31 自由浮遊惑星はんか、迷子か。
「自由浮遊惑星はんか、迷子か。」
「は、はい。迷子です。ここはどこですか?あと、自由浮遊惑星って、私のことですか。」
「ここは、太陽系の中だ。で、自由浮遊惑星は恒星の重力に束縛されない星だ。おまはん太陽系にいて、太陽神様に影響されてないよってな。」
「太陽系?」
「そうだ。ワテは、ハレー彗星や。」
「あ、あの~。私は、名前はありません。」
「そうやろな。小さいもんな。よく惑星はんたちに捕まらんかったわ。」
「ワテ?彗星?惑星はんたち?」
「まさか、おまはん、星になりたてのホカホカか?」
「わかりません。気が付いたら暗い空間を漂っていて、ポーとしてたらここにいました。」
「ワテは、オレのこと。彗星は見たことないか?」
「はい。尾っぽが光ってるなんて、すっごくきれいです。」
「そうやろ。自慢や。ワテの他にも彗星はいるで。」
「太陽系って、ワクワクしますね。」
「で、惑星は、太陽の周りを誰にも邪魔されずに回ってる星や。ほれ、あそこに大きな惑星がいるで。木星はんや。」
「あ、あの星に近付きそうだったので、逃げててここに来たんです。」
「正解やったな。木星はんに捕まったら、今頃は、吸収されてガスになってたわ。」
「怖かったです。どんどん引き寄せられそうで。」
「よく、逃げられたな。運が良かったんやな。」
「私は、どうなるんでしょう。」
「このままやったら、どっかの星に捕まって消滅やな。」
「そんな……。ひどい…。」
「そやけどなあ、お前さん、小さすぎるんや。小さいから、今まで無事だったんやろうがな。」
「私って、そんなに小さいんですか?」
「ああ、小さいわ。ワテの尾っぽの一蹴りでバラバラになるで~。」
「えっ。」
「そない怯えなくてもいいやろ。安心してや、頼まれん限りやらんし。」
「絶対、頼みません。」
「わかってるわ。でも、名無しか。不便やな。何て呼んだらいいんや。]
「私は、他の星とお話ししたことが無いので、不便なんてありませんでした。だから、好きに呼んでください。」
「自由浮遊惑星はフリーフローティング・プラネットって言うたな。」
「フリーフローティング・プラネット?」
「そうや。フリーネットなんてどうや。」
「はい。それでいいです。」
「で、フリーネットは、これからどうしたいんや。」
「太陽系のそとでも、ここでもぶつかりそうになったり、引き寄せられたり怖かったです。」
「そうやろな。」
「だから、フワフワ、安心して漂っていたいです。」
「安心して、フワフワできるところか……。」
「ないんですか。」
「う~ん。あったわ。」
「ホントですか。お願いです。私を連れて行ってください。あっ、教えてください。」
「安心しい。連れて行ってやるわ。」
「ありがとうございます。」
* * * * *
「ここが、フワフワ、安心して漂っていられるとこや。」
「ここは?」
「太陽系の端っこの端っこや。だから、大きな星や重力の影響が少ないんや。ただ、ボーとしてるとぶつかるかもな。」
「でも、引っ張られることは無いんですよね。」
「まあな。」
「なら安心です。」
「周りの星と仲ような。」
「はい。でも、ここはどんなとこなんですか。」
「ここはな。カイパーベルトの外エッジワースや。」
「カイパーベルト?エッジワース?」
「そうや。ここはな、本当に太陽系のすみっこなんだ。だから太陽神様や惑星の影響は少ない。周りの星も重力は弱い。安心しい。」
「はい。ここは、なんだかホッとします。」
「ここで、星や宇宙のことを勉強して、大きくなるんやで。」
「はい。私は自分のことも良く判りませんから、たくさん勉強します。」
「自分をちゃんと理解したら、太陽系から出ていくこともできるやろう。
頑張れ。近くの世話好きな奴らにフリーネットのことを頼んどくさかい。」
「いろいろ、お世話になりました。ありがとうございます。でも、なんでこんなに親切にしてくれたんですか。」
「ワテの尾っぽを褒めてくれたお礼や。嬉しかったで。」
読んでいただきありがとうございます。




