第1話 はじめの決意
ルートがご飯を食べているときだった。
電話が部屋中に鳴り響いた。
ガチャ
「はい。もしもし」
レイは受話器をとり話しかけた。
ルートは箸を咥えながら椅子ごとレイに近づき、外から漏れる電話の声を聞いた。
「ルート様に捜査依頼を頼みたく電話しました。詳しくはFAXにて送ります。よろしくお願いします。」
レイは受話器を元に戻した。
「だって」
レイはFAXから送られてきた紙をルートの顔面に押し当ててそう言った。
「うぶぅ!ん?」
ルートは紙を見つめた。
「どうしたの?ルート」
エイトはレイにお茶を出しながら聞いた。
「ナモだ。行ってくる。ご馳走様」
ルートはそう言うと、足早に席をたち玄関先のコートに手をかけた。
「いってらっしゃーい」
2人の声を背にルートは外に出ていった。
ガチャン!
外の寒い風が部屋に流れ込む。
「ルート。また残しちゃった。」
エイトは残したご飯にラップをしながら言った。
「仕方がないでしょ。だって仕事なんだから。」
ルートは近くの河川敷に来ていた。
keepoutと書かれたテープをくぐり抜けルートは中にへと入る。
いつもはランニングなどをしている人を見かけるこの場所。ここに死体があると報告を受けた警察で溢れかえっていた。
ルートは中央付近に出来ている警察の輪から状況を見た。
「これは酷いな」
喉笛を噛みちぎられた死体がいた。
しかし、その歯形と呼べるものは、この世に存在する動物に該当するモノはなかった。
「誰だ貴様!」
耳元で大声を出され怒った1人の警官がルートの襟を掴んだ。
「おいおいおい?俺はナモ調査団だぞ?」
警官は手を離すと頭を下げた。
「君がルート君かな?かなり子どもに見えるけど」
奥から女性が歩み寄ってくる。
「あ?身長で人を判断してんじゃねぇ。これでも168だぞ?」
ルートは身長のことには敏感なのである。
「すまない。そのつもりではなかった。」
女性は頭を下げたあと、手を差し伸べた。
「私は霧島優子だ。よろしくな。」
ルートはいやいや握手をした。
「んで?これはナモの仕業なのか?」
「いや。ナモ・エネミーだ。」
ルートはすぐさま訂正した。
「君には犯人がわかっているのか?」
「もちろんだ。だがてめぇらは手出すなよ?てめぇらのやるは、殺るだかんな。」
ルートは警官達に背を向けると歩き出した。
ルートは河川敷を出るとボロアポートへと来た。
「相変わらず汚ぇな。」
ルートは、床に転がる1.5Lのコーラのボトルやいつのか分からないカピカピのピザを避けながら言った。
「逆に君は相変わらず勝手に入ってくるね」
薄暗い部屋の中でポテチを開けながらパソコンに夢中になっている、小太りの男は背中でそう答えた。
彼はギーク。ルートの親友で、馬鹿なルートの脳の代わりのようなものだ。
ドン!
「コーラとポテチ、それにピザ。2週間分だ。ナモの居場所を特定して欲しい。」
テーブルの上に大きなダンボールを置くとルートはそう言った。
「僕の2週間分のコーラは70本のはずだけど」
ギークはパソコンをいじりながら答えた。
「なんで見ねぇのにわかんだよ」
「音だよ。テーブルに置いた時の音。56本しか入ってない。」
ルートはやれやれと言いながらダンボールの中身を確認した。
「まじかよ!?」
ルートは驚きのあまり立ち上がった。
「まじかよ、は僕のセリフ。14本。事が終わったら早く届けてよね。」
ギークは椅子を回転させルートに向くとコピーを渡した。
「はい。隠れ家分かったよ。」
「さんきゅ!!」
ルートは紙を受け取るとギークの家をあとにした。
ルートは貰った紙を頼りに歩き出した。
プルプル。ルートの電話がなった。
「なんだギーク。」
ルートは歩きながら聞いた。
「ナモ対策本部が動いてるみたいだけど?」
「なに!?ギーク、ナモ対策本部の方頼む!」
ルートはそう答えると、来た道をはしりだした。
「ない。」
河川敷にいたはずの死体が消えていた。
「君!」
その時、後ろから呼ばれた。
ルートは振り返る。霧島優子だ…
「遺体がないと聞いてな。本当だったか…」
「おい!てめぇだろ?!しかもナモ対策本部がまで動かしやがって!!」
肩を思い切り掴まれた霧島優子は目を見開いた。
「そ、そんなはずはない…」
ルートは手を離すと霧島優子に背を向けた。
「そんなはずはない!私の方から連絡もした。事実だ!」
「じゃあなんで!!」
ルートは霧島優子を見た。
そして、言葉を飲んだ。
霧島優子は焦りながらメモやスマホを確かめていた。その焦りようは、先程までのクールさやベテラン感が消えていた。
ルートは霧島優子に近づくと、肩に手を当てた。
ルートは何も言わずに、ナモ・エネミーの元へとはしりだした。
その頃、レイはファッション雑誌を読み
エイトが紅茶を入れ、2人でティータイムを楽しんでいた。
レイはいきなり立ち上がった。
ガタン!椅子が倒れる。
「ルート…戦う……」
それを聞いたエイトは可愛らしい笑顔で紅茶に口をつける。そして紅茶を飲み込むと。笑顔を消した。
「やっとか。」
「ここか。」
錆び付いた廃墟。工場のようにも見える建物にルートは来ていた。
中は薄暗く、外の光を頼りにルートは歩いた。
奥に男性がいた。
ルートは立ち止まる。
「来たか。ルート…」
男性は立ち上がるとそう言った。
「…ハジメ。。。どうしてこんなことを」
No.1エネミー 一
その姿は高身長ですらっとした体をしている。
黒い帽子に黒いTシャツ、黒いズボン。
「どうして?ふざけんなよ…ナンバーワンは。俺だけだ!!」
ハジメのパンチを片手で受け止めるルート。
「ハジメ…お前は俺に勝てないよ。。。」
「ふざけんなぁ!!」
すかさずハジメはルートの腹に蹴りを入れる。
「ウッ!」
ルートは吹っ飛ばされ、壁に当る。
壁が僅かに崩れる。
「No.1。能力解放」
ハジメがそう言うと、たくさんの1という数字がハジメを包んだ。
「はぁ!!」
ハジメの顔はドーベルマンのようになり、帽子とつばの間から耳が飛び出る。
腰には小さな尻尾が飛び出た。手足の爪は鋭く伸び、八重歯が大きく発達した。
ほかは人間と変わらない。
これが能力解放をした、ナモの姿である。
ナモはナンバー事にモチーフが違う。
No.1エネミーのモチーフは犬のようだ。
「ハジメ…行くぞ…」
ルートは目を瞑る。するとルートのまわりに風が吹く。黄色い光がルートを包む。
そして、まとわりつくように沢山の数式が螺旋状にルートの周りを漂う。
右手を前に突き出し、左から右へと手を動かした。
パン!光が弾け、ルートの手に錆び付いた様な剣が現れた。ルートより少しだけ背の高い剣。
刃の側面にはまるで定規のように、数字とメモリ。鍔には、少し黄ばんだ白いの上に赤く
【Ø】の文字が書いてある。
「No.0ーゼロー レイ!」
ルートはハジメを左に見ると、腰を落とした。
剣を右手で構え、剣先を左手で支える。
標的であるハジメを剣先で捉えた。
「行くぞ!ルート!!牙狼爆弾」
ハジメは、地面を蹴りあげルートへと飛び込んだ。
「はぁ!」
ルートも地面蹴りハジメへと飛び出した。
「ぐぁ!」
ハジメの腹がルートの剣で切られた。
ルートは脇腹をハジメに噛まれていた。
「まだだぜ。ルート…はぁ。はぁ。」
(一撃で決める必要があるな。)
ルートは目を瞑る。
光がまたルートを包むが先よりも物凄く薄く見えにくい。
「諦めたか。行くぞ!牙狼爆弾!!」
ハジメが突っ込んでくる。
その瞬間。ルートは目を開ける。
「No.8ーハチー エイト!」
そう言うとルートは地面に剣を突き刺した。
「2√2!」
ルートが叫んだ瞬間、衝撃波がハジメを襲った。
「うわぁ!」
ハジメは吹っ飛ばされる。
ルートは切り上げるように剣を抜く。
そして、また衝撃波が生まれハジメを襲った。
「ルート…やっぱおめぇには勝てねぇわ。」
ハジメは弾き飛ばれ、寝たまま言った。
「だろ?」
ルートは少し微笑みながら答えた。
「ルート。俺の力を使って欲しい。この世界護るためによ。」
ハジメは立ち上がりながら言った。
「そうか。ありがとうなハジメ。」
「バージョン変化。√」
そう言うと、剣が√のような形になった。
そして、そのままルートはハジメを封印した。
「ただいま」
ルートは家に帰ってきた。
「おかえり!ルート!!ハジメ封印出来ただね」
レイが嬉しそうに飛びついてきた。
ハジメはエイトの入れた珈琲を飲んでいた。
剣に封印されたナモはここへくる。
そして、ルートの命令と剣の力により、ナモの能力を扱うことができる。
レイは全てを無にするための剣の能力。
その剣で行うエイトとの合体攻撃、2√2
何もせずに衝撃波を、生み出した後に剣を振るうことでさらに衝撃波が生まれる技。
そうしてナモの力を借りながらルートは世界を護ってきた。
その時、電話が鳴り響いた。
レイが、受話器をとる。
「え!?フー??」
部屋中にレイの声が響いた。
そして、何か話したあと。レイは受話器を置いた。
「ルート。どうしよう。」
レイは泣き崩れる。
「どうした!レイ!!」
ルートはレイの肩を支えた。
「ニーフちゃんと、ニャニーフ様が…」




