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役立たずの【翻訳】スキルと追放された俺、実は世界の理を書き換える最強の【賢者】だった~聖女様と悠々自適の建国ライフ~  作者: 早坂 拓也


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第7話:最初の『ユーザー』と、効率化の魔法

第7話:最初の『ユーザー』と、効率化の魔法


「Allen様、見てください! 街道の先に、人影が見えます……!」


 俺が空高く掲げた巨大な『魔導広報板(BBS)』。

 その効果は、想像を絶するほど劇的だった。


 掲示からわずか三日後。

 かつて死の砂漠と呼ばれた場所へ続く、白銀の舗装道路。


 そこをフラフラと、だが確かな希望を抱いて歩いてくる影があった。


「……はぁ、はぁ。本当に、本当にあったのか……。不毛の荒野のど真ん中に、伝説の楽園のような家が……あ、あれは、本物の森なのか!?」


 先頭を歩くのは、すすに汚れ、見るからに疲弊しきった初老の男だ。


 俺の視界を流れるテキスト・ログに、瞬時に彼の『構成データ(ステータス)』が展開される。


『――解析完了:個体名[バルド]

 ――職業:[老いた鍛冶師(元・王宮筆頭)]

 ――状態:右腕の神経回路が劣化により部分断線、および極度の栄養失調。

 ――経歴:王都の工房を『若手への世代交代』という名目の下、一方的に解雇された』


 なるほど。

 技術と経験は国内随一だが、加齢による細かな制御ミス(エラー)を理由に……。

 使い捨ての『旧型部品レガシー』と見なされたか。


 だが、俺のシステムにおいては、これほど価値のある『黄金のソースコード』はない。


「ここが、賢者アレン様の……あの救いの文字を掲げた方の領地か?」


「俺のような、もう満足に槌も振れぬ老いぼれでも……本当に、役に立てる場所があるのか?」


 バルドが、テラスに立つ俺とセシリアを見上げ、今にも消え入りそうな声で問う。


「ああ、歓迎するよ、バルド。君のその右腕の震え……それは君の技術が衰えたからじゃない」


「単なる生体回路の『記述ミス(エラー)』だ。俺がリファクタリング(最適化)してやれば、君はまた世界最高の発明を打ち出せるようになる」


 俺はバルドの前に歩み寄り、その震える右腕にそっと手を添えた。


――[ターゲット:右腕・神経系ネットワークを選択]

――[アクション:累積エラー行を強制削除(恒久修理)]

――[追加パッチ:精密操作補正(Dexterity)を 1.5倍に拡張]


「……っ!? ……あ……あああああ……っ!」


 バルドが叫び声をあげ、その場に膝をついた。


 彼の右腕からどす黒いエラーが弾け飛び。

 代わりに、聖なる輝きが筋肉の一筋一筋に宿っていく。


「俺はただ、君が本来持っていた機能を、今のスペックに合わせて『最適化』し直しただけだ」


「さあ、バルド。君には、この街の最初の職人頭(工房長)を任せたい。材料なら、そこらの山を丸ごと『翻訳』して用意してやる」


 俺が指先を鳴らすと、工房の建設予定地の地面が激しく盛り上がった。


 最高級の鋼材――ゴールド(ドラゴン)の魔力を浴びて進化した『黄金魔鉄』。

 それが、使い古されたインゴットのように山となって具現化した。


 バルドだけではない。


 彼の後ろには、魔力が枯渇したと決めつけられた宮廷付与術師の少女。

 正義を貫いて神殿を追われた元修道女たち。


 集まってきたのは、既存の不条理な社会から『無能』『期限切れ』『欠陥品』とタグ付けされた……。

 ダイヤの原石たちばかりだった。


「セシリア。彼らの体調管理と、新居の案内を頼む。今日からここが、彼らの新しい『ホーム』だ」


「ゴールド、周辺の警備ファイアウォールをさらに強化してくれ」


 人は増えた。

 普通の街なら、食料も住居も追いつかず、システムがパンク(経済崩壊)するところだろう。


 だが、俺の Admin権限下では、サーバーダウンなどあり得ない。


『――領地ステータス:人口十二名(全員が特殊技能持ち)。

 ――平均幸福度:上限値を突破し続けています。

 ――生産効率:既存の王都の五倍を記録……なお上昇中』


 俺たちが作り始めたのは、単なる街ではない。


 世界で最も『論理的ロジカル』で。

 最も『人間に優しい』新しい秩序だ。


 一方で、俺を追放したレオンたちの勇者パーティは。

 今頃、泥沼のデバッグに追われているはずだ。


「クソッ! バルドの爺さんを追い出したのは失敗だったか……!?」


「代わりの若手が打った剣、たった一度魔王軍と切り結んだだけで、飴みたいに曲がりやがったぞ! 道具が全滅だ!」


 俺の監視ログ(盗聴)に流れる、彼らの情けない悲鳴。


 そうか、限界か。当然だろうな。


 世界最高のエンジニア(俺)を失い、さらに世界最高のハードウェア(職人)を自ら捨てた。

 それは、お前たちが実行した『論理矛盾バグ』による、必然の自滅だ。


 俺は、セシリアが焼いてくれた、魔力たっぷりのパンを頬張りながら、次のフェーズへと思いを馳せる。


「さて。……人が増えれば、次は『経済トレード』の流れが必要になるな」


「そろそろ、この領地の異常な生産性を嗅ぎつけた欲深い商人や……無能な貴族たちが、交渉(不正アクセス)を仕掛けてくる頃合いかな」

バルドさんの「右腕リファクタリング」、いかがでしたか?

長年連れ添った道具を捨ててしまう勇者たちの無能さが、今後の大きな伏線になっていきます。


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