12 オトトット、いつもより元気やな、ブラックホールはん。
「オトトット、いつもより元気やな、ブラックホールはん。」
「あら、ハレーさん。こんにちは。ごめんなさいね。娘に見本を見せてたら、ちょっと張り切っちゃたわ。」
「もうちょっとで飲み込まれるとこやったで。新しいお子はんが誕生したんやな。おめでとうさん。」
「ありがとう。この間、やっと息子が一人立ちしたから肩の荷が無くなったんだけど、次世を育てるのは親の役目だからね~。」
「息子はんのことは、聞いとります。なんでも、すっごう大きくておかあはんより大きいとか。」
「そうなの。なんで、あんなに大きくなったのか不思議なのよ。でも、役に立つなら問題ないしね。」
「そうやで。あんさんたちブラックホールはんは、この宇宙をきれいにしてくれるんや。大事なそんざいやで。それに太陽神様にとってもな。」
「そう言ってくれると、嬉しいわ。なかには、単なる掃除機とかバッキュムカーなんて言うのもいるのよ。」
「そう言う奴は、吸い込んでしまいなはれ。太陽神様も張り切って燃やすやろ。」
「ホホホ。堪忍袋が切れたらそうするわ。でもね。彼奴等、最近は大きなゴミを小さくして持ってくるのよ。これも、彗星さんたちのおかげね。」
「あっちこっちで、注意してる甲斐がありまんな。」
「ご苦労様。太陽神様も負担が減って大喜びよ。匂いは、相変わらずだけどね。」
「ところで、ホールはんは、あっちの方のゴミたちを知ってまっか。」
「あっちの方のゴミたちって、もしかして、宇宙の墓場のこと。」
「そうや~。実は、さっき、通ってきたんや。」
「どうなってた。気にはなってたのよね。だいたい、どうして、あそこに集まってくるのかしら。」
「不思議やな。」
「ほんとよ。で、どうだった?」
「いろいろ集まってんで。ゴミだけじゃなしに、丸い球の不安定な星でんな。これが、フラフラいくつも。」
「そういう球って、生まれたてだから、色々と自制出来ないによね。自分の重力で物を取り込めないし、行く行方も定まんないしね。星同士で協力して吸収合併し合えばいいのに。」
「どっちが主導権を握るかで喧嘩してまっせ。だから、フラフラが増えまんのや。それに、反発し合った拍子にはじき出されて、周りの星にドッカ~ンとな。」
「ドッカ~ンとなった星は?」
「吸収できはる星もあるんやけんど、ドッカ~ンされた星は、大抵その勢いで流れて行ってまんな。そして、玉突きや。」
「どこに流れていくんでしょうね。哀れだわ。でも、玉突きなんて楽しそう。」
「罵声付きやで。」
「それは、楽しくないわ。」
「そこで、相談なんや。あそこに、ブラックホールを置くのはどうなんや。」
「おけることはできるけど。ほら、娘が生まれたばっかりでしょ。育つのは時間がかかるわ。それに、娘って、ちょっと、変わってるの。」
「変わってるって?今も、頑張って星の欠片とかゴミを付けとるやないか。」
「それよ。普通はすぐに飲み込んで太陽神様へ送るの。あんなに引っ付けないわ。」
「そうなんでっか。」
「そうなの。」
「でも、娘はん、自分より大きいもんも引っ付けてまんで。」
「そうなのよ。娘って、吸着力は私より強いのよ。飲み込むのが苦手でね。それに、くっつけるのを楽しんでいるのよ。」
「おもろい娘はんでんな。」
「でね。こっちの欠片は、こんなのが入ってる。とか、このごみは、ゴミのくせしておいしいとか。一つ一つ吟味してるの。」
「増々、おもろいな。」
「でもね、肝心の太陽神様に送る力が弱いのよ。」
「そりゃ、難儀しますな。」
「そうなの。息子が優秀だったから、娘の教育に困ってるのよ。」
「太陽神様に送れへんとブラックホールになれんよってな。」
「今は、私と繋がってるから、私が送ってるけど、どうしたら良いのかしら。それで、見本に力が入ってね。」
「気いつけてな。ワテのような者まで太陽神様に送られてしまうで。」
「ホホホ。ごめんね~。でも、良い方法ないかしら。」
「そうや。なら、その特性を生かしたらいいんや。」
「どうやって?」
「昔、いましたやろ。ブラックホールなのに星になったのが。」
「あー、いたわね。太陽神様への送りが間に合わなくて、周りに付かせてたら段々大きくなって星になった子ね。」
「そうや。娘さん、吸着はあんさんより得意なんやろ。なら、星になったらいいんや。」
「そう考えたら、娘にはピッタリね。あの子の特性も生かせるし、重力の調整だけよね。でも、娘にできるかしら。」
「本人のやる気やろな。」
「そうね、娘に聞てみるわ。」
『私、やる。』
「やりたいそうよ。これなら、今からでも任せられるわ。」
「そうやろ。ワテ、なんて頭いいんや。自分で褒めてやるわ。」
「ホホホ。自分で褒めなくても、私が褒めてあげるわよ。ヨッ、さすが、ハレー彗星!!!」
「アハハ。あんがとさん。話がまとまったら、あっち方面に行く仲間に娘さんを送るよう言うときまっせ。しばらく待っててや。」
「ええ。その間は娘との時間を大事にするわ。」
「嬢ちゃん、期待してまっせ。」
「ハレーおじさん。まかせて。頑張るから。」
「じゃあ、またな。」




