4.超悪い子軍団とヒャッハー連合
丁京都フリーヶ丘。
住みたい街ランキング常連・スイーツの聖地として知られるこの街には──
今日も恐ろしい(?)悪の組織が存在していた。
そんな悪の組織「超悪い子軍団」に、まさかの挑戦状が届く━━?!
今回は、ちょっとだけこの世界の“裏側の仕組み”が見えてくる回です。
気楽にどうぞ!
「うーむ、これは……」
グシオンがリビングに持ち込んでいるタブレットを前に唸る。
「どうかしたの?」
「それが決闘の申し込みでして」
そう言いながらグシオンは画面を三人に見せる。そこには
「なァ〜にが超悪い子軍団だぁ〜?明日、俺たちヒャッハー連合の手下にしてやるよ!ヒャーッハッハッハッハ!」
という頭の悪いメールが届いていた。
「なにこれ、タチの悪い悪戯?」
「……嫌な予感がする。アレプト様、戦闘申請書を出しておいた方がいい」
「そうね、念には念を入れましょう。グシオン、作ってくれる?」
「もちろんです!」
そんな会話を聞いたブエルは疑問が生まれる。
「ねえ、戦闘申請書って何?」
「ああ、そういえばブエルには説明まだしてなかったっけ。その名の通り戦闘の許可を得るための書類よ。乱闘して市民を巻き込まないようにするシステムなの」
「え?じゃあ毎回出してるってこと?」
「一応一ヶ月単位で更新はしてるけど……今回の場合、普段とは別の場所で戦闘が起こる可能性があるからね。念には念よ」
と答える。実際、この書類を出さないと法律違反でしょっ引かれるのだ。
「OKです、オンライン申請しておきましたよ」
「ありがとう、みんな、明日は警戒を怠らないように」
翌日。
学校からの帰路についているアレプトはフリーヶ丘には似つかわしくない男たちを発見する。
「ヒャッハー!今日から俺たちがフリーヶ丘の王者だぜ〜!」
「ヒャッハー!市民には全員モヒカンでトゲトゲの肩パッドをつける義務を設けるぜ〜!」
「ヒャッハー!」
妙に車高が低いバイクを乗り回すバカが三人いた。あれがヒャッハー連合なのだろう。頭を抱える。
三人に召集をかければすぐに集合する。警察に連絡しながらアレプトは指示を出す。
「とりあえず防戦を意識して。警察が来るまで持ち堪えるのよ」
「「「了解!」」」
三人はそのままヒャッハー軍団へと襲いかかる。激しい抗戦が繰り広げられる。アレプトはその様子を動画で撮りながら、「無知って罪よねえ……」とぼやいた。
数分後、けたたましいサイレンと共に警察がやってくる。
「ヒャハ?!なんで警察が来るんだよ!」
「ヒャッハー!これは悪の組織同士の戦いだぜ!公僕は下がってな!」
「ヒャッハー!」
ヒャッハー連合は悪の組織同士の戦闘ルールを知らないようだ。ため息をつきながら説明をする。
「あんたたち、『決闘申請書』と『戦闘申請書』は出した?」
「ヒャハ……?」
「そんな基礎的なことも知らないってことはどうやら悪の組織教習も受けてないようね。……禁固刑よ?知らないの?」
「ヒャハ……?!」
悪の組織として活動するにはいくつか申請書を出さなければならない。出さなかった場合悪質として禁固刑になる。……そのような基礎知識を、彼らは知らなかったようだ。
「ヒャッハー!じゃあなんでお前たちは捕まらないんだよ!」
両手を拘束されるモヒカンが尋ねる。
「そんなのあらかじめ書類を出してるからに決まってるでしょ?そんなこともわからないのね。じゃあ警察の皆さん、後はよろしくお願いします」
「ヒャッハー!!!!」
悲痛にも取れる叫びがこだまする。悪の組織も法律を守らなければ世界征服できないのだ。
私たちは今日の夕食を相談しながら帰路に着く。
「今日の夕飯何にする?」
「カレーがいいなあ」
「無論、和食」
「僕の計算によれば九十九%の確率で中華です!」
「パスタにしましょうか」
明日も世界征服は続いていく。
悪の組織だって、派手な悪事の裏で書類仕事に追われているんだろうな……。
そんな“ままならなさ”を描いた四話でした。
ちなみに超悪い子軍団の書類担当は、だいたいアレプトかグシオンです。
(ブエルとオティスにやらせると期日を守らないためやらせてもらえない)
次回もお楽しみに!




