35 天の川はん、どないした。
七夕にちなみ、天の川編を書いてみました。番外編です。
ハレーさんが恒星間彗星として銀河を飛び回っていたら。
天の川はんと顔見知りだったら。
二人の会話は──どないなことになりおるのか?
「天の川はん、天の川はん。」
「ハレー彗星さん。ごめんなさい。気づかなくって。」
「耳栓なんぞして、どないしたん。」
「これがないと、とんでも無いことになるのよ。」
「そういや、皆はんしてまんな。」
「そうなのよ~。今日だけは絶対必要なの。」
「今日だけでっか。」
「そうよ。今日は7月7日よ。」
「たしか~、七夕でんな。」
「ほら、あそこが二人の再会の船着き場よ。
今日だけは、二人の貸し切りよ。」
「近くで子供らがあそんでますな。」
「すぐ戻ってくるわ。織姫が来たらね。そろそろ来るわよ。」
「船が近づいてまんな。」
「織姫、登場ね。彦星は・・・。」
「おまへんな。」
「今年は、早々に始まるわね。」
「何が?」
「見てればわかるわ。ハレーさんにも渡しとくわね。」
「おおきに。でも、耳栓なんていつつかうんや。」
「子供たちが、避難してきてたらよ。」
* * * * *
「ハレーさん、ここからは筆談よ。」
「了解。」
「毎年よ。」
「かないませんなあ。」
「そうなのよ。あんなに仲が悪いんだったら、別れればいいのにね。
こっちは、いい迷惑よ。」
「止めないんか。」
「最初の頃は。仲裁してたのよ。それで仲直りもしてたのよ。
でも、ある年、織姫が仲裁の女性に嫉妬してね。
取っ組み合いの喧嘩になったの。」
「それは・・・。」
「嫉妬されるようなことはしてないのに、
大声で罵声やらで、あげく手をだしたのよ。
織姫が。」
「それ以来、関与しないことになったんだけど。
年々、ヒステリックになってね。
子供等に聞かせたくないことも大声で叫ぶようになってね。」
「それは・・・。」
「だから、耳栓。」
「役立ってまんな。」
「今年は、さらにひどいわ。」
「どうしてやろか?」
「ほら、織姫が着いた時、彦星がいなかったでしょ。だからよ。
去年は、彼女がお弁当をわんさか作ってきたんだけど、食べきれなくてね。
そこから、まずいと思ってる。他の女に作ってもらってる。
とか爆発してね。彼も、うまく彼女に合わせられないみたいでね。
悪いことに、売り言葉に買い言葉よ。」
「それは・・・。」
「でもね。不思議なことに、
お別れの時は、二人して手をつないで惜しんでるのよ。」
「それは・・・。」
「それでも、言い合いをしているのよ。手を繋いだままよ。」
「それは・・・。」
「一年に一日だから我慢できるけど。
中には、私の天の川から流れていっちゃう人もいるのよ。
みんないなくなったら、川じゃあなくなるでしょ。
銀河が維持できなくなったらどうしてくれるのよ~。」
「それは・・・。ちょっと大げさや。」
「それに、別名ミルキーウェイなんてカワイイおいしそうな名前があるのに、
名前倒れになっちゃうじゃあないの。
誰が、中身のないお菓子の空箱なんてほしがるのよーーーー!」
「それは・・・。」
「そうだ。みんなに言ってあの二人の離婚嘆願書をつのりましょ。
早速、準備しないと。」
「それは・・・。」
「ハレーさん。今日はお話しできてさっぱりしたわ。
また、話に来てね。さよなら。」
「あ~。……。 さいなら。」
次は、彦星と織姫です。こちらも、番外編です。




