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役立たずの【翻訳】スキルと追放された俺、実は世界の理を書き換える最強の【賢者】だった~聖女様と悠々自適の建国ライフ~  作者: 早坂 拓也


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第21話:今さらな神の奇跡と、リファクタリングの夜

第21話:今さらな神の奇跡と、リファクタリングの夜


「……しつこいな。デリートが効かないと分かれば、今度は物理法則を直接弄るつもりか」


「物理的に世界ごと叩き潰す……。現場の苦労を知らずに、極端なパッチを当てたがる神様エンジニアだ」


 大陸全土の王たちがアセティアの軍門に降り。

 地上ネットワークの管理権を俺に委譲した、あの会談からわずか数時間後。


 俺はセシリアと共に、静まり返ったテラスで夜風に吹かれていた。


 だが、俺の解析視界には、警告ログが激しく点滅し続けている。


――[緊急警告:上位次元サーバーからの『物理定数・強制書き換え』を確認]

――[内容:本エリアの重力値を、規定値の百倍(100G)に一括変更中]


 夜空の星々が、異常などす黒い輝きを放ち始めた。

 大気そのものが目に見えて重く澱んでいくのが分かる。


 アセティアの建物がミシミシと悲鳴を上げ。

 セシリアの体が、目に見えない圧力によって膝をつきそうになった。


「 Allen様……っ! 急に……体が、動かなくなって……。空気が、鉄の塊になったようで……ッ!!」


「大丈夫だ、セシリア。今の君には、俺が許可した『特権保護パッチ』が常時当たっている」


「こんな三流のバグ……すぐに修正リファクタリングしてやるよ」


 俺はセシリアの震える肩をそっと抱き寄せた。

 もう片方の手で夜空の虚空を撫でるように操作する。


 上位世界が強行した「重力値:百倍」という破滅的なパラメータ変更。


 俺はそれをそのまま「受領」し。

 命令が実行される直前のバッファで、その膨大なエネルギーをリダイレクトした。


――[Target.Gravity_Constant = 100G (Input_Wait)]

――[Script.Action.Overwrite = REDIRECT_TO_FLOWER_BLOOM_ENERGY]

――[Refactoring_Execute = RUN!]


「……リファクタリング完了。エネルギーの有効活用を始めようか」


 俺が指先をパチンと弾いた、その瞬間。


 世界を押し潰そうとしていた狂気じみた重圧が、一瞬にして春の陽だまりに変わった。


 代わりに大陸全土で起きたのは。

 どの神話にも記されていない奇跡のような、圧倒的に美しい光景だった。


 冬の凍てつく不毛の大地から、色とりどりの鮮やかな花々が。

 夜の闇を裂いて爆発するように咲き乱れたのだ。


 神罰の重力エネルギーを、すべて「植物の急成長と開花」へと変換した。


「……ええっ!? お、お花……!? 夜なのに……街中の石畳の間からも、お花が……!!」


「ああ。敵が律儀に送ってくれたエネルギーを、そのまま福利厚生に回したんだ」


「これで今年の冬は凍死者ゼロ。穀物の豊作も確定だな。……俺の『新管理者』就任祝いとしては、いい演出だろう?」


 俺の声は、ネットワークを通じて大陸中の全人類に響き渡った。


『――心配はいらない。不届きな者が世界のバランスを壊そうとしたが、私が最適化しておいた』


『――余った力で大陸中に花を咲かせておいた。明日の朝は、全人類で花見でも楽しんでくれ』


 各地の町や村で巻き起こる、驚愕を超えたあの大歓声。


 そしてその時、上位世界の実行監視ルームでは――。


「馬鹿な……っ!! 我が『神罰の絶対重力』が、ただの植物の肥料だと……!?」


「書き換えられた!? 我らのRoot権限すら、あの男の指先一つで『素材』に成り下がったというのか……ッ!!」


 監査官たちの絶望に染まったログが、今の俺には愉快に読み取れる。


「……今さら『奇跡』なんて安っぽい言葉で脅かそうとしても無駄だよ」


「君たちが死に物狂いで書いた呪詛は、今の僕のOSの上では、ただのお遊びでしかないんだからな」


 俺はセシリアの耳元で、花の香りに包まれながら静かに囁いた。


「さあ、セシリア。……花の香りに包まれて、今日はゆっくり眠ろう」


「明日の朝は、この奇跡を見て腰を抜かした王たちが、また詫びを持ってやってくるだろうからね」


ついに神の重圧すらも「肥料」に変えてしまったアレン。

どんな災厄もアレンの手にかかれば福利厚生のパッチに早変わりしてしまいます。


「アレンのポジティブな改変、もっと見たい!」と思った方は、ぜひブックマークをお願いします!

次回、さらに激化する神界とのデバッグ勝負。

明日19:00、アレンの「逆襲」をお楽しみに!

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