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悔しさを土に埋める
一人は、早く成功した。
もう一人は、まだ何者でもなかった。
同じ人生でも、
歩く速さは、違う。
次の日も、
男は、畑にいた。
昨日の言葉が、
頭から離れなかった。
「そんな小さな畑で、何になるんだ」
何度も思い出す。
悔しい。
男は、黙って、
土を耕した。
ひとつ。
また、ひとつ。
小さな畝を整えていく。
「いつか......」
男は、手を止めた。
そして、
小さく笑った。
「見返してやる」
そう言ってから、
すぐに首を振った。
違う。
誰を見返すためじゃない。
自分が納得できる畑を、
作りたい。
男は、また、土に手を入れた。
その日から、
男は、少しだけ、
畑を見る目が変わった。
今まで以上に、
土を大切にした。
野菜をよく見た。
失敗したところを、
一つずつ直した。
誰にも見られていなくても。
誰にも褒められなくても。
昨日より少し良くする。
それだけを続けた。
数日後。
畑を見に来た一人の客が、
男に声をかけた。
「この野菜......」
男が顔を上げる。
「前より、ずっと美味しくなってない?」
男は、
自分の変化に気づいた。
まだ、
小さい変化だった。
確かに何かが、
動き始めていた。
この先、二人の人生が、
どこへ向かうのか。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。




