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ダストワールド ~全宇宙のゴミ箱と呼ばれる世界の物語~  作者: 灰色
第3話 恋のキューピッドは助けたい
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6 キューピッド狂騒曲

 突如奇声を発しながら動き出した転移物。

 キューピッドの形をした薄く小さい小物は、瞳を赤く光らせる。

 そしてハート型をした矢の先端から、赤く短い光線は周囲へ発射した。


 「な、なんじゃこりゃあ!!」


 アレンがその異様な光景に叫ぶ。

 赤い光線はレウルやケイ、中庭に居た職員に当たった。


「大丈夫ですか!」


 ケイが心配そうに叫ぶと、レウルの身体を確認するように触る。

 レウルもケイの身体に外傷などが無いか調べていた。


「?」


 しかしレウルやケイには何事もなく、アレンには一発も当たっていない。


「なんだ? ただの光か?」


 安心した様にレウルが言った時、周囲が妙に騒めき始め中庭に声が響く。


「わ、私。貴方の事が好きなんです! 付き合って下さい!!」

「今からあの人に告白してくる! 俺のこの想いは止めらない!!」

「既婚者なんて関係ないわ! 私の愛情をぶつけてくる!」


 と、職員たち口々に同じような事を叫ぶと、何人かがどこかへと走り去って行った。


「何が起こってるんだ?」

「キュピキュピ!!」


 困惑するレウルの前でキューピッドが、どこか嬉しそうに声を発する。


「……ケイ、こいつを破壊しろ。原因は間違いなくこいつだ」

「承知しました」


 ケイがキューピッドに向けて人差し指を向けた。


「え!? 待って下さい。俺の10万!!」

「買う時に注意書きにあったろう? 自己責任だ」

「そ、そんなぁ……」

「破壊します」


 肩を落としているアレンを尻目に、ケイが指から青い銃弾を放つ。

 しかし、キューピッドは素早くそれを避けた。


「!? 早い。しかしこれなら」


 ケイが続けてショットガンの様な散弾を放つ。

 しかしそれも、キューピッドは華麗に避ける。


「まさかこれも!?」

「キュキュキュ!!」


 そして挑発するように声を発しながらキューピッドは左右揺れると、建物の中へと飛んでいた。


「……あの、支部長。どうします?」

「どうしますもこうしますもねぇ! さっさと破壊するぞ。司令部、応答しろ」


 レウルが魔法で司令部へ通信を始めた。


『はい、こちら司令部です。珍しいですね。どうかされましたか? 支部長』


 女性オペレーターが応答する。


「ちょっとまずい事になった、支部内の監視カメラでキューピッドを追ってくれ」

『……え? 何ですかそれ?』


 レウルが形状と中庭で起きた事を説明した。


『は……はい? 突然告白ですか? 分かりました、すぐに追ってみま……え? えぇぇええ!!』


 突然オペレーターが叫ぶ。


「どうした! 何があった!?」

『た、大変です! 支部内の至る所で……こ、告白合戦が起こっているようです!』

「な……なんだって?」

『目撃者によると、キューピッドが何か叫びながら赤い光線を乱射していると。今も移動中のようです!!』

「最悪だ……。支部内に警報を出せ! 一般人は即支部内から退避、支部を閉鎖しろ! 急げ!!」

『承知しました』


 支部に緊急警報が鳴り、一気に慌ただしくなる。


「今、キューピッドはどこにいる?」

『高速度移動中で補足が難しいです』

「魔法防護シャッターを下ろして、移動を制限させろ。他の職員にも見つけ次第破壊するように言うんだ!」


 あらゆる支部には侵入者や逃走防止用に、一瞬で展開できる魔法の防護壁が備え付けられていた。


『すぐに命令を出します。あ、いました! そこから近い場所に居ます。今位置情報を地図に共有します!」


 するとレウルのすぐ横に魔法で地図が表示され、キューピッドの居場所に赤い点が表示された。


「よし、ケイ、アレン行くぞ」

「え? 俺もですか!?」

「とどめくらい、自分の手でやってやれ」

「そんな、じ……10万がぁあ!」


 半泣きのアレンを連れてレウルたちは地図の場所へ向かった。

 そしてその途中は阿鼻叫喚の地獄絵図と化していた。

 異性同性構わず、愛を囁き告白している場面に出くわす。

 やがてレウルは様子がおかしい一組の男女の近くで足を止めた。


「レウル様? 急がなくてもいいんですか?」


 ケイが疑問を口にする。

 女性が男性に告白をしており、男性は女性の勢いに若干引いている。


「ずっと好きだったの! あの時、私を助けてくれた時から! お願い私と付き合って? お願いよ!!」

「あの、支部長。た、助けてくれませんか?」


 男性が懇願するようにレウルを見た。


「よし……ちょっと試してみよう。ネロ、ラピア出てくれ」


 レウルが言うと、近くに青とピンク色の球が出現する。

 水と治癒の精霊だった。


「お前たちでアレ、治せないか?」


 ネロとラピアが一組の男女に近づくと、すぐに戻ってくる。


「ごっめ~ん! あれは私専門外だわ。物理的な傷ならいいんだけね。血がブッシャーとか内臓ドーンとか」


 ラピアがゆらゆら揺れながら言うと消え、ネロが口を開く。


「あれは魔法的な物だね。僕なら多分浄化できるけど……手早くするなら荒くなるよ?」

「責任は俺が取る。とりえあずやってみてくれ」

「分かった……」


 ネロの周囲に一個の水球が作られた。

 それは高速で女性の顔面へとぶち当たり、水が飛び散って周囲を濡らす。


『!!』


 突然の事に女性だけではなく、男性も驚いていた。


「……あの、支部長。いくらなんでも強引過ぎません?」

「……言うな。俺は悪くない。俺は悪くねぇっ」

「少し前に、責任は取るとレウル様は発言されていますけどね?」


 三人はネロの行動に驚きつつも、静かに事の成り行きを見守った。


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