インターミッション
俺はずっと気になっていたが聞くに聞けなかった事を口に出してみた。
「あのさ…兄貴…まさか死んだのか?」
半ば呆れた風な顔をして答える兄。
「生きてるわ!勝手に殺すな!!」
そりゃそうだ、亡くなったのなら連絡が来るだろうし大騒動になっている筈だ。
何より母の感情が大変な事になる。
「でもな…お前も知ってると思うが、身動きが取れないのは死んだのとそう変わらないのかもなぁ…ふふっ。」
自嘲気味に笑う兄だったが、色々と気を遣ってくれているのだろう。
『あのさ…。』
二人同時に口を開き、それから互いにどうぞどうぞと譲り合って…笑った。
正直お互いに話したい事が山程あるのだ。
ーーーでも、とりあえず今話すべきは…。
「兄貴あのさ、今回現実に出てきたゲームキャラなんだけど、あれ中身はイーグルで常連だった“おさげの男”だったよ。」
兄は驚く素振りも見せずうんうんと頷いている。
もしや知っていたのだろうか?
俺はこの理由の解らない状態について兄に聞いてみた。
俺があの青年になったこと、イーグルでのことや生放送での騒動、その後もゲームキャラが現実に現れてしまったことなど…。
うーん、と少し唸ってから兄の口が重そうに開いた。
「そうだな、あの最初の青年はオレだ。昔二人でノートに描いたあのキャラだな。」
やっぱりそうだったのか。
「お前さ、ゲームの中に入った夢を観た事ってあるか?」
俺はうん。と頷いた。
兄に依ると、その逆が起きているのだそうだ。
いや逆?逆って…なんだよ。
どうやら、心に深く刻み込まれたゲームの、その中に出ていた思い入れの強いキャラクターが具現化しているらしい。
「でもさ兄貴、俺や“おさげの男”は自分の意思を持っていたけど、モ◯イやボンバー◯ンからはそういうのは感じられなかったよ…。」
「多分、だけどな?そっちは意図せず何か感情が爆発したとかで出てしまったんじゃないのかな?本人すら気が付いていないからコントロール以前の状態だったと。」
なるほど。つまり…。
「ちょっとまて!」
「えっ?」
「お前多分いま、地蔵とか河童になれないかな?とか思ってないだろうな?」
ーーーどきっ
「だ、だって面白そうじゃんか!」
「言っただろ?心に深く刻み込まれたゲームのキャラクターだって!お前大江戸ファ◯トやった事ないだろ?」
そうだった。
俺達はゲームセンター巡りをしていた頃、何処に何があるか情報を集めては珍しいゲームを探してプレイしていたのだ。
しかし中には遂に見つけられなかったものが少なからずある。
その内の一つが大江戸ファ◯ト。
「それにしても…。」
えっ?
「お前いつから俺のこと兄貴って呼ぶ様になったんだ?前は兄ちゃんだったろ?」
う、うるさいわ!
俺達は笑った。笑って、気が付いたら目が覚めていた。
ーーーもう朝か。
俺は涙を拭うと大きく欠伸をして布団から這い出した。




