第29話 噂
フランツ達が王都に向かってから数日がたった。
リュカは頼まれていた町の要塞化計画案をソウケンに提出した。
すぐさまソウケンと町の名士達によって会議が開かれた。
そして賛同を得たため計画書の作製を行っていた。
その後ある程度の目処がたったため実際にタイレンの町の増築が行われていた。
ソウケンに計画書を渡してからはほとんどリュカが増築に口出しをすることはなかっが時折意見を求められた時のみ会議に参加していた。
「カイル、ラスク、アイリ。少し出かけてくるよ。」
「どこに行かれるのですか?」
「ギルドさ。特に差し迫った要件は片付いてしまったしそろそろ本業に力を入れようと思ってね。」
現在アンダンテではフランツ達が王都にいるためギルドの依頼はアース一人に任せきりだった。
しかしタイレンの要塞化の計画案を本来の仕事である冒険者家業に復帰しようと考えギルドに向かおうと思ったのである。
「分かりました。お気をつけて。」
「そうか。気をつけてな。」
「じゃあ私もいくの。」
「アイリもかい?」
「帰りに食材の買い物を手伝って欲しいの。」
「なるほどね。分かった手伝うよ。じゃあ行こうか。」
「はいなの。」
ギルドに着くとエマさんが笑顔で出迎えてくれた。
そしてある依頼を頼まれた。
「森の探索ですか?」
「はい。以前は多くの冒険者の方達に定期的に行ってもらっていましたが、実は現在冒険者達があまり依頼を受けたがらなくて困っていたんですよ。」
現在タイレンでは多くの冒険者達が魔物の侵攻から街を守ったことによりギルドと王国政府より報奨金が与えられていた。
それによって懐が暖まっており、しばらくは依頼を受けずにゆっくりしようと考えているらしい。
「気持ちは分かるんですが新たな脅威が迫っているかもしれませんし定期的に巡回して欲しいんですよね。お願い出来ないでしょうか?」
「分かりました。帰って他のメンバーに相談して来ます。」
「よろしくお願いします。」
エマとの会話を終え買い物をすべく市場に向かった。
買い物を終えて屋敷に向かっている途中アースとばったり会った。
「おお!リュカ殿とアイリ殿じゃないか。」
「アースさん。どこに行ってたんですか?」
「拙者はレイ殿に呼ばれたので彼女の宿泊していた宿に行ってきたのでござるよ。リュカ殿達は?」
「私たちはギルドと市場に買い物に行ってきたの。」
「ほう。そうでござったか。」
「実はエマさんから森の探索をお願いされたんです。それで他の皆にも相談しようかと。」
「そういえば拙者森に関して奇妙な噂を聞いたのでござる。なんでも森に行くと黒いウルフが近寄って来るとか。」
「黒いウルフなの?」
「そうでござる。ただ攻撃を仕掛けてくることはなくむしろ魔物に襲われて危なければ助けてくれるらしいのでござる。」
「黒いウルフ・・・どこかで見たことあるような気が・・・」
「まあ害がないなら心配はいらないでござる。それに森に行くなら拙者もついて行くのでござる。でないと何かあればルーネ殿に・・・」
「お師匠さまがどうかしたんですか?」
「いや何もないのでござる。こんなところで立ち話もなんでござるから屋敷戻るでござる。」
屋敷に戻るとカイルとラスクは訓練をしていた。
カイルは片手剣と盾を持ち、ラスクは両手にナイフ持ってカイルと打ち合っていた。
カイルは数合打ち合っていたがラスクに綺麗に攻撃を弾かれるのを見て、このままじゃ埒が明かないと判断したのか盾を構えて突進し距離を一気に詰めた。
ラスクはカイルの突進によってバランスを崩した。
そのタイミングでカイルは上段から片手剣を振り下ろしたがラスクは紙一重でかわしカイルの首筋にナイフを当てた。
「悪くはなかったが攻撃が単調過ぎだ。もっとフェイントも混ぜろ。」
「分かりました。ご指導ありがとうございます。」
「ただいま。」
「ただいまなの。」
「ただいまでござる。」
「これは恥ずかしいところを見られましたね。」
「十歳でその実力ならこの先が楽しみだよ。」
「ありがとうございます。」
リュカに褒められてカイルは照れていた。
そしてリュカは森の探索のことをカイルとラスクに話した。
カイルとラスクの賛同を得たので森を探索することとなった。
次の日リュカとカイル、アースの三人人で森に向けて出発することになった。
ラスクには残る書類仕事を頼み、アイリはラスクに弓を師事したいらしく屋敷に残ることとなった。
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