表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
彗星のお仕事  作者: 田舎娘


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/8

4  木星はん、具合はいかかでっか。

「木星はん、傷の具合はいかがでっか。」


「ハレーさん、気遣いありがとう。でも、

 あんなちょっとの衝突なんて蚊に刺されたようなもんだ。」


「いいえ。元は、あのアホ彗星のシューメーカーが

 あんさんに楯突きよったさかい、同じ彗星として謝らせて~な。

 それと、地球はんの『ありがとう』の伝言もありまっせ。」


「感謝される覚えはないぞ。」


「ありまんがな。

 木星はんは、地球はんをアホのシューメーカーから救いましたやんか。

 さすが、太陽系の守り神でんな。」


「儂は、仕事をしただけだよ。でも、

 その仕事を理解してくれて、尚且つ『ありがとう』は嬉しいもんだな。」


「そうでんか。」


「だから、地球はんの『ありがとう』を届けてくれたハレーさんにも

 『ありがとう』だな。」


「なんやら、てれますがな。けど、胸に届きまんな。」


「儂のガスにしたあの子には悪いけどな。」


「ようおす。あのアホは何を思ったのか無謀なことをしよって。

 あんさんに勝てるはずないやん。」


「う~ん。あの子さ~。何か言いたかったみたいなんだ。」


「ホンマでっか。」


「消えていく時、儂に『ありがとうございます。』って言ってたんだ。」


「……。今、彼奴は・・・。」


「まだ、あそこにいるよ。ほら、あの黒い点だ。

 もう、儂に取り込まれてるはずなんだが、頑張ってるんだ。

 儂が声かけても返事がないんだ。」


「もう、彗星でないんや。返事できへんやろ。」


「そうだったな。」


「ワテが話に行っても・・・。」


「いいよ。あの子の命もあと少しだから、穏やかに見送ってやりたいから

 頼むよ。」


     * * * * *


「木星はん、色々とありがとうさん。」


「で、どうだった。」


「あのアホは、星に憧れていたようで。

 で、木星はんに見とれてたら、地球はんの軌道上に乗ってしまったと。」


「アハハ!儂にみとれて⁉」


「元々、木星はんに憧れてたよって、地球はんとの衝突も回避してもらって、

 宇宙に破片が飛び散ることなく自分の全てを吸収して貰って、良かった

 言うてます。」


「そうか。ぶつかってきた原因は褒めたもんじゃないが、

 きちんと教育されてるね。で、今は?」


「今は、木星はんの胸でゆりかごみたいに揺られて

 宇宙を眺められるよって本望らしいで。」


「そんなら良かった。吸収するのも少し抑えるか。

 心行くまで惑星からの宇宙の眺めを堪能すればいいさ。」


「木星はんは、器だけじゃのうて心も広いよって頭がさがりますがな。」


「そんなことは無い。

 結局は儂があの子の全てを吸収させてもらうんだ。」


「でも、彼奴は木星はんの押しかけ女房のつもりでっせ。」


「はっ、押しかけ女房?」


「そうだす。」


「アハハハ。儂に女房ができたのか。こりゃあ、傑作だ。」


「笑い事じゃぁ、あらしません。

 本人は本気で木星はんに恋してるようでな。」


「うれしいね~。今まで色んな理由で勝負を挑まれたけど、

 女房になりたいって理由は初めてだよ。

 あそこの傷はシューちゃんと呼ぼう。」


「喜んで貰って彼奴もうれしいでしょう。

 木星はん、顔が赤くなってまんな。」


「赤くなってる! はずかしいなあ。

 儂、この年になってウキウキしてるわ。うれしいな~。」


「ようござんしたね。」


「新婚だよね~。だったら、シューちゃんの為にもう少し格好に気を付けようかなあ。ハレーさん見て、儂のリングはどうだ。いかすだろ~。」


「よく見りゃ、リングがありまんな。」


「長い間、ただ大きいだけの星だったからさ、飽きてね。

 少し、いじってみたんだ。」


「それで、リングでっか。」


「ほら、土星みたいなリングがあったら、カッコいいかと思ってさ。

 シューちゃん、気に入ってくれるかなあ。」


「大丈夫やろ。あんさんの一部なんやし。気に入る以前の話や。」


「夢がないな~。そんなんじゃお嫁さんこないよ。」


「嫁はん、いらんし。」


「そんなことより、衛星たちに聞いたら、不評でさ。」


「なんでや?」


「見る角度で違うらしいんだ。駄目だしばっかりで褒めてくれないんだ。」


「残念どすな。」


「シューちゃんの為にも頑張るからさ。ハレーさんもお願い。」


「何をだす。」


「今度来る時は、遠くから見える姿をよく観察してきて欲しいんだ。」


「へい、へい。」


「なんか、つかれてるね~」


「木星はん、あんた人格変わりすぎや。」


「うん、新婚だからね。だから、行くね。」


「どこへやす。」


「シューちゃんとこ~。シューちゃんの頭いい子いい子したり~、

 お姫様抱っこしたり~。新婚らしいことしたいじゃん。」


「じゃん・・・。できまへんやろが。」


「気持ちだよ。気持ち。」


「木星はん……。ハアー。シューメーカーのこと、よろしゅうに。」


「言われなくても、大事にするよー。儂、忙しいから、またなー。」


「ハアー。サイナラ。奥さんによろしゅう。」


 

 

読んで頂いてありがとうございます。

シューメーカー=レヴィ第9彗星が1994年に木星に衝突しています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ