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第十八話「銀鎧の女騎士」

 ソルディアを出て二日ほど経過した。これまで村も町も、人影すら見つからなかった。移動速度が1.7倍になるヘイスト70レベルのカードを持ってしても、旅はそう順調にはいかないらしい。

 今日もひたすら走り回って、ようやく人影を見つけることができた時には昼を過ぎていた。

 人影の正体はどうやらヒューマンの集団のようだ。


 しかしすぐに俺は、彼らの様子がおかしいことに気付く。

 黒い服装にマントを纏い、いかにもな暗殺者スタイルの服装の連中が剣を構え、円形になって円の中心にいる3人の男女を囲んでいるのが見えたのだ。ありゃりゃ、PKの現場かなー、これは。

 囲んでいる方は十人ほど。統一感のある服装にマント、短剣。山賊にしては装備が整い過ぎているように感じるし、得物まで統一されているところを見ると、どうやらクラスまでもが似たり寄ったりのようだ。更に綺麗に円形を描いて相手を囲んでいる所も見ると、組織だったPKギルドの連中なのだろうか。

 囲まれている方もまた随分と立派な装備をしている。中央にいる女性騎士の鎧なんて、まるで銀製の物のようだ。

 そもそもヒューマンの初期地点の一つである平原では、まず鉱物が手に入らない。だからおそらくよその国から流れてきた物を買ったのだろう。あるいは、素材を持ちこんで作らせたのか。どちらにしてもそれができるということは、それだけソルディアの外では流通が発達していることになる。だが、それにしてもあの鎧が高価なものには違いないだろう。

 もっと近寄って様子を確かめたいが障害物のない平原だし、これ以上近づくと気付かれる可能性があるな。俺はリーンに断って一度彼女をカードに戻し、インビジブルとサイレントウォークを使って近づくことにした。

 近付いていくと、囲んでいる方のリーダーと思われる男と、銀の女騎士が喋っている声が聞こえてくる。


「ついに追いつめたぞリデア・・・。こちらも五人の部下が死んだが、お前の部下はとうとう残り二人だ。もう諦めろ。お前は俺から逃げ切ることはできない。」

「黙れジェデク!お前の裏切りを私は許さない!」

「強がるなよリデア。俺は裏切ったんじゃない、現実を見ただけさ。お前もすぐにわかる。さあリデア、命が惜しければとっとと王女の居場所を吐くんだ。今のお前はアーメイルの反逆者だが、それでも俺の元同僚には変わりない。その好みで新アーメイル王たるリーボア様に取り計らってやるよ。まあ、俺の女にもなってもらうけどな」

「断る!私はさくら様を裏切るつもりはない。それにお前の女になるのもゴメンだ!お前のような薄情な男に身を捧げる気などない。・・・さあ、そこをどいてもらおう!」

「おうおう、この人数差でまだやり合う気か、リデア。まあそういう気の強い所がたまらなくカワイイんだよな、お前は。・・・そうだ、俺の女になるのが嫌なら、こんど王都に作る予定のストリップ劇場で踊ったらどうだ?羞恥に塗れたお前の顔を拝みに大勢の男が毎夜やってくることだろうよ!面白そうだろ?」

「・・・私を侮辱するのもいい加減にしろジェデク!」

「おお、怖い怖い。愚かにもこの勇ましき女騎士様は本当にやる気みたいだ。いいかぁお前ら、リデアは生け捕りにしろよ。後ろのネナベとブスは殺していいからな」

「誰がネナベだ!」

「誰がブスよ!」

「二人とも、挑発に乗るな!行くぞ、ホーリーライト!」


 俺が近付いている間に、戦闘は始まってしまった。ふーむ、話がよくわからんな。これは。

 だがアーメイルについては知っている。フォーラムでもよく話題に出ていた大国だ。女王によって統治されていることを皮肉られ、よくアーメイル女王国と言われたり、女尊男卑の糞国家とかボロクソに言われてた記憶がある国だ。しかし彼らの話しぶりでは内乱でも起きたのかな。てかあのリデアとかいう女性騎士はそこの元騎士だからあんな高そうな鎧を着ていたんだな。


 おっといけない。考えごとをしている最中にも戦闘は進んでいる。十人に対しても、三人は善戦していた。十人の方は近づこうとしているみたいだが、リデアの繰り出すAoE攻撃(範囲攻撃)が強力で、攻めあぐねている。ホーリーライトとホーリーストーム、二つの範囲の違うAoEをうまく組み合わせている辺りが巧妙だ。下手に攻撃範囲を勝手に予測して近寄れば、大ダメージって奴だ。十人の方は遠隔攻撃を持ってないみたいだし、これは苦戦するだろうな。

 おっ、一人巻き込まれてそのまま天国に昇ったようだ。どうやらそれに重ねてもう二人が弓と魔法で攻撃を仕掛けていたみたいだな。追撃のコンビネーションがなかなかいいじゃないか。

 だがそれでも十人と三人の戦いだ。ジェデクと呼ばれた男は、どうみてもリデア側のMP切れを狙っている。MPがHPの役割を負担してるこのゲームの仕様じゃ、スキルを空撃ちさせるだけでもダメージを与えているようなものなのだ。それはリデアも分かっているはずだ。それでも彼女がジェデクに戦いを挑んだのは、騎士道とかプライドの奴ってせいなのかな。・・・くだらねえな。


 うーん。どうみてもこの後はリデアが負けて、配下も殺されるだろう。それで夜はベッドの上で「くっ・・・殺せ・・・」とか女騎士様特有の台詞を吐いて、ジェデクに凌辱される妄想しか広がらないわけだが・・・。今の俺なら彼女を助けることができるだろう。


 さて、どうしようかな。

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