38 フリーネット、無事か~。
「フリーネット、無事か~。」
「ハレー彗星さん。はい。おかげさまで心地よくプラプラしてます。」
「そりゃよかった。周りの星は優しくしてくれるか。」
「はい。もう楽しいことから嫌なことまで、ちゃんと教えてくれます。」
「嫌なこと?何かいじわるされてるんか。」
「あ、違います。太陽神様が後50億年で白なんとかに変わるとか。小惑星だけど太陽系のラスボスがいるとかです。ラスボスには逆らうなって、太陽神様でも逆らえないからって。」
「ラスボスのケレスは、優しいじいさんだゾ。」
「そうなんですか。安心しました。ケレスのおじいさんですね。」
「実はな。この太陽系にも、あんさんと同じように生まれたての星があってな。」
「へえ~、そうなんですか。お話ししてみたいですね。」
「その星は姫星って言うんや。」
「かわいい名前ですね。」
「悪いな。安易に名付けしてしもうて。」
「そんなことないです。私はフリーネットって気に入ってます。不満なんかありません。」
「そりゃよかったわ。そんでな。その姫星もフリーネットに興味を持ってな。会ってみたいと言い出したんや。」
「そうなんですね。私も会いたいです。ここは居心地はいいんですけど、やっぱり大人の方ばっかりで。」
「そうやろな。姫星も同じみたいや。同じ年頃の星と会ったことがないさかい、フリーネットに興味があるらしいで。」
「私と同じなんですか?」
「そうや。つい最近星になったんや。元はブラックホールや。」
「へえ~、面白い。もっと詳しく聞きたいです。絶対会いたいな。」
「でもな、そうなるとここを移らんとなあ。」
「そうか。でも戻って来れるんですよね。」
「わからんなあ。」
「どうしてですか。」
「姫星はな、恒星候補なんや。だからフリーネットは、下手すると引き寄せられて吸収されてしまうんや。」
「ああ。あのおーきな木星さんみたいに引っ張られるんですか。」
「そうや。行ってみるとわからんがな。」
「そうか。」
「あとは、姫星に引っ張られて、姫星の衛星になるかもや。」
「衛星?」
「そうや。この辺にもいるで。ほら、あれや。あのちょっと大きな星の周りを回ってる星がいるやろ。あれが衛星や。」
「そうなると、私はフラフラできないの。」
「ふらふらはできんが、ほかの星とぶつかり合うことはないな。それにフリーネットなら衛星やなく姫星の惑星かもな。」
「惑星?」
「そうや。姫星の周りを回って、自分の星を育てるんや。おまはんは自由浮遊惑星やろ、自由浮遊がなくなって姫星の惑星やな。」
「うん。」
「深く考えなくていいぞ。ただ動くんやったら今や。」
「どうしてですか。」
「フリーネットが小さいうちでないとな。」
「大きくなったらダメなの。」
「おまはんが大きくなったら、この辺りの星よりも質量も大きくなるよってな、連れて行くのもしんどいんや。」
「ええ、私ってあんな大きくなるんですか。」
「多分な。」
「知らなかったです。」
「そうやろな。この辺の星は、外の世界を知らんからな。」
「誰なら知ってるんですか。」
「太陽神様と姫星や。」
「姫星さんって、すごいんですね。」
「恒星候補や。そのためにな、太陽神様の意思と初代ブラックホール殿の意思を継いどるんや。もちろん知識もな。」
「すごい星なんですね。」
「将来、姫星がどうなるかはわからんがな。それで話し相手が欲しいらしいわ。」
「私、行きます。」
「良いんか。最悪、吸収されるんやぞ。」
「それでもいいかなあ、なんて。」
「いいや。そんなことになったら、ワテが悲しい。よし、吸収されそうになったら、ワテがフリーネットを抱えて逃げるわ。安心してや。ここにまた連れてきてやる。」
「ハレー彗星さん、ありがとう。」
「あんさんは、ワテの名付け子や。任せておけ。」




