5 シューメーカー、おるかー。
木星はんとの会話の途中にシューメーカーに会いに行った時の会話です。
「シューメーカー、おるかー。」
「いますよ~。ハレー先輩、ようこそ。」
「ようこそやないわ。木星はんに許してもらいよって来たわ。」
「色々、ご迷惑をおかけいたしまして・・・。」
「ほんまや。おまんの故郷のオールトの雲は一時てんてこ舞いやったで。」
「えー。」
「おまん、首席で彗星養成所を卒業したらしいな。」
「えへへへ。そうだす。」
「アホ、ワテのマネすんな。その首席が寄りにもよって木星はんに衝突だっせ。
何が起こったか、調査が入ったんよ。」
「まさか・・・。先輩が……。」
「そうや。」
「ホントにご迷惑をお掛けしてるんですね。」
「そうや。正直に質問に答えてぇな。」
「はい。何でも聞いて下さい。」
「もうすぐ、全部のうなるのにのほほんとしてんな。」
「木星はんに揺られていると、心が落ち着いて気持ち良いんです。
それに、こうして星から宇宙を眺められて望みがかなったなあ。と」
「気持ちいい?」
「すっごい包容力のある人に、頭撫でられたり、頑張ったな、とか、
自分を肯定してくれるみたいでホッとするんです。」
「ほ~。おまはんさ~……。顔あかいで~。」
「エッ、」
「それよか、最後の『ありがとう』はなんや?
木星はんが気にしておったで。」
「あれは~。
木星さんに見とれてたら、地球さんの軌道にはいっちゃったんです。」
「まずいやろ~。」
「ヤバいと思った時には間に合わなくて、オロオロしてたら、
木星さん、登場です。」
「さすが太陽系の守り神でんな。」
「そうなんです。気付いたここにいました。
痛くも痒くもなかったんです。普通、激痛ですよね。
木星さんて、すごい気遣いできる方なんですね。」
「そうやな。そんで、」
「あのままだと、地球さんに衝突でしょ。阻止してくれたお礼と・・・。」
「お礼だけやないんかい。」
「えへへへ。そのお礼と木星さん登場で
あたしの欠片が宇宙に飛び散るのを阻止してくれたダブルお礼かな。
あと~。」
「まだ、あるんかい。」
「木星さんの一部になって星になれるからそのお礼。
だぶるじゃなくトリプルありがとうですね。」
「少しは彗星の誇りをもってたんやな。」
「もちろんです。
あたしだって、養成所の卒業証書と彗星認定書はもってるんです。」
「認定書が無いと、宇宙に出れへんもんな。」
「試験に合格して、太陽神様から尾っぽを頂いた時には感涙しました。」
「それがなんでや?」
「最初は鼻高々で星々の間を飛び回りました。
でも、星の方々は、様々で独自性を持とうと頑張っています。」
「ほやな。」
「それで思っちゃったんです。
自分で星を育てられたらおもしろいかも。って。」
「おまんな~、彗星は、」
「分かってます。彗星は惑星にはなれません。
だから、星々を眺めて満足してたんです。
そしたら木星さんです。」
「木星はんがどうした。」
「あんなに大きくて太陽系を守ってるんですよ。
あんな星になれたらどうなんだろう。
いいな~。って、想像して、ボーと見とれてたんです。」
「それで、地球はんの軌道に乗ったと。」
「はい。」
「単なる脇見運転やろ。」
「申し開きできません。」
「ハア。木星はんでよかったのう。」
「はい。太陽系を守るためにあたしとぶつかって、
欠片一つ残さず吸収してくれて、あたしは星になれて
思わず『ありがとう』と。」
「で、今ここか。」
「はい。幸せで言うことありません。」
「おまはんな~。まるで恋する乙女だな~。」
「……。あたしが・・・。木星さんに……。」
「そうや。今まで、惚気話しかしいへんで。
まるで、押しかけ女房や。」
「あ~。そうかも。あたしは木星さんの押しかけ女房になったんですね。
なんか、スッキりしました。」
「・・・。そら、よかったな。」
「はい。だから、調査委員の方や彗星仲間にはよろしくお伝えください。
あたしは、木星さんの押しかけ女房になって幸せだって。」
「へいへい。うまく言うとくわ。」
「お願いします。
でも~、木星さんは押しかけ女房を認めてくれますかねえ。」
「大丈夫やろ。おまはんは、ぜ~んぶ木星さんに吸収されるんや。
ただ、他にも押しかけ女房はんがいるかもな。仲良くしいな。」
「はい。頑張ります。」
「木星はんにも、うまく伝えるわ。」
「お願いします。
もう彗星から外れたみたいで、うまく会話ができなくて困ってたんです。」
「そうやろなあ。」
「最後に、ハレー彗星先輩と話せて良かったです。
今まで、ご指導ご鞭撻のほど、ありがとうございました。」
「これも仕事や。ほな、幸せにな。」
「木星さんに、くれぐれもよろしく~。」
「へい、へい。」
読んで頂いてありがとうございます。




