第41話 オーク
祭壇での事件から一ヶ月が過ぎ、当初は薬の副作用か何かで体調が安定しなかったリュカもこの頃は動けるようになりギルドの依頼をこなしたりしていた。
その間に魔物が強くなり、再び人族が劣勢を強いられるようになっていた。
「うーん。やはり全体的に魔物が強くなっていますね。あの祭壇に封印されていたという魔王の力とやらが影響されているのでしょうかね?」
現在リュカはルーネとユーリの三人で町の周辺を巡回していた。
道中戦ってきたウルフやコボルト、ゴブリンといった新人冒険者御用達であるD級の魔物でさえただ単に襲ってくるのではなくフェイントや道具を使ったり、分が悪いと引くなどの頭を使った行動を行ってくるようになっていた。
「そうみたいですねー。怪我をして帰還してくる冒険者達や生還してこない冒険者達が今までの二倍になっているらしいですよー。」
ユーリがどこからか聞いてきた情報にリュカとルーネは納得させられた。
「そういえばエマから聞いた話なんだけど近々ギルド主導による大規模討伐を計画しているらしいよ」
「冒険者だって無限に湧いて出るワケじゃありませんしね。何かしらの対応を打たないと死傷者が増えるばかりですからね」
「リュカ様、師匠。前方から敵の気配がします!」
「了解」
「分かったよ」
前を見るとB級の魔物であるオークが三匹見えた。
この魔物は大きな槌と怪力が特徴であり、気を抜くことができない危険な魔物の一種である。
ユーリが長剣を抜き構えた。
今までは小剣を使っていたがここ一年でリュカを身長で抜き、百六十六デシル程度となりリーチを伸ばすために長剣に変えていた。
ちなみにリュカの身長は百六十二デシルである。
そしてその戦い方はオールラウンドの一言に尽きる。
魔力こそリュカに及ばないもののCランク程度の魔力を持ち合わせており、戦闘においては近距離では冒険者だっという親譲りの剣術と体術を用いて戦い、距離を取ってはルーネに習った魔法を放ちといった遠近両方を用いたスタイルで戦うまさに魔法剣士といった戦闘の天才であった。
現在では一対一で戦った場合フランツとルーネ、アースぐらいでしか勝てないぐらいギルド内で戦闘力に秀でていた。
「リュカ君!ユーリ!私が二体を引き受けるので後の一体は任せたよ!」
「分かりました!」
「任せといてよ師匠!」
「ぶふぉ!!!」
オークがリュカに向かって槌を振り回してきた。
リュカはその攻撃を難なくそれを避け、そこにユーリが姿勢を低くしてオークの下から長剣を肩に叩きつけた。
深手を負わせることが出来たが、それでもオークは怯むことなくリュカに体当たりをくらわした。
オークの体当たりをくらわされ吹っ飛んだリュカはなんとか受け身を取ることが出来た。
さらに追い討ちとばかりにオークがリュカ目掛けて突っ込んできた。
「リジェクト!」
リジェクトとは接近してきた敵を吹き飛ばし、距離を取る魔法である。
これによりオークはバランスを崩して地面に倒れこんだ。
そこにユーリが駆け寄り首を刎ねた。
「おいちょっと待て!おかしいじゃないか何で僕にばっかり突っ込んで来るんだよ!」
「大変申し上げにくいんですけど、オスのオークの求愛行動に体当たりして人族の女を気絶させ自分の巣に持ち帰るという習性があるんです。リュカ様の容姿と魔力に惹かれたんじゃないかと……」
「とうとうオークにまで女扱いされるなんて……」
「まあまあ。連れてかれないでよかったじゃないですか、オークに連れてかれたら悲惨ですよ?」
「まあねえ。」
オークは子供が出来にくいため性欲が強く、子孫を残すために女が孕むまで犯し続けるという習性があるのである。
「そんなことより師匠を助けに行きましょう!」
「ああ、ユーリはお師匠さまの戦っている所を見たことがなかったんだね。それなら必要ないよ。あれを見てご覧」
ユーリがルーネの方を見るとオークの胸に魔法で出来た光の剣のようなものが刺さっていた。
「あの人はSランクだけど実はSSランククラスの実力があるんだ。ただ昇級試験を受けていないだけで」
「さすが師匠というかなんというか」
こちらを見ているリュカ達に気づいたルーネは笑顔で近づいてきた。
「終わったようだね。そろそろ戻ろうか」
「はい」
「分かりました」
オークの死体から戦利品を剥ぎ取りリュカ達は町に帰還した。
そして報告をしに行ったギルドでエマから改め大討伐を行うという話を聞いたのであった。
デシル=cmと考えてください
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