第28話:ルミナス王国の『サービス終了』
第28話:ルミナス王国の『サービス終了』
「……今さら『神』なんて、都合のいい独占ツールで世界を導ける段階は終わったんだよ」
「これからは、誰でも自由にコードを書き、自分自身で最適化できる。……そんなオープンソースの世界にする」
「君たちは、暗闇の中で自分たちの腐りきった独占欲でも反省していなよ」
歴史の転換点は、あまりにも静かに、かつ残酷に訪れた。
アセティアの中央にある『黄金の噴水広場』。
かつて大陸最強の軍事力を誇ったルミナス王国の王が、泥にまみれ跪いていた。
全市民の罵声と嘲笑の中で、深々と頭を下げていた。
「……私は、あまりにも無能でした。アセティアの聖賢アレン殿の……叡智なしでは……」
「自分自身すら救うことのできない、ただの虚飾に満ちた操り人形でございました……ッ!!」
衝撃的な「敗北宣言」の映像は、ネットワークを通じて大陸全土にライブ配信された。
大陸を支配してきた「王権(レガシーOS)」という名の脆弱な基盤。
決定的な再起不能のクラッシュを迎えたのである。
だが、最後までこの現実を拒絶し、アセティアを「バグ」と罵る者たちもいた。
ルミナス神教国の、既得権益にしがみつく高位司祭たちの残党だ。
「……愚かな。王が屈したとて、我らには唯一無二の『聖なるインフラ』がある!」
「魔力供給を独占している限り、民衆は我らの導きなしには魔法一つ使えぬのだッ!!」
神殿の最深部、大陸中の生活魔法を司る中央メインサーバー。
彼らはそこを最後の砦として、魔力の囲い込みを試みていた。
「……セシリア。彼らの言う『神の加護』の不可解な正体。ようやく全貌が解析できたよ」
「単なる上位次元からの自動魔力供給スクリプト(隠しパイプライン)だ」
「しかも認証コードが千年前から更新されていない。お粗末極まる脆弱性だ」
アレンは無数のコンソールを軽快に操作した。
神殿の「心臓部」へのルート権限を、指先一つで掌握する。
「……今から、神殿の全独占サービスの『強制終了(サービス終了)』を執行する」
「彼らが搾取のために利用していたツールは、今日から一般開放(オープンソース化)するよ」
「王すらも跪かせた俺の管理者権限に、逆らえるスクリプト(理)なんて存在しないんだ」
アレンは冷徹な眼差しで、最後の一行を確定させた。
――[Target.Temple_Power_Grid = 支配権を奪取(OVERTAKE)]
――[Action.Forced_Shutdown = 神殿による独占サービスを全停止]
――[New.Policy = オープンソース魔法プロトコルを即時デプロイ]
その瞬間。
不夜を誇ってきた神殿の黄金の光が。
「プツッ」という呆気ない音と共に、大陸全土で一斉に消灯した。
それは、旧世界の終わりを告げる暗転。
街灯、防御結界、そして特権階級の浮遊魔法。
すべてが物理的な根拠を失って消失した。
『――大陸のすべての住民に告ぐ。インフラ統合のお知らせだ』
『――今日この時をもって、神殿への理不尽な寄進は一切不要だ。魔法のリソースはアセティアのサーバーから、無償で無限に提供される』
『――これからは「神の許可」ではなく、「管理者の承認」の元で、魔法を自由に使いこなしてくれ』
大陸全土。……一瞬の静寂の後、地響きのような大歓声が沸き起こった。
「……今さら神なんて言葉で、世界の可能性を独占できるフェーズは完全に終わったんだよ」
「これからは、誰もが自由に、自らの意志でコードを書き換え、奇跡を起こせる世界にする」
「君たちは、暗闇の中ですべてを失い、傲慢なログでも永遠に反省していなよ」
アレンは冷たく言い放ち、神殿への全通信を遮断した。
だが、アレンの視界の端。
深刻な漆黒のアラートが、激しく点滅し始めていた。
脆弱な旧世界の上に、アレンが「無制限の魔力」という巨大すぎるパッチを上書きした結果。
物理法則そのものが、処理限界を迎えようとしていた。
ついに神殿の「サービス終了」を執行したアレン。
既得権益をオープンソース化する展開、書いていて最高にスッキリしました!
「アレンのオープンソース化、支持する!」という方は、ぜひ評価(☆☆☆☆☆)で応援をお願いします!
次回、ついに世界そのものが処理限界を迎えます。
明日19:00、衝撃の「リブート」編、絶対に見逃さないでください!




