33 「初代ブラックホール殿、聞いてもいいか。」
「初代ブラックホール殿、聞いてもいいか。」
「あら、ハレーさん。こんにちは。今日は太陽神じゃあなく、私なの。」
「はい。実は、この前自由浮遊惑星の迷子はんを拾いましてな。」
「そうみたいね。生まれたてのホカホカだって。」
「そうや。自分のことも解らんと、太陽系に入ったらしいで。」
「入ってきたら、太陽系にいろいろ衝撃が発生するから気が付くはずなんだけど、そんなに小さかったの。」
「まんまや。フラフラ、ヨロヨロ、マゴマゴしてましたわ。木星はんに捕捉されるとこやったし。」
「でも、カイパーベルトの外に連れて行ったのは正解ね。それで、その子のこと?」
「そうやない。最近、ワテは、冥王星や姫星、フリーネットに、あっ、フリーネットはさっきの迷子や。ワテが名付け親や。」
「知ってる。太陽系の情報は大体耳に入ってくるからね。で、それで。」
「最近、みんなに『勉強しい』と言ってる割に、ワテはしてらんなあとなってな。」
「勉強したんだ。偉いわよ。」
「そしたら、疑問が湧いてきてな。」
「私の所に来たってことは、恒星(太陽)とブラックホール(私)とのバランスね。」
「そうや。流石でんな。皆まで言わんでも察してくれるわ。」
「聞きたい。」
「教えてもらえるんなら。」
「今の太陽はブラックホールの質量に遠く及ばないわ。でも、ここに来た頃はもっと、小さかったのよ。」
「そうだったんや。」
「多分、天の川銀河も相棒のブラックホールも、もっと、太陽は成長すると思ってたのよ。」
「しなかったんか。」
「うん。その前に、私と言うブラックホールがいても、初期の頃なら、弊害はないと思ったんだと思うの。それに、私は、ブラックホールでも極小なのよ。だから、影響も抑えられると思ったんでしょう。」
「それが、どないして?」
「それがね、やっぱり出ちゃったのよ。弊害が。太陽の成長を私が阻害してる状態ね。」
「・・・・・。」
「だから、私の質量を抑えることにしたの。」
「そないなこと……。まさか……。」
「フフ、そうよ。二つの分身を創ったの。あれは、太陽に欠片を吸収させるためでもあるけど、私の質量を少なくするためでもあるの。配置も太陽に影響が少ない場所を選んでね。」
「じゃあ、今の初代はんは?」
「50%かな。でもね、そのおかげで、太陽の成長も早くなったし、太陽系の影響もすくなくなったのよ。でもね。」
「でもね。」
「これからって時にね。」
「時に。」
「燃えちゃったのよ。」
「それは…。」
「あれから成長が止まっちゃってね。考えれば当然よね。成長するために吸収した物質が燃え続けるんだもの。」
「それから、どないしたんや。」
「太陽の成長は望めないでしょ。あっ、あくまでも体のことよ。精神は成長するわよ。」
「もちろんや。」
「だから、私がいる限り、太陽系の秩序が狂うんじゃあないかと思っていた時。」
「思っていた時。」
「ハレー、ちょっとうるさいわよ。」
「すんまへん。」
「思っていた時、あの太陽の意思の爆発よ。私にも、意思は流れてきたのよ。」
「・・・。」
「その時ね。彼の苦悩も流れてきてね。このままでは駄目だと思ったの。多分、彼の苦悩を受け止めたのは、私だけよ。流石に一緒に苦労してきたからね。」
「一心同体でんな。」
「そう、それなの。」
「ハアー?」
「私が太陽と同化すれば、私からの影響が無くなり、二つのブラックホールも抑えられると思ったの。」
「それで、今か。」
「そうよ。でも、大成功。太陽も落ち着いて、今や太陽神よ。崇められてるけど、私にとっては、感情も抑えられないガキだったのにね。」
「この太陽系は、初代はんが創ったようなもんや。」
「違うわよ。ここは太陽が創った世界よ。私は、ブラックホールの存在を抑えただけ。だからね。」
「だから。」
「本来は、太陽系にブラックホールは不要だったの。私の子孫もブラックホールを産むのではなく、自分の身を分けてるの。だから、太陽系のブラックホールは極小の極小なのよ。でも、太陽系のお掃除には役立ってるわよね。」
「もちろんや。でも、姫星は。」
「彼女の誕生は、必然ね。どんどん質量が小さくなっているんだから、姫星みたいなブラックホールが誕生しても不思議ではないわ。」
「どんどんブラックホールはんたちが、小さくなっていったら?」
「太陽系は、ブラックホールのいない世界になるかもね。」
「それは…。」
「ハレーさんは、ブラックホールが恒星の成れの果てって知ってる。」
「そななんでっか。」
「そうよ。ただし、質量の大きい恒星ね。太陽は、小さいから白色矮星になるのよ。もし、太陽がブラックホールになったら、五十億年後の太陽系は、太陽のブラックホールだけの世界になるかもね。」
「それは…。」
「太陽が燃えたおかげで、太陽系は、姫星に受け継がれるのよ。」
「そうでんな。でも、姫星は小さいで。」
「これから、姫星は成長するわ。どのくらい成長するか分からないけどね。でも、姫星は、太陽と私の子よ。」
「そうでんな。二人の意思をちゃんと受け継いでまんな。」
「私は、太陽とず~と一緒だったからわかるわ。太陽は後悔していないわ。今の世界に満足しているわ。私もね。」
「ワテもや。」
「姫星の世界は、太陽が一人でここに来たらの世界になるのかしら。IF太陽系ね。」
「ワテらは光りまへんな。」
「そうね。おもしろいわよね。」
「おもろい?」
「そうよ。同じ太陽系の世界なのに、恒星によって、全く違う世界が広がるのよ。楽しみでしょう。」
「確かに、楽しみでんな。」
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