第30話 黒いウルフ
リュカとアース、カイルは森の中を進んでいた。
「サンダー!外れたか!カイル!そっちに行ったぞ!」
現在リュカ達は首が三つあるA級の魔物ケルベロスと交戦していた。
「クッ!!」
盾でケルベロスの噛みつきを防ぎ押し返した。
「おりゃあ!」
そこにアースが素早く駆け寄りケルベロスの胴体を真っ二つにした。
「ふう何とかなったな。」
以前森に来た時はウルフやコボルト、ゴブリンなどの弱い魔物が多く生息していたが、全く見かけなくなっていた。
現在では上半身が鷲で下半身がライオンのグリフォンや頭部に角を持つユニコーン、頭部が牛で下半身が人のミノタウロスなど今までは存在していなかった高位の魔物が生息していた。
「参ったなあ。想像していた以上に高位の魔物の住処となっている。」
「ラスク殿にも着いてきてもらえば良かったでござるな。これは三人で探索するのは少々厳しいでござる。」
「B級とA級の魔物が圧倒的に多いですね。」
「この辺で引いておいた方が良さげでござる。リュカ殿、カイル殿ひとまずエマ殿に報告に向かうことにしようでござる。」
「そうですね。襲われでもしたら大変ですし。」
「僕はこの森から何のトラブルもなく無事に帰ったことってあんまりないんだよね。今日は大丈夫だろうか。」
「心配しなくてもそんなに頻繁に事件など怒らないでござるよ。」
「そうですよ。リュカ様は心配性ですね。」
「そうかな。気にしすぎか。」
和やかに笑いながらリュカ達は町に向かって帰りの道を歩き始めた。
ドスン!!
後方で大きな音が聞こえた。
リュカ達が恐る恐る後ろを振り返るとそこには巨大な斧を持った巨人がいた。
その全長はオーガよりも高く6メートルほどもあった。
「ギ、ギガンテスでござる。」
「ギガンテス!?S級の?二人とも走れ!」
リュカ達を発見しギガンテスは斧で斬りかかってきた。
「アースさんはSランク冒険者ですよね?こいつを倒せないんですか?」
「無理でござる!基本的にSランクとはA級までの魔物なら単独で倒すことが可能というランクでござる。S級ともなるとSランクが五人は必要でござる!」
カイルの問いをアースは否定した。
「というかあの巨体で接近に気づかなかったのは何故だ!?」
「ギガンテスがS級扱いされる原因の一つでござる!ステルスというスキルを持っているので気配が察知出来ず目視出来ないと気づかないのでござる!」
S級からの魔物はこの世界にとっては災害に等しい。
出会えばまず死を覚悟するというほどである。
ギガンテスは大きくジャンプしてリュカ達の前に立ちはだかった。
「なんだと!?」
「動きが速すぎるでござる。これはもう逃げ切れないでござる。」
「戦うしかないのか・・・」
リュカは短槍を構えた。
カイルとアースも続いて鞘からそれぞれ片手剣と大剣を抜いた。
次の瞬間斧を上に持ち上げてこちらに向かって走ってきた。
「シールド!」
ガシャンッ!!
ガラスが割れるような音が鳴りシールドは砕け散った。
しかし何とか斧の一撃をそらす事に成功した。
攻撃が当たった地面には大きな亀裂が出来ており三人は思わず息を呑んだ。
「カイル!リュカ殿!ボーッとしてる場合じゃ無いでござる!攻撃を!」
我に返ったアースは二人を促した。
「ストーム!」
「ハッ!」
リュカが魔法を放ち、カイルは接近した。
魔法がギガンテスに当たり小さな傷を作り出したが大きなダメージを与えることが出来なかった。
カイルは片手剣で腕の部分を斬りかかったが
ギガンテスの皮膚は硬くカイルの剣ではダメージを与えることは出来なかった。
「クッ!ダメージが与えられないでござるか!カイル!リュカ殿を守れ!拙者が行く!」
アースは大剣を抱えてギガンテスの顔に向かって飛びそのまま首を狙い横に斬った。
この攻撃にはギガンテスも慌てたが致命傷とまではいかなかった。
「グォオオ!!」
ギガンテスが空気が震えるほどの大きな声で吠えた。
「怒ったのかな?」
「バーサーカー化でござるな。これはいよいよマズイさっきより攻撃力が上がったでござる。」
「さっきより!?」
「左様おそらく盾などほぼ意味がないでござる。攻撃は全部かわすように。来るでござる!」
瞬時に距離を詰めアースを蹴り飛ばした。
リュカはあまりのスピードに反応が遅れた。
カイルが素早くリュカを突き飛ばした。
リュカが立っていたところは大きな穴が空いた。
カイルはアースの大剣を拾ってそれを使いギガンテスの腹部を刺した。
しかしギガンテスは怯むこともなくカイルを殴り飛ばした。
カイルの周りはは吹っ飛んで打ち所が悪かったのか血だまりとなっていた。
「カイル!お前よくもッ!!ファイアーストーム!」
普段発動までに時間がかかる魔法をリュカは発動時間なしでぶっ放した。
さすがに上級魔法だけあってギガンテスも吹っ飛んだ。
だが、ギガンテスは立ち寄りリュカに近寄った。
リュカもギガンテスと交戦する前に魔力を多く使っていたため、今の一撃で魔力が尽きた。
「参ったな。魔力を使い過ぎたのか身体が動かない。」
リュカは諦めて目を瞑った。
しかし最後の一撃は来ず目を開くと黒いウルフがギガンテスの喉元を噛みちぎっていた。
「黒いウルフ?あれはエミリアを襲っていたウルフか!?」
「ご帰還をお待ちしておりました。ハイエルフ様。」
そう言って黒いウルフはリュカの前で跪いた。
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