30 「・・・・・。(ワテは、このまま帰りますわ。)」
「なあ、初代ブラックホールよ。」
「なんですか。太陽神。」
「恒星になって、50億年だ。」
「知ってます。」
「やっと、太陽系が落ち着いたと思ったんだが。」
「落ち着きましたね。」
「けど、50億年後を考えるとなあ。」
「そうですね。太陽の影響は大きいですからね。」
「私は、燃えない方が、よかったのか?」
「太陽の炎は、私にも責任がありますからね。しかし、燃えなかったら、太陽系の姿は、まったく違う世界になっていましたよ。」
「そうだよな。だからこそ、私が燃え尽きたら……。」
「水星と金星は消滅ですね。地球は、今の姿は保てないでしょうね。」
「文句を言いそうだよな。」
「地球がですか?地球は惑星ですから、理解はしているでしょう。もちろん、惑星たちは、皆、分かっていますよ。」
「違う。エリスだ。」
「小惑星のエリスですか。言いそうですね。」
「ああ。私の光が無ければ、冥王星に嫌がらせできないってな。それに、彗星たちだな。」
「尾っぽが、輝かなくなりますね。」
「彼奴らは、それを誇りにしてるからな。」
「本当に、おもしろい世界になりましたね。」
「私の苦労が偲ばれるだろう。」
「私には、それ以上の苦労がありましたよ。」
「お前には、感謝している。が、サッサと隠居して、私の影に隠れているのはどうなんだ。」
「私は、次世代を太陽系に誕生させてあります。少しは、ゆっくりさせてください。」
「私は、ゆっくりできない。」
「それが、恒星の仕事です。」
「私の恒星の寿命が100億年なんて、誰が決めたんだ。」
「天の川銀河あたりでしょうね。」
「考えなしに物事を決定するからな。」
「相棒のブラックホールが苦労してますね。」
「それになあ、白色矮星になってからが、はるかに長いんだよな。」
「白色矮星になってもそばにいますよ。その為の同化ですから。」
「そこまで、考えていたのか。感激だね~。」
「半分ね。半分は、楽がしたかったの。」
「その気持ちは、わかる。」
「悪いわね。楽させてもらって。」
「だがな、私は白色矮星になっても、変わって行く太陽系を見守れるだろうか。」
「見守れるでしょう。多少の嫉妬は存在するでしょうが。じたばたしても、始まらないですよ。」
「そうだが……。」
「あとは、姫星と自分の分身を信じなさい。」
「太陽系は、生まれ変わるんだな。」
「その一員に、なるんです。」
「楽隠居しながら、眺めるか。」
「そうしましょう。」
「・・・・・(ワテ、このまま帰りますわ。)」
「ん…。ハーレーがいたのか。」
「いましたね。知ってたでしょう。」
「聞かれたか。」
「聞かれましたね。聞かせたんでしょう。」
「勘違いしたかなあ。」
「しましたね。質が悪いですよ。」
「ちょっと、シリアスな太陽神って、良くないか?」
「自分のお遊びに、他の星を巻き込むのは気の毒です。」
「私は、私を憂いてだな。」
「50億年後なんて、とっくに姫星に丸投げしてるくせに。考え込むような性格はしてないでしょう。」
「アハハハ。訂正するか。」
「いいんじゃあないんですか。少しは、そう思っているんでしょうから。」
「・・・・・(ワテ、やっぱりこのまま帰りますわ。)」
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