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第32話 厄介ごと

 リュカが目を覚ますといつの間にか屋敷に戻ってきていた。

 どうやら気を失っている間に屋敷に運びこまれたようだ。



「リュカ様!目を覚ましましたか!」


「カイル・・・怪我は大丈夫か?」


「大丈夫です。全く問題ありません。」


「そうか。それは良かった。」


「話は全部あのウルフに聞きました。ご迷惑をおかけして申し訳ありません。」


「あれは事故みたいなものだ。仕方ないよ。アースさんとシグルスは?」


「アース様はギルドマスターのエマ様の元で今回の件について話し合い行っております。それとシグルスとはあのウルフのことでしょうか?もしそうであるならリュカ様の足元に。」


「足元?」


「ワン!」



 リュカの足元に黒くて小さな犬がお座りをしていた。



「え?もしかしてシグルスかい?」


「ワン!」



 まるでそうだ!と言わんばかりに鳴いて嬉しそうに尻尾を振っていた。



「カイル・・・これはどうなっているんだい?」


「なんでも町に入る際に町の人に警戒をされないようにとこの姿になっているそうです。後は魔力を抑えているそうです。」


「なるほど・・・」



 あまりに可愛かったのでリュカは頭を撫でてやるとシグルスは気持ち良さそうな顔をしていた。



「ところで会議と言ったね。内容は何だい?」


「はい。まず現在の状況はリュカ様が倒れてから丸二日が経っております。その間にギルドに報告しました。森がA・B級の魔物の巣窟となっていたことが分かると一時大混乱になりました。」


「だろうね。現在のギルドの戦力では通常の魔物ですら厳しいものがある。多くの有能な人たちが先の戦いでやられてしまったからね。」


「はい。ですがエマ様が一喝し、ソウケン様も騒ぎを上手くおさめたため現在は落ち着いた状況となっております。」


「それは良かったよ。暴徒と化したらシャレにならないからね。」


「そして騎士団の人数を増やし、冒険者の募集を国中から行い武力を強化することとなりました。」


「うーん。ちょっと治安が荒れそうで心配だね。」


「その件についてはソウケン様自らが優秀な人材を王都から引き抜いてくるらしく、隊を分け警備隊を作り治安にも力を入れるそうです。」


「ソウケンさんの事だ。そこら辺のことは色々考えているんだろうね。分かったありがとう。他に変わったことは?」


「はい。実はフランツ様がしばらく王都から離れられなくなったらしいです。」


「まーた厄介ごとに絡まれているのかあの男は・・・」


「ルーネ様からの手紙によると第六王女に見初められたとか。」


「うわぁ・・・想像していたよりも何倍もタチが悪い厄介ごとだよ!というかまた女かよ。あのスケコマシが・・・」



 リュカは頭を抱えた。



「王自体も特に反対はしていなくむしろ王宮としても英雄としてフランツ様を祭り上げたいらしいですね。」


「で?フランツはどうするって?」


「しばらく王都を満喫する。と書かれていますね。」


「あの野郎・・・帰ってきたら・・・」



 リュカは怒りのあまり手が震えた。



「リュカ様。お茶をどうぞなの。これでも飲んで落ち着いて欲しいの。」



 アイリがお茶を持ってきてリュカに渡した。



「すまないね。アイリ。」


「どういたしましてなの。」



 リュカはお茶を飲み落ち着いた。

 どうやらカイルが目を覚ましたら領主の屋敷に来るように言付かっていたらしく、ラスクに留守番を頼みアイリとカイル、シグルスを伴って領主の屋敷に向かった。



「おお!リュカくん。目を覚ましたんだね!」


「はい。おかげさまで。ソウケンさんも大変だったようで。」


「ああ。今回ばっかりは参ったよ。町の中ばかりに目を向けすぎた。」


「ソウケンさんは上手くやっていると思いますよ?」


「お世辞でもうれしいよ。ありがとう。」



 着任したての領主にしては上手く町を纏めており、リュカが言ったことは別にお世辞ではなかった。



「それよりも本題に入ろう。実はこの町の騎士団の規模を大きくし隊を分けようと思っているのだけど知っているかね?」


「はい。カイルから聞きました。」


「実はリュカくんにそのうちの一つを率いてもらえないかと考えてね。」


「はい!?僕は仮にもアンダンテの副旅団長ですよ?引き抜きはお受けできません!」


「ごめんごめん。説明の仕方が悪かったね。平時も隊を指揮してほしいと言っているのではないんだよ。戦時のみ兵を指揮して欲しいんだ。」


「戦時ですか?」


「今後魔物が押し寄せてくると前回の時みたいにリュカくんに指揮をとってもらうことになるかもしれない。その場合の理由が欲しいんだ。隊を任しやすいからね。」


「はあ・・・」


「まあ。すぐに答えを出す必要はないよ。今日のところはね。」


「分かりました。旅団のメンバーと相談してみます。」



 後は世間話をいくつかして、リュカ達はソウケンの屋敷を後にした。

誤字脱字、感想がある方はよろしくお願いします。

m(_ _)m


後ランキングとやらを設置してみてたので良ければ一日一回クリック出来ますのでよろしければお願いします。

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