盾
廊下いっぱいに炸裂する爆弾は遠目に見ても恐怖そのもの。
でもどうやらそこまでの範囲では無いらしい。
ここで俺はあの番組の事を思い出していた。
「あの時、女優の本多さんは番組中に手から波◯拳を出していた…。なら俺にも出来るんじゃないか?」
しかし簡単に考えても3つの懸念事項がある。
〈一つ目〉
技を出しているところを誰かに見られたらどうする?
〈二つ目〉
出せたとして上手くボン◯ーマンに当てられるだろうか?
〈三つ目〉
ちゃんと倒せるだけの威力はあるのだろうか?
再び廊下の先から爆発音が起こり悲鳴を上げながら3人の女子社員が逃げ出して行った。
あそこは給湯室だから、お茶でも淹れながら立ち話でもしていたのだろうか?
でも何故そんな平和な場所でボン◯ーマンが暴れているんだ!?
いやまずいぞ?給湯室か。
引火はしなくてもガス漏れになる可能性がある。
一刻も早くボンバー◯ンを何とかしなくては。
様子を見ていると、今度は爆弾が転がってきて炸裂した。
これは…投げられた?意外と最近の仕様なのか?
「でもこれでやれるかも…。」
女子社員が逃げて行った事で一つ目の懸念はほぼ解消された。
そして爆弾が投げられた事で二つ目三つ目も何とかなりそうだ。
集中しろ!なり切るんだ!…よし!
両手に気を溜めて…空気を掴むイメージで押し出す…。
「ソニブー…。」
捉えた空気が胸の前で交差され弧を描いて衝撃波を形成する。
ソニック◯ームだ。
速そうな名前とは裏腹にゆっくりと飛んで行く…それはもうゆっくりと。
だがそれが丁度良い。
俺はその後をただ、ついて行く。
危険を感じたら一旦その場にしゃがんで待てば、ソニック◯ームを盾となって俺を守ってくれる。
そして再びソニック◯ームが出しての繰り返し。
つまりこちらの有利は維持されたままジリジリと距離を詰められるのだ。
二度、三度、爆発をやり過ごした。
その度に衝撃がビリビリと伝わってくる。痛いのだ。
そしてあの焦げ臭さ?やはり今回は何かが違う。
この臭いだって実際に爆発が起きている訳では無いのにしている。
そう何処にも焼けた様な跡は無い。
ーーそして遂に廊下の端に辿り着いた。
ボンバー◯ンだ!!こちらには気が付いていない?というより周囲のものが何も見えていない感じがする。
それは落ち着きなく動き回り、まるで暴走しているかの様だった。
俺はそっとソニック◯ームを飛ばして安全な距離まで下がると、しゃがんで様子を見た。
再び爆弾を設置し投げ始めるボンバー◯ン。
その内の一つが飛んできて…ソニック◯ームが弾き返す。
爆発が廊下を包み込み、奴はぴゅーんとコミカルな音を建てながら吹き飛ばされ消えていった。
「元の世界へ帰るんだな。お前にも仲間がいるだろう。」
だがまだ油断は出来ない。
他におかしな所がないか辺りを探っていると、床に見覚えのある黒縁メガネが転がっていた。




