45.超悪い子軍団と知らない忍者
丁京都フリーヶ丘。
住みたい街ランキング常連・スイーツの聖地として知られるこの街には──
今日も恐ろしい(?)悪の組織が存在していた。
そして、知らない忍者がいた。
日曜の朝。ブエルがリビングへ向かうとそこには忍者がいた。
「え?誰?」
「誰って見ればわかるじゃない、忍者よ」
リビングでニュースを見ているアレプトが言う。忍者は朝食を作っていた。
「なんで忍者がいるの?」
「知らないわよ」
「知らないな」
「知りませんね」
「なんで誰も知らないの?!」
「拙者は第五十八代ダレダ丸を継ぐ男……」
「いや誰だよ」
「ねえ朝食まだ?お腹すいたんだけど」
アレプトがシビレを切らしたかのように謎の忍者を睨む。
「直ちに」
忍者はそう言うと颯爽と朝食を出す。
白米に味噌汁、卵焼きに焼き鮭。お手本のような和食だ。
「ほらブエル、早く座りなさいよ」
「え?ええ……?」
ブエルは困惑しながらも席に座り一口食べる。
「お、美味しい……!」
「お褒めに預かり光栄」
「すごい……!知らない忍者が作ったってこと以外は完全なのに……!……待てよ?」
ブエルは一つ閃く。オティスは暗殺者の里出身ということに。
「もしかしてオティスの知り合い?」
「いや、知らない」
「違うでござる」
「違うんかい。そ、それならグシオンの大学の人──」
「こんな不審者がいるわけないでしょう」
「拙者はずっと武道に励んできた身、大学など行っておらぬ」
「ならアレプト様の学校の──」
「いるわけないでしょう!」
「なんなんだよ!」
ブエルは叫ぶ。
なぜ皆この謎の忍者を受け入れているのか。
「じゃあ今日の悪事だけど。まずブエル、あんたはいつも通りやりなさい、オティスはブエルが撹乱している間にチラシを奪いなさい。グシオンは待機、忍者はダンスよ」
「待って?!ダンスって何?!」
「拙者、全国ニンジャダンス大会第三位の身である故、この役目、ありがたく頂戴いたす」
「ニンジャダンスって何?」
「知らないんですか?ニンジャダンスは忍者の里で受け継がれている由緒正しいダンスで全てのダンスの始祖とも言われているんですよ」
「知らないよ!正気で言ってる?!」
「まさかニンジャダンスを知らないとは……」
「最近の高校はニンジャダンス必修じゃないの?」
ニンジャダンスとは。日本人のソウルダンスであり、今や全国で知らないもののいない舞踊の一つである。精神統一をし、足音一つ立てずに華麗に舞い、どれほど人の心を駆り立てられるかの死合のことである。(※要出典)
「いや知らないよ!」
「はあ……あんた、忍者にニンジャダンス教えてもらいなさい」
「承知」
「いやなんで……」
「いいから!」
そうして朝食後、ブエルはニンジャダンスを習うことになったのだ。ニンジャダンスについては読者の皆様もご存知であるだろうから割愛する。
「地味にキツい……ニンジャダンス……!」
「ブエル殿、これで完璧なニンジャダンスを踊れるでござるよ……!」
トライ=アペンド時代にブエルがダンスをできなかったのはきっとニンジャダンスを知らなかったからだろう。今ならトップアイドルになれる気がする……!そんな思いをブエルを支配する。
「いやなんでだよ!」
そうして悪事を行い、ニンジャは華麗に舞った。
次の日。
「おはよー」
ブエルがリビングに行くとアレプトが朝食の準備をしていた。
「あれ、忍者は……?」
「忍者なら里に帰って修行するって」
「熱心だな、私も見習わなくては」
「忍者のいない生活、寂しいですね……」
「それであの忍者一体何者だったの?」
「「「知らない」」」
知らない忍者、いいやつでしたね。
再登場の予定はありません。
次回もお楽しみに!




