爆発
オフィスで独り、俺はマウスをカチカチ鳴らしていた。
他の仲間達はミーティングやら他部署の応援やらで出払っているのでのんびりやらせて貰っている。
「それにしても、だ。」
仕事に集中しようとしても、どうしても考えてしまう。
イーグル付近の小鬼たちモンスターの事、そして昨日のモアイについても。
どちらも昔のゲームに出ていた敵キャラクターだ。
そして何より俺がそれらと戦った事。
ーーあれは変身と呼んで良いのだろうか?
モンスターについては恐らくイーグルのオーナーが関係していると見て間違い無い。
ではあの俺が変身した青年は…やはり兄が鍵を握っているに違いない。
気が進まないけれど、やはり一度兄に会いに行った方が良いのだろうか?
やはり仕事に身が入らず、うっかりデータ入力を間違えてしまった。
「ふぅ…。」
大きな溜息。
そういえば兄とはどれ位話していないのだろうか?
確かスクーターを買う時に助言してくれたんだっけ?駐輪場所をどうするか話した覚えがあるな。
懐かしいな。あの時はまだ自宅に居てスペース確保のために植木鉢とかを退けて…。父が腰を痛がって手伝ってくれなくて大変だったよなぁ…。
「まてよ!?」
俺は思わず立ち上がりそうになるのを堪えながら思考を巡らした。
その頃には兄はもう家に居なかったし辻褄が合わないのだ。
もやもやしていると視界までもやり出し始めた。
つまらない冗談みたいだと思っていると今度は何やら焦げ臭い。
おまけに爆発音の様なものまで聴こえてきて思わず身構える。
ーーまさか火事?
いや、その割には報知機も一切鳴っていない。
俺はそっとオフィスを出ると隠れながら長い廊下の先を伺った。
特に何も無…あった…いや居た。
人型のキャラクターが爆弾を設置している。
「ボン◯ーマンだ…。」
女子社員の悲鳴も聴こえる。見えている人かも知れない。
どうする?確か商材資料のコントローラーがある筈だ。
急いでオフィスに戻ると片隅にある段ボールを漁った。
急がなければ!今回は何かがおかしい。モンスターやモアイの時は臭いにはまるで気が付かなかったのだ。
そしてコントローラーを見つけた瞬間、ある事で手が止まってしまった。
ーー俺って青年になっている間、周囲からどう見えるのだろう?
多分トランス状態に近いのかも知れない。
何も無い空間を半眼か何か虚ろな目で見つめながら一心不乱にコントローラーを操作している人…か。
それ、やばくないか!?
そこそこ広いビルだけど今に他の社員もここに来るかも知れない。
誰かに見られたらどうする?でもこのままにもしておけない。
どうするんだ俺!?




