32 彗星養成所所長殿、暇そうでんなあ。
「彗星養成所所長殿、暇そうでんなあ。」
「ハレーか、暇なわけないだろ。」
「そうかあ。」
「そうだ。お前がこの前、『赤ん坊からやり直せ』と言っただろう。」
「言ったなぁ。」
「見習いたちから不満が爆発してな。上がまたしゃしゃり出てきたんだよ。それであまりの彗星見習いの意識の低下を嘆いてだなあ。」
「カリキュラムを変更して、その煽りが来たんか。」
「その通りだ。お前のせいだろう。」
「そやけど、早くわかって、よかったやろ。」
「そうなんだがなあ。あいつら、勉強は優等生でも、人格が育ってなかったんだな。」
「最近は、みんなそうやろう。」
「ジェネレーションギャップっていうのか、ひしひしと感じたわ。」
「若くても、まともなのはいるぞ。」
「お前が拾った自由浮遊惑星のフリーなんだっけ?その子か。」
「フリーネットだ。いい子や。」
「お前の名付け子だって。」
「ああ、可愛かったぞ。」
「良かったな、可愛い子で。」
「そういや、所長殿も、昔、拾ったらしいな迷い星。」
「誰に聞いた。」
「ワテは太陽系の皆さんに信頼されてまんでな。」
「フン。天王星だろう。」
「あたりや。」
「それを知ってるのは天王星とこの上の者だけだ。すぐわかる。」
「大変だったそうだな。」
「俺はお前より彗星の規模は小さいんだよ。」
「そうやっけ。」
「そうだよ。それなのに何でお前が赤ちゃん星で、俺があんな暴れ星、それも二つもだぞ。」
「疲れるな。」
「そうだろう。あれで俺は力尽きたんだよ。」
「まさか…それで引退かあ?」
「ああ。あの後ここに就職だよ。今思えば、彗星として飛び回っていた方が気が楽だったな。」
「そりゃそうや。」
「迷い星に遭遇するなんて、そうそうあることじゃないしな。」
「そうや、」
「でも、なお前が迷子を拾った事で、またカリキュラムが変わったんだよ、普通大きい星が太陽系に侵入すると太陽系に衝撃があるだろう。」
「あるなあ。」
「でも、お前のフリーなんとかは、小さすぎてすり抜けたんだろ。」
「そうみたいや。フリーネットや。」
「だから、そんな星の知識も教えることになったんだよ。」
「けんど、フリーネットは赤ちゃん星や。珍しい星だぞ。」
「そうなんだけどな。太陽系で見つかったことが、問題なんだと。」
「まあな。普通は、ワテらが見つける前に、惑星はんたちに知らず知らず捕捉されてるだろうしなあ。」
「ああ、お前が前例を作ったんだ。少しは資料作りに協力しろ。」
「へい、へい。」
「じゃあな、見つけた経緯だ。」
「へい、へい。かわいかったで。」
「そうじゃない。」
「へい、へい。」
読んで頂いてありがとうございます。
所長殿のであった迷い星は、天王星の衛星カリバンやシコラクスです。
「18 天王星はん、考えごとか」に登場しています。




