まだ、そこにいるのか
人の言葉は、
思っている以上に心に残る。
男が畑で作業をしていると、
一台の車が止まった。
男が畑で作業をしていると、
一台の車が止まった。
降りてきたのは、
あの男だった。
誰もが知る成功者。
「久しぶりだな」
「......久しぶり」
成功した男は、
畑を見回した。
「久しぶりだな」
「......久しぶり」
成功した男は、
畑を見回した。
「本当に、まだやってるんだな」
「うん」
「前にも言っただろ」
男は、
くすっと、
笑った。
「そんな小さな畑で、何になるんだって」
主人公は、黙った・・・。
「最近、評判になってるらしいな」
「......少しだけ」
「少し評判になったくらいで、
成功した気になってないか?」
その言葉が、
胸に刺さった。
「俺は、もっと大きな世界で戦っている」
「お前は、ここで野菜を作っているだけだ」
「正直に言うけど・・・」
「お前には、俺みたいな才能はないよ」
静かになった。
男は、
握っていた手に力を込めた。
悔しかった・・・。
ものすごく悔しかった。
でも・・・。
言い返さなかった。
「......そうかもしれない」
成功した男は、
クスクス笑った。
「だったら、無理するなよ」
そう言って、
車へ戻っていった。
一人になった畑。
しばらく動かなかった。
・・・・・。
ゆっくり土に手を入れた。
「......才能か」
土を握る。
「俺には、ないのかもしれない」
少し間を置いて、
顔を上げた。
でも......。
「続けることなら、できる」
その日から、
今まで以上に、
畑と向き合うようになった。
誰かに勝つためじゃない。
誰かを見返すためでもない。
ただ・・・。
「自分には何ができるのか」
それを確かめるために。
翌朝ーー。
一本の電話が入った。
「昨日のお話ですが......」
電話の相手は、
前回、訪ねてきた人物だった。
「ぜひ、あなたの野菜を、
うちで扱わせてください」
言葉を失った・・・。
まだ、
本人だけが、
知らなかった。
ここから、
人生が大きく動き始めることを。
悔しさを、
力に変える。
男は、
まだ終わっていなかった。




