届きはじめた声
それぞれの場所で、
二人の男は、歩き続けていた。
その道が変わることを知らずに。
畑の男
畑を訪れる人が、
少しずつ増えていた。
「この前の野菜、おいしかったよ」
「また買いに来たよ」
その言葉が、
男には、嬉しかった。
大きな注文ではない。
有名になったわけでもない。
それでも、
自分が毎日向き合ってきたものが、
誰かに届いている。
男は、今日も、
黙って土を耕していた。
成功した男。
その頃。
成功した男は、
大きな仕事を終えていた。
周りからは、
「さすがですね」
「順調ですね」
そう言われる。
SNSにも、
華やかな写真が並んでいる。
誰が見ても、
成功している男だった。
一人になった部屋で、
スマートフォンを置く。
静かになる。
男は、
深いため息をついた。
「......これでいいのか」
誰にも見せない顔だった。
数日後、、、。
成功した男のもとへ、
一つの話が届いた。
「最近、あいつの畑、
評判になってるらしいですよ」
男は、顔を上げた。
「......あいつ?」
頭に浮かんだのは、
あの小さな畑だった。
あの日、自分が言った言葉。
「そんな小さな畑で、何になるんだ」
成功した男は、
しばらく黙っていた。
ーーその頃、畑では、、、。
男のもとに、
新しい客が訪れていた。
「あなたの野菜を、
もっと多くの人に届けたいんです」
男は、驚いた。
まだ、
何も知らなかった。
この出会いが、
自分の人生を大きく変えることを。
小さな変化が、
やがて大きな流れになる。
二人の人生は、
少しずつ近づいていた。




