまだお前から聞くべき事を聞いてない」


 立ち上がったコバルドの肩をメイズが掴んだ。


 「いくつかの依頼を掛け持って返済する、少し時間をくれ」

 「違う、そうじゃねぇだろ!」

 肩を捻ってメイズの手を振り解いたコバルドは返事もせずに出て行った。

 

 「ちょっと待てコ……かなり待ってラフラちゃん」

 「そういうときはちょっと待てじゃないの?」

 「それはお前の行動がちょっとじゃ済まないからじゃないか?」


 コバルドを見送ったラフラは、人前で躊躇いなく服を脱ぎ出していた。

 目を瞑る事でラフラを視覚的に無視したショウタは声までは無視出来ず聴覚的にツッコミを入れた。

 そのまま痴女のストリップに馬鹿が大興奮する声がしばらく聞こえた後、急に困惑した声に変わった。


 「消えたか……」

 

 さっきまでラフラが立っていた場所にはさっきまでラフラが着ていたショウタの服が畳んで置いてあった。


 「あの女は透明化の魔法を使える。

 その魔法を使ってあの女はこの家に取り憑いたんだ」

 

 うんざりした口調でショウタがいい、服を拾い上げた。


 「そういえばメイズ、さっき何か言いかけてなかったか?」

 「あぁ、あの野郎、一度もハンソンさんに謝ってないんだ」

 「謝ってない?」

 「あいつミリーを殺した事を謝ってないんだ」

K.コトミ S.ショウタ Ly.リディア 

G.グレン Co.コバルド Rf.ラフラ

E.エルフ



K.「次はいよいよ、エルフの登場よ。

 みんな、用意はいい?」

S.「姐貴、喪服なんか持ってねぇよ」

Ly.「天国で退屈しないように、色んな本を供えるからね」

G.「初めての弟子なのに、もっと色んなことを教えたかったです。

 せめて、花の代わりに風車を手向させてもらいます」

Co.「……(黙祷)」

Rf.「やーい、乳首無し〜」


K.次回“あなたは怪物”


E.「ふわぁあ、おはよう。

 なんの騒ぎだ?」

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