11 土星はん、今日もオシャレでんな。
「土星はん、今日もオシャレでんな。」
「ハレーさん、身だしなみは大事だよ。」
「そうでんな。ワテも、この尾っぽだけは、手入れをかかしませんわ。」
「そうだよね。自慢だもの、ピッカピッカに磨かないとだよね~。」
「同感や。」
「ところで、僕のところは、至って平和だよー。退屈なくらいだ。」
「平和が、一番や。」
「暇すぎて、ついついリングのお手入れに力がはいちゃうんだよ。」
「ようおますやないか。そういえば、木星はんが言ってましたわ。」
「木星さんが?僕、何もしてないよ。・・・ね。」
「しておますやろ。リングのお手入れ。」
「ハア。」
「木星はんに、うっすらリングがあるのは知ってまんな。」
「うん。まだまだ、定着してないようだね。でも、あれだけ大きいリングだと大変だよね、」
「そやけど、あのリング、土星はんに触発されたらしいで。」
「僕に?」
「そうや。長い間、大きいだけの体に飽きがきて、土星はんのリングに憧れたそうや。」
「木星さんが、僕のリングにあこがれた~。」
「そうや。」
「光栄だな~。お手入れに力をいれた甲斐があるってもんだ。でもさぁ、そんなに褒められると、ほら、あのタイタンが調子に乗るんだよなー。」
「あ~、確か。リングは、タイタンと小さい星が衝突した時、土星はんが飛び散った色々をリングにしたんでしたな。」
「そうなんだけど、そのあとは衛星たちが少しづつ氷を落として綺麗なリングになったのに、タイタンは、自分のおかげだと言い張るんだよ。」
「なるほど、一理はありまんな。」
「そうなんだけど。ハレーさん、良く見てみ。」
「リングをでっか。」
「そう。じっくり見て。」
「薄くなってまんのか?」
「そうなんだ。どうしてだろう?」
「原因はわからんのか?」
「はっきりとはね。このままだと、無くなちゃうかも」
「そりゃあ、大変やろ。」
「そうなんだけど、タイタンは・・・。」
「焦ってまんやろ。」
「その逆。」
「逆?」
「うん、後は主星の責任だ。って、知らぬ存ぜぬなんだ。」
「それは、困りまんな。」
「無責任だろ。ガツンとやってやりたいんだ。けど、彼奴の重力ってさ。」
「土星はんの衛星たちの均衡を保ってるんやったな。」
「そうなんだ。だから、志願者の星をぶつけるわけにもいかないんだよ。」
「ぶつける?志願者がおるんでっか?」
「ありがたいことに、リングになれるんならってね。そんなこと、させないけどさ。」
「慕われてまんな。」
「嬉しいことにね。」
「でも、どないするんでっか。」
「いっそのこと、ハレーさんに、タイタンを、一蹴り、してもらおうかな。」
「よろしゅうおます。ただ、何が起きてもしらんがな。」
「アハハ。冗談だよ。本気にしないでね。」
「わかってまんがな。」
「ホントに冗談だからね。」
「わかってる。って、言ってるやろ。ちょっと、しつこいで。」
「ごめん。ごめん。ほら、僕のところって、衛星が多いだろ。」
「三桁の衛星でしたな。」
「そう。だから、冗談が通じなくってね。」
「会話できるんでっか?」
「できないよ~。だけど、まれに言いたいことがわかることがあるんだ。そん時に、エンケラドスに『噴水みたいに、水を吐き出してみ』って言ったら、今もず~と噴水になってるんだ。」
「あの噴水、プルームでしゃろ。おもろいやんか。」
「冗談だったんだよ。ハァ。」
「そりゃ、気つけんと。」
「だろ。うちの北極に六角形の嵐があるんだ。あれも、瓢箪から駒かな。」
「瓢箪から駒?」
「そう。暇でさ~。何か面白いことないかなあ~。なんて思っててさ。北極があるんだから、嵐がふいてもいいよね。とか、普通の嵐じゃあ、面白くないからあ。とか、考えてたら、いつの間にか六角形の嵐ができてた。」
「すごい!!!」
「誰がしたのかわからないんだ。僕がわかんなかったから、土星本体じゃあないよ。だから、衛星のどれかだと思うんだ。」
「衛星が、多すぎて把握、出来んと。」
「僕は、思っただけだよ。」
「うかつに、想像もできまへんな。」
「そう。慕ってくれるには嬉しいけど・・・。」
「面白いでんな。試しに、もっと、おもろいこと考えて~な。」
「イヤだよ。面白そうだけど、心臓に悪いよ。」
「心臓発作なんぞ、起きないやろ。」
「そうだけど、心の安静が一番だよ。」
「なら、平和が一番でっしゃな。」
「そうだね~。今が、一番なのか~。」
「リングの心配だけやな。」
「思い出させないでよ。ちょっとドキッてしたよ。」
「アハハハ。土星はんの平和を楽しんで~な。」
「ハレーさんの平和って?」
「ワテは、いつまでも尾っぽを輝かして星々の間を飛び回ることでんな。」
「じゃあ、ハレーさん、平和に向かって、いってらっしゃい。」
「ああ、いってくるで。」
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