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ダンジョン最深部にコンビニが? ~金払いのいいA級パーティを「太客」に囲い込み、その売上でブラックな魔王軍を買収して、俺が新しい魔王になります~  作者: たくみ
第二章 ホワイト企業への道

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24/27

24:緊急事態発生!!~聖教会が数千の軍勢で「聖戦」を仕掛けてくる

 中層500階層のDマート2号店。


 今日も店は、冒険者たちの喧騒と、揚げたてホットスナックの香ばしい匂いに包まれていた。


「いらっしゃいませぇ❤ 本日のおすすめは『激辛バッファローチキン』ですぅ!」

 2号店店長でサキュバスの、リリスが、愛嬌たっぷりに接客をする。


「リリス店長、ポーションの補充完了しました! 今日も鮮度は抜群です!」

 鮮度保持担当のセリアも、すっかり店員としての板についていた。


 平和な日常。

 だが、その平穏は唐突に打ち破られた。


 ズンズンズン……ッ!


 地鳴りのような音が響き、店内の商品棚がガタガタと揺れた。

 地震か? いや、違う。これは――。


「……なんだ? 外が騒がしいぞ」

 客の一人が自動ドアから外を覗き込み、悲鳴を上げて腰を抜かした。


「ひ、ひぃぃぃッ!? せ、聖騎士団だ!! 聖教会の本隊が店を囲んでるぞぉぉ!!」


「「えっ!?」」


 リリスとセリアが顔を見合わせ、慌てて外を確認する。


 絶句した。

 店の周囲360度を、白銀の鎧に身を包んだ数千の兵士たちが、蟻の這い出る隙間もないほど完全に包囲していたのだ。

 先頭には、豪華な法衣を纏った高位の神官が立ち、拡声魔法で叫んでいる。


『聞け! 穢れし魔族の店に巣食う者どもよ!

 我らは聖教会の威信をかけた異端殲滅部隊である!

 直ちに武装解除し、囚われの聖女セリア様を解放せよ! さもなくば、この店ごと神の炎で浄化してくれる!!』



「……嘘、どうして……。こんな大軍で……」

 セリアが顔を青ざめさせる。

 彼女を奪還をするために、教会は本気で軍隊を動かしてきたのだ。

 客たちがパニックになりかける中、リリスが震える手で自身の首にかかったペンダントを握りしめた。


 カズヤオーナーから支給された、『緊急事態用・防犯スイッチ』だ。

「……セリアちゃん、下がってて。

 カズヤ店長が言ってたもん。何かあったら迷わず押せって!」


 ポチッ。

 ジリリリリリリリリリリリリリッ!!!!

 耳をつんざくような警報ベルが鳴り響いた。

 同時に、店舗システムが「緊急モード」へと移行する。


『緊急事態発生。レベル5。対魔障壁を展開します』


 無機質なシステム音声と共に、店の窓と入り口に、分厚いミスリル製のシャッターが高速で降りた。

 ガシャン! ガシャン! ガシャン!


 さらに、店の周囲に半透明の多重防護結界が展開される。

「な、なんだこれは!? 結界だと!?」

 外の聖騎士たちが動揺する。

 これは以前、ドワーフの『黒鉄組合』と四天王メルティに共同開発させた、対城塞級の防衛システムだ。


◇◇◇


 同時刻。999階層・本店。


『緊急警報! 2号店にて最高レベルの侵入者を検知!』


 事務所のパトランプが赤く回転し、カズヤのスマホに通知が届いた。


 俺は品出しの手を止め、端末の監視カメラ映像を確認した。

 画面を埋め尽くす白銀の軍勢。


「カズヤ店長。聖教会ですね。……数千はいそうです」

 隣にいたシルヴィアが、即座に戦闘態勢に入る。

 エプロンを脱ぎ捨て、愛用の竜殺し用の鈍器である中華鍋と、防具を装着する。


「行きますよ、シルヴィア。うちの大切な従業員とお客様が人質に取られかけている。

 ……責任者として、最高の『おもてなし』をしてやらねばなりませんね」

 俺たちは店内の転移魔法陣に飛び乗った。


◇◇◇


 500階層。

 シャッターが下ろされた2号店の前で、聖教会軍が攻撃の準備を始めていた。


「ええい、小賢しい結界を! 魔導部隊、一斉射撃でこじ開けろ!」

 指揮官の号令で、数百人の魔導師が杖を構える。


 だが、魔法が放たれる直前。

 店の屋上に設置された転移ゲートが光り輝き、二つの影が舞い降りた。


「……いらっしゃいませ。随分と大人数でのご来店ですね」

 俺とシルヴィアが、店の前の広場に降り立つ。

 数千の敵意が、一斉に俺たちに向けられた。


「貴様が噂の店長か! 問答無用! 悪魔の店を破壊し、聖女様を取り戻せ!」

 指揮官が剣を振り下ろす。

 交渉の余地なしか。野蛮な連中だ。


「……カズヤ店長。やりますか?」

 シルヴィアが殺気を放つ。彼女一人でも数百人は相手にできるだろうが、多勢に無勢だ。店を守りきれる保証はない。


「いえ。今回は『数には数を』で対抗しましょう」

 俺は右手の指輪に触れた。


 以前、「冥界の女帝アナスタシア」様から頂いた『死霊王の指輪リング・オブ・リッチ』だ。


「……アナスタシア様。貴女の眷属たちの力、お借りしますよ」

 俺が指輪に思いを込めると、どす黒い瘴気が地面から噴き出した。


 ズズズ……ガゴォォォ……ッ!


 2号店の周囲の地面がひび割れ、そこから無数の手が突き出した。

 現れたのは、錆びついた古代の鎧を纏い、青白い瞳を光らせた「アンデッド騎士団」。

 その数、数百。いや、千を超える。


「な、なんだと!? 死霊騎士デス・ナイトの軍団だと!?」

「ひぃぃッ! あいつら、ただのスケルトンじゃない! 高位のアンデッドだ!」

 聖騎士たちが悲鳴を上げる。


 アナスタシア様の私兵団だ。そこらの雑魚モンスターとは格が違う。

 彼らは整然とした動きでDマートの前に列を作り、聖教会軍に対して剣と盾を構えた。


 『……我が主の店を荒らす者は、万死に値する……』

 アンデッドの隊長デュラハンが、重低音で唸る。

「……警備体制は整いました、我が主」


 俺は聖教会の指揮官を見据え、宣言した。

「警告します。これ以上、当店への営業妨害を続けるならば、Dマート警備隊が全力で排除します。

 ……さあ、クレーム対応の時間だ」


 500階層の広場で、白銀の聖騎士団と、漆黒のアンデッド軍団。

 二つの軍勢が、コンビニを挟んで一触即発の睨み合いを開始した。

◆◆◆◇◇◇◆◆◆


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