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役立たずの【翻訳】スキルと追放された俺、実は世界の理を書き換える最強の【賢者】だった~聖女様と悠々自適の建国ライフ~  作者: 早坂 拓也


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第25話:借り物の聖剣と、俺の1行のコード

第25話:借り物の聖剣と、俺の1行のコード


「……不格好だな。上位世界の『運営』というのは、美しさの欠片もない」


「バグが効かないと分かれば、デバイス(勇者)ごと物理的にオーバーヒートさせて」


「サーバー(世界)を道連れに心中する、自爆プログラムへの移行か。呆れて溜息も出ないよ」


 アセティアの城門前。

 泥と涙に塗れながら叫び続ける、勇者レオン(Version 0.1)。


 アレンによる「システム的な拒絶」を全方位から叩き込まれながらも。

 上位世界の執念は、まだ彼を解放しようとはしなかった。


「……あ、あ、ああああああッ!! まだだ、まだ終わらんッ!!」


「神よ、もっと……もっと強いコードを、俺に寄越せえええッ!!」


 レオンの背後から噴き出す、粘りつくような闇のオーラ。

 それが、彼の肉体を不自然な音を立てて拡張させていく。


 もはや人間の形態を維持することすら放棄している。

 周囲の魔力リソースを無差別に食い荒らす「メモリーリーク」そのものだった。


 彼自身の意思は完全に消失。

 代わりに瞳からは、赤黒いノイズが濁流となって溢れ出していた。


(……なるほど。相変わらず、上位のやり方は『三流』だ)

(リソースの整理もできず、ただ暴走させて壊すだけ。無駄遣いも甚だしい)


 俺は、迫りくる破壊の奔流を、欠伸を噛み殺しながら眺めていた。


 隣でセシリアが、俺の服の裾をぎゅっと握りしめてくる。

 俺は、彼女の柔らかな髪を優しく撫で、安心させるように微笑んだ。


「……大丈夫だ、セシリア。……これはもう、戦いですらない」


「ただの『不要なゴミデータの不燃物処理』だよ」


「……型変換キャスト。今日から君のクラス定義は、ただの『産業廃棄物』だ」


 瞬間。


 アセティアを消滅させるはずだった絶大な闇の波動が、一瞬にして霧散した。


 ガキンッ、という、耳鳴りがするほど間抜けな音。


 レオンの腕から生えていた、神威を宿したはずの「最上位聖剣」。

 それが、どこにでもある『錆びついた一本の鉄パイプ』へと変貌を遂げた。


 オブジェクトの属性クラス定義を、管理権限を持つアレンが強制的に書き換えたのだ。

 

 存在定義そのものがゴミになれば。

 伴う物理現象すら、法則レベルで消失する他ない。


「……ゴミ箱(Trash)へ、ようこそ。永久に、そこで初期化を繰り返すがいい」


 俺が静かに指を鳴らした瞬間。


 這いつくばるレオンの足元に、漆黒の巨大な穴――削除バッファが出現した。


 それは、世界のどこにも繋がっていない、データの墓場だ。


「……い、いや……だ……! 俺は、俺は、選ばれ……し……あ、あがが、がああああッ!!?」


 神の力を失い、ただのノイズと化した元勇者は穴へと吸い込まれた。

 一秒の猶予もなく、世界のログから完全に抹消されたのだ。


「……さて。セシリア。……これで、不正なアクセス元は一掃したよ」


「ゴミの出ない、実にクリーンな解決ソリューションだろう?」


「…… Allen様。……お疲れ様でした。……少し、お茶でも淹れ直しましょうか?」


「ああ、お願いするよ。……さて、次は。本気で『物理的なサーバー解体』を仕掛けてきそうな連中だ」


「ああ、それと。魔物に追われてこちらに泣きついてきそうな『懐かしい顔ぶれ』のあしらいも考えないとな」


 俺は、午後の柔らかな光に包まれた空を見上げた。


 そこには、内部からバグ剥き出しで崩落しようとしている王国のログが流れていた。

 かつて自分をゴミのように追放した、あの王国の末路だ。


 彼らがどれほどの無様さで、俺の前に跪くか。


 至高のパートナーが淹れてくれた紅茶を飲みながら、それを眺めるとしよう。


 ……ああ。これこそが、最上の報酬というものだろう。


ついにレオンとの因縁に(物理的なデリートという形で)決着がつきました。

聖剣を鉄パイプへと型変換した瞬間のカタルシス、いかがでしたか?


これにて「第二章:ワールド・リファクタリング編」完結です!

次回からは最終章「第三章:新世界OS 2.0編」に突入します。


「最終章も楽しみ!」「アレンのゴールを見届けたい!」と思った方は、ぜひブックマーク、評価(☆☆☆☆☆)での応援をお願いします!

明日19:00、アレンの建国戦記・最終決戦が始まります!

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